米国「異常な7年間の終わり」と千億円軽減税率対応支援策
今日は冬型の気候。
商人舎オフィスの裏の遊歩道。
木の葉も散ってしまった。
午後、イオンから来客。
イオンリテール㈱の小河原好弘さんと、
イオンコンパス㈱の高柳優子さん。
小河原さんは今秋、
アメリカにご一緒したが、
人事部人材育成グループマネジャー。
今年の総括と来年の展望。
「顕著な成果を出す」
それが2016年に目指すもの。
そのために必要な条件を挙げて、
検討することになった。
よろしく。
そのアメリカ合衆国の中央銀行は、
連邦準備理事会(FRB)。
2006年6月以来、9年半ぶりに、
短期金利の指標の誘導目標を引き上げた。
これまでの0~0.25%から、
0.25~0.50%に。
0~0.25%というのは、
事実上のゼロ金利政策。
リーマンショック後の2008年末から、
このゼロ金利は続けられ、
解除は7年ぶり。
アメリカは景気回復と雇用率上昇が続く。
ジャネット・イエレン議長も自信の発言。
「中期的に2%のインフレ目標は達成できる」
イエレン女史の表現は、
「異常な7年間の終わり」
来年のアメリカ研修も、
ますます楽しみになってきた。
好況のなかで、
米国チェーンストアは、
思い切ったイノベーションを、
見せてくれるに違いない。
今日は夕方から、
商人舎magazineのWeb会議。
私が渡米していたこともあって、
3カ月ぶりのミーティング。
実に有意義な会議となった。
その後、メンバーで忘年会。
会場は商人舎御用達の「魚盛」。
飛び切りの鮮度の刺身から始まって、
ニジマスの塩焼き、鯖の味噌煮、
魚と野菜の天麩羅、
そして鰤シャブ。
要は魚のフルコース。
刺身にしてもいい鰤。
全員大満足。
私の隣はWebコンサルタントの猪股信吾さん、
Facebookコンサルタントの内田憲一郎さん、
㈱プラージュの谷ツ田一成さん。
そしてWebデザイナーの田中翔太さん。
来年もよろしく。
さてアメリカの好況の一方、
日本では政府与党が軽減税率導入を進める。
日経新聞の記事は、
「レジ改修に1年以上」
もう軽減税率導入は確定したかのようだ。
「中小のスーパーや青果店が
軽減税率に対応できるようにする」ため、
「今年度予算の予備費を活用」する。
「8%と10%」の二つの税率に対応するために、
レジスター改修や商品管理システム更新は、
2017年4月までに済まされねばならない。
政府は1000億円超の予算を採って、
それを支援する。
予備費は国会審議が不要で、
閣議決定だけで執行できる。
まずは時間の問題。
レジシステム・メーカーが、
軽減税率ソフトを開発するのに、
半年程度かかる。
その後、ソフトを導入し、
商品データベースに打ち直す作業などに、
さらに半年から1年かかる。
軽減税率を盛り込んだ法改正は、
来年6月ごろ出揃うらしい。
そうすると17年4月のスタートまで、
10カ月の猶予。
そこで1000億円を投入する。
税金をより多く集めるために、
消費増税をしておいて、
その際、軽減税率を導入するために、
まず税金を1000億円使う。
さらに今日、自民党の厚生労働部会などは、
「臨時給付金」案を合同会議で了承。
「お年寄りら1250万人に来年1人3万円を配る」
単純計算で3750億円。
小泉進次郎農林部会長は、
基本的な考え方を質して反対したが、
加藤勝信1億総活躍相と、
稲田朋美政調会長が押し切った。
絶対多数の与党勢力を利して、
税のバラまきが行われつつ、
増税のために税を使う。
本末転倒。
経済団体も流通団体も、
こぞって反対するのは、
自分らのコスト負担が第一の理由ではない。
こういった無駄な税金の使い方が、
経済を停滞させるからだ。
さらに支援策として投入される1000億円は、
別にメーカーに落ち度はないけれど、
最終的にメーカーに落ちる。
中小食品小売業も大変だけれど、
中堅小売業も大手小売業も、
同じようにコスト負担に耐えねばならない。
一方、外食産業は、
2%分の割高感の影響を受ける。
公平な競争は阻害される。
つまり政府にはいまだに、
重厚長大産業を重く見て、
軽薄短小産業を軽くあしらう傾向がある。
このことは商業者自身が、
自覚しておかねばならない。
小売商はどうせ烏合の衆。
減税してやれば何も言わない。
そんな意識がどこかにないか。
競争は公明正大に店頭で、
政策は大義を持って一致して。
税金を払う。
その徴収に協力する。
国民として、その労を、
惜しんではならない。
しかし古い序列意識は正さねばならない。
商業の地位を正当に位置づけるために。
〈結城義晴〉