結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年10月20日(火曜日)

TPP関税撤廃の全容と商人舎ミドルマネジメント研修会

環太平洋戦略的経済連携協定。
その大筋合意の全容が公表された。

外国との貿易では、
9018品目が対象となるが、
なんと95%が輸入関税撤廃。

日本の関税撤廃率は、
品目数ベース、金額ベースともに、
95%という高水準。

しかし日本以外の11カ国は、
品目数、貿易額ともに99~100%。

日本は12カ国で最も低い。

農林水産品は2328品目あるが、
51.3%が発効後即時、関税撤廃。
最終的には81.0%が関税撤廃。

農林水産品のうちの「重要5項目」は、
日本の「聖域」として交渉が続けられた。
(1)コメ(2)麦(3)牛肉・豚肉、
そして(4)乳製品(5)甘味資源作物(砂糖など)

この5カテゴリーは全体で586品目ある。
そのうちの174品目は関税撤廃。
ソーセージ、パスタ、粉チーズなど、
輸入実績がない品目、
国内生産者への影響がないと判断された品目。

野菜は主要100品目すべて、
関税撤廃。

重要5項目以外の農林水産物では、
31品目の関税が残る。
小豆など雑豆、コンニャク、
さらにシイタケ、ヒジキ、ワカメなど。

農林水産品の撤廃率は、
日本が81.0%であるのに対して、
他の11カ国平均は98.5%。

その面では、12カ国中、
一番の保護貿易国ともいえる。

一方、工業品に関しては、
関税の壁はほとんどなくなる。

日本から環太平洋11カ国輸出では、
99%超で関税がなくなる。

鉱工業品の87%が、
協定発効後すぐに撤廃。
協定発効後30年目までに、
99.9%の品目が関税撤廃。

輸入に関して、工業品は既に、
多くの品目で輸入関税がないが、
発効時に95%の品目で関税撤廃。
最終的にはすべての品目が関税なしとなる。

アメリカはこのTPPのリーダー国だが、
乗用車の2.5%の関税を、
協定発効から25年目に撤廃。
バスの2.5%の関税は10年目に撤廃、
トラックの25%の関税は30年目に撤廃。

化学製品の最大6.5%の関税は、
一部を除いてほとんど即時撤廃。

牛肉やコメにかける輸入関税も、
最終的に撤廃。

環太平洋はすごい勢いで、
関税がかからない経済圏に変貌する。

鎖国を解いた明治維新以降、
日本は一貫して貿易立国である。

これは小学生も学校で習う。

その日本は観光立国でもあるし、
それらをさらに強化して、
国を維持向上させようとする。

つまり生活産業と観光産業が、
基幹産業になるという構図だ。

そのための、
環太平洋12カ国の、
戦略的経済連携協定。

甘利明担当相、
事務方も含めて、
大きな成果を上げた。

社会的ルールの大きな変わり目には、
想像を超えた大きなチャンスがある。

だから商品部の国際化は必須。

その際、ピーター・ドラッカーの
「ポストモダンの七つの作法」。
何よりも「自分の目で見、耳で聞く」

この姿勢で、吟味し、調達する。

商社や問屋への丸投げは、
絶対に避けねばならない。

1品1品、わが社の商品として、
大切に、ていねいに、
それでいてスピードアップして、
育てる。

販促に関しても、
TPP関連の打ち出しは、
頻繁に繰り返されるべきだろう。

顧客たちは心躍らせて、
それを待ち望んでいる。

その際、何度も言うけれど、
丸投げはダメ。

これだけは釘を刺しておこう。
もちろん、コンサルタントへの丸投げも。

さて私は、福岡から帰って、
朝一番で熱海へ。
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いつものように、
駅前の機関車の前で写真。
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そしていつものニューウェルシティ湯河原へ。
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午後1時、
商人舎ミドルマネジメント研修会
開始。

もう第8回になる。
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始めの講義は、
結城義晴。
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私たちは、知識商人を養成する。
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その知識商人は、
脱グライダー商人でなければならない。
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そして自立・自律の商人たちが、
日本の商業を現代化させ、
基幹産業とする。
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私は初めに橋本武さんの言葉を書いた。
灘校の名物教師。
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「すぐ役立つことは
すぐ役立たなくなる」

競争が激化し、高度化すると、
この言葉はますます重みをもってくる。

TPPによって、
マーチャンダイジングが変わる。
しかし、それは国際競争が、
われわれの店頭で展開されることを意味する。
そしてその競争は激しくて、高いレベルだ。
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オーガニック商品も、
どんどん入ってくる。

日本にオーガニック・ブームがやってくる。
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私の講義は、どんな時も、
倉本長治の『商売十訓』から。
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古き言葉を、新しく理解する。
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倉本長治は、なんと、
ピーター・ドラッカーと、
シンクロしているのだろう。
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語りながら、何度も、感動する。
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最後は「賢者は歴史に学ぶ」
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知識商人こそ、
歴史に学ばねばならない。

1時間ずつの2講座が終わると、
30分のコーヒータイム。
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みんな、ちょっと一息。DSCN0348-5

元気です。
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明るい。
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打ち解ける。
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そして再開。
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鈴木哲男講師。
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商売をエンジニアリングする。
その日本の第一人者。
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月刊『商人舎』にも毎月、
健筆をふるってくださる。
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先月はヤオコー特集で、
鈴木哲男の現場徹底分析」
現場第一主義・商品第一主義・お客第一主義で
ヤオコーの売場づくりとMDを批評する

今月は鈴木哲男の正論」
「チラシ広告効果なし」の俗論を正す
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現場第一主義の記事や評論は、
他の追随を許さない。

そして講義も、
現場主義に貫かれている。
だから極めて有益。DSCN0383-5

52週マーチャンダイジングは、
本物の先生から学ばねばならない。DSCN0388-5

そのエッセンス。
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鈴木講師は、
プロモーションとストアコンパリゾンまで、
3時間30分の3講座。DSCN0400-5

ふんだんな資料を基にした講義は、
あっという間に終わってしまった。DSCN0407-5
しかし中身はこってり。

ありがとうございました。

そして午後8時から夕食。
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ウェルシティ湯河原の食事は、
豊富で美味。
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疲れ切った頭脳に、
心地よい栄養補給をしてくれる。
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食事が終わると、
自習室や自室で、
全員が復習。

午後11時を過ぎても、
ごらんのとおり。
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明日の朝、理解度テストがある。

テストを受けるために、
真剣に復習する。

それが一番、学習効果が高い。

もちろん派遣されたメンバーは、
各社の腕利き揃い。

その選りすぐりの腕利きたちが、
この3日間だけは、
集中的に頭を使う。

ピーター・ドラッカーが言い残す。
知識専門家、知識労働者は、
「ブレインズ&ハンズ」を使う。

つまり脳と手。

自分で考え、行動するためには、
基礎的な知識が必須だ。

それを学ぶのが、
商人舎ミドルマネジメント研修会。

濃密な学習とともに、
ひとり一人の夜が、
深々と更けていった。
(つづきます)

〈結城義晴〉


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