結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年12月31日(木曜日)

大丸の社是「先義後利」と結城義晴の[毎日更新宣言]終了! 

2015年が終わる。
21世紀15回目の大晦日。

日経平均株価の「大納会」、
終値は1万9033円。
1年前に比べると9%高。

アベノミクス効果も、
確かにあるのだろう。

金融緩和一本槍で、
二本槍、三本槍は見当たらないけれど。

もちろん民間企業の努力の成果もあろう。
そこには我が商業やサービス業も、
大いに貢献したのだろう。

今年の私は、
1月からニューヨークを訪れた。DSCN7793-5
ニューヨークでの研修は8回を数えた。

5月にはロンドンを訪問した。DSCN2270-5

都合14チームを率いて、
海外研修は過去、最も多かった。

11月には23日間連続で、
北米大陸をあっちこっちへ動いた。

私はアメリカやヨーロッパを、
教えるだけの対象とは考えていない。

彼の地で研修すること自体の、
効果と成果を最大に評価している。

違いを認識しつつ、
自分の強みを考えること、
それを活かすこと、
そして自ら変わること。

それが米欧のビジネスや商人を、
真剣に学び続けることのほんとうの意義だ。

月刊『商人舎』は、
今年も12回の特集を編んだ。

商人舎magazineの、
Monthly商人舎のページを開く。
その右サイドにあるのが、
「バックナンバー一覧」

1月号から12月号まで、
一つも手を抜くことなく、
完全燃焼ができた。

1月号の特集は、
CONSCIOUS RETAILING
最高意識企業ホールフーズ・マーケットの理論的根拠

アメリカの特集は、
8月号アメリカ小売業テキスト
11月号Kroger&HEB

2月号は、昨年の今日取材。
イオンスタイルを半裸にする
閉塞状況の日本総合スーパーに風穴は開いたか!?

企業特集は、
9月号YAOKO-Innovations
98狭山店⇒2015ららぽーと富士見店〉徹底解剖

世間の話題を独占した。

5月号は、
阪急オアシスと成城石井
何が「高級スーパー」を殺すのか?!

技術的な特集は、
3月号52週MDの錯誤
理論と実践の間に横たわる誤謬を見極めて正す

7月号惣菜ソリューション!!

10月号チラシ広告、まだ効くのか?!

ジャーナリスティックな特集は、
4月号ネットスーパー! 移動スーパー!!
ポスト・モダンのノンストアリテイリングはどっちだ?!

それから6月号、
女性が働きたい店・会社・産業
「日本小売業ダイバーシティ」を厳しく中間総括する!!

そして12月号は、
「流通革命論」の軛(くびき)を断つ
2015脱チェーンストア経営の弁証法

Daily商人舎Weekly商人舎も、
ご愛読を心から感謝したい。

さて、12月の『私の履歴書』
J・フロントリテイリングの奥田務さん。

大丸の社是は荀子の言葉「先義後利」
「常にお客様と社会のことを
第一に考え行動していれば
利益は自ずと生まれてくる」

荀子はこれも言う。
「利を先にして義を後にする者は辱められる」

奥田さんは1980年、
梅田店開設計画の主任に就任。
ブルーミングデールで研修し、
ラックマン会長が教えてくれた言葉。
「店舗コンセプトとイメージを一体化し、
商品だけでなく、売り場の内装、
販売員の服装まで統合した戦略」

これはまさしく、
コーネル大学が提唱し、私が主張する、
小売業ポジショニング戦略だ。

「店に入ったら梅田店であると
誰もが一目でわかるようにしよう」

連載19回目に書かれている。

連載20回は「新しい売場」に挑戦し、
連載21回では「軌道修正」

ポジショニング戦略が、
一朝一夕では完成せず、
試行錯誤と七転八倒であることが、
奥田さんの経験を通して語られる。

見事な実務教科書だ。

その後、1997年、
57歳で大丸の社長に就任。

開けてみると、
本体の営業利益率は0.8%、
有利子負債は1850億円。

私にも似たような経験があるから、
読みつつ、「うんうん」とうなづいた。

奥田さんは聖域なき改革を続け、
合言葉は「顧客の最大満足を最小コストで」

奥田さん自身が、
それを言い続けた。

しかし貫かれていたのは、
「先義後利」

日経新聞『私の履歴書』
2015年最後の月も、
いい内容だった。

さて今年の最後は、
何度も引用した『パンセ抄』
ブレーズ・パスカル、鹿島茂編著。

わたしたちは現在については
ほとんど考えることをしない。
考えるとすれば、
そこから光を取りだして、
未来を照らすためである。

現在はけっして
わたしたちの目的とはなりえない。
過去と現在は
わたしたちの手段である。
唯一、未来だけが
わたしたちの目的なのである。

このように、わたしたちは
現在を生きているのではけっしてなく、
将来生きることを希望しているだけなのだ。
そして、いつもいつも
幸福になる準備ばかりしているので、
現に幸福になることなど
できはしないのもまた必然なのである。

未来だけがわたしたちの目的だ。
しかし将来の幸福の準備ばかりでなく、
手段としての現在を考え、
生きぬくべきなのだ。

その現在は、
2015年から2016年へと変わる。

では恒例のごとく、
結城義晴のブログ[毎日更新宣言]、
これにて終了。

1年間のご愛読、
心から感謝するものだ。

〈結城義晴〉


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