林周二『流通革命』とビックカメラ・国美電器集団の提携
月刊『商人舎』12月号最終責了日。
いい雑誌ができました。
今月は『流通革命』をテーマにした。
重すぎる命題だけれど、
一度は決着をつけておかねばならない。
しかし毎月毎月、こうして、
1冊ずつ仕上げることの喜び。
幸せです。
ご期待ください。
さてその最終日に、
午前中から来客。
前田仁さんと小阪裕介さん。
そうミラクル前田と、
レジェンド小阪。
アメリカで2週間、
一緒だった。
来年の打ち合わせにやってきてくれた。
中国に行こう。
そう思った。
それ以外のもろもろも含めて、
意見交換し、決めることは決めた。
2016年も、ものすごく忙しくなりそうだ。
ありがたいことではあるけれど。
その後、夕方から、
忘年会。
そういえば、もう、
忘年会シーズンに入っている。
これからそれが続く。
しかし、1年が充実していれば、
年忘れといっても、
楽しいことばかり。
宮本洋一社長と、
ブルーチップ幹部の面々。
右から金田正勝さん、中野茂さん、
左から菊池二郎さん、鍋島丈夫さん。
仕切りは真ん中の松井康彦さん。
商人舎エグゼクティブプロデューサー。
金田さんはこのたび、
ビーコミュニケーションズグループ㈱の
取締役財務部長に就任。
同社はブルーチップの持ち株会社。
今年、宮本さんが、
阿波踊りに行ったという話から、
ずいぶん盛り上がった。
その後、銀座で二次会。
と思ったら、ばったり、
本庄大介さん。
ご存知、㈱伊藤園社長。
楽しい夜は、
楽しい人と出会う。
さて、ビックカメラが中国企業と提携。
日経新聞企業欄。
中国の小売業界は、
家電チェーンが上位を占める。
2011年までは、
第1位が蘇寧雲商集団。
第2位が国美電器集団。
現在は第2位に、
ネット通販の「天猫」(T‐mall)が躍り出た。
これがアリババ集団。
国美電器はその分、下位に下がって5位。
ビックカメラはその国美と組んで、
中国でインターネット通販をスタートさせる。
国美にとっては、天猫への対抗策となるし、
ビックカメラは中国進出の足掛かりになる。
「国美の通販サイトにビックが出店し、
デジタルカメラや理美容家電など
商品450点を取り扱う」
物流は国美が担当。
PRも国美が店頭で展開。
中国人の「日本の家電への関心」は、
極めて高い。
今年の流行語大賞に入った「爆買い」。
その対象の一つも家電。
個人向け通販は、
輸入に伴う税率が低い。
国美の通販サイト「国美在線」。
なんと1億2000万人の会員を有する。
ビックカメラは同サイトの「日本館」に出店。
小型家電はもちろん、
腕時計や紙おむつなど、
日用品までを取り扱う。
ただし、当然のことながら、
国美が中国店舗で販売する商品を、
ビックカメラが通販で扱うことはないし、
「ビックは通販の売り上げに応じて、
国美に手数料を支払う」
その仕組みと手順。
「商品購入の注文を受けると、
ビックが国美の大阪の倉庫に商品を配送。
国美が週1回の船便でまとめて
中国国内の保税倉庫に持って行き、
通関手続きを終えた後で
消費者の自宅まで届ける」
つまり物流は国美。
注文から配達までに、
2~3週間かかるが、
それでも日本製の家電を欲しい中国消費者は、
それこそ、ごまんといる。
ジャパン・テクノロジーは、
中国では高い評価を受けている。
その中国の消費者が、
海外の商品をネット通販で購入する場合、
個人輸入扱いとなる。
この個人の「行郵税」は低い。
一方、企業が輸入する場合には、
関税と「増値税」がかかる。
増値税が一般に言われる消費税。
例えば、炊飯器の場合、
通常は約50%の税金がかかる。
しかし通販なら20%。
さらに国美在線は、出店費用が安い。
中国最大のネット通販サイトは、
第2位小売業のアリババ集団の天猫。
もちろん国美在線は、
天猫よりも安い。
ビックカメラの訪日外国人向けの売上高は、
現在、全体の12%程度まで上昇中。
さらんに同社は2016年8月期に、
ネット通販の売上高(連結ベース)を、
750億円に増やす計画。
前年同期比1割増。
国美電器との提携、
実に大きな足掛かりとなる。
私も来年は、
中国を訪れる。
そして中国の流通を学ぶ。
林周二著『流通革命』は、
いまの中国でこそ、
有益な理論だとも考えられる。
〈結城義晴〉