顧客とのエモーション共有と「グランツリー武蔵小杉」の今
月刊『商人舎』2月号。
発売以来、おかげさまで大好評。
続々と問い合わせが来ているので、
今月号は1冊売りをする。
通常は年間購読だが・・・。
申込用紙はこちら→ 2016年2月号ご注文用紙
Facebookにも、
実にうれしいコメントをいただいた。
竹垣吉彦さんは、
イオン北海道㈱取締役管理本部長。
「本日小生にも届きました!
特に54Pからの『斬新レイアウトの実践提案』を拝見し、
何故か、子供の頃に愛読した少年雑誌のグラビアを
思い出しワクワクしました。
当時の少年雑誌には必ず
巻頭グラビヤのページがあって
そこには潜水艦や宇宙都市などの
断面図のイラストが掲載されており
小学生時代の自分はこれが大好きでした」
うんうん。
「男の子はみんな『構造』に
ワクワクするのだと思います。
昔話で恐縮です」
いい話だなあ。
「結城さん、素晴らしい特集
ありがとうございます。
改めて普通の商業誌が
『情報誌』なのに比べ
『商人舎』はエモーションを読者と
共有しようとしているのだと思い知りました」
本当にうれしい。
雑誌も、店も企業も、
いい読者、いい顧客に育てられる。
月刊『商人舎』も商人舎magazineも、
そしてこの毎日更新宣言ブログも、
知識商人とエモーションを共有するために、
発行、発信している。
しかし考えてみれば、お店こそ、
顧客とエモーションを共有するために存在する。
それが「店は客のためにある」の本質だ。
商品やサービスや情報を、
単に売場に並べればいい、
というものではない。
エモーションを顧客と共有する店だからこそ、
「店員とともに栄える」となる。
そして、今月のmessage。
「店はいつも客のためにある。」
店は客のためにあり、
店員とともに栄え、
店主とともに滅びる。〈倉本長治〉
この三行の言葉には、
すべてに「店」の文字が使われる。
それだけ「店」は抜きがたい存在である。
商人はずっと店をつくってきた。
店をつくるのが商人の仕事だった。
店をより良くするのが商人の役目だった。
そして商人は店を変えてきた。
店を変えるのが仕事だったし、
店をより良く変えるのが役目だった。
21世紀に入ってから15年。
その店のつくり方がさらに変わってきた。
レイアウトの引き方も変化を遂げた。
しかし良い店はいつもカスタマーを向いている。
良い店はずっとアソシエーツをいたわっている。
良い店はこれからもリーダーの能力を最大化させる。
アウトスタンディングなポジショニング。
とんがりとこだわり。
店づくりはフォーマット戦略の基盤である。
しかしだからこそ、そこに、
アウトスタンディングな成果が要求される。
こだわり店舗にはとんがり収益性が必須となる。
店はカスタマーを歓喜させ、
アソシエーツを成長させ、
リーダーたちを躍動させる。
店はいつも客のためにあり、
店員とともに栄える。
そして店主とともに滅びる。
〈結城義晴〉
竹垣さん、ありがとうございました。
さて今日は、東京・新小平で、
第一屋製パン㈱の決算取締役会。
無事、終了。
おめでとう。
帰りに、途中下車。
グランツリー武蔵小杉。
東横線とJR南武線、JR横須賀線が、
クロスする駅前立地。
2014年11月22日(土)午前10時が、
グランドオープンだったから、
もう、1年3カ月になろうとする。
イトーヨーカ堂の総合スーパーを核に、
セブン&アイの専門店など160店舗を入居させた、
話題のショッピングセンター。
敷地面積約2万4,900m²、
売場面積約3万7,000m²。
駐車場は地下1・2階に 823台、
駐輪場は約2,000台。
商圏人口は半径5km圏内で、
約117万人、約49万世帯と広い。
1階のイトーヨーカ堂の食品フロア。
食品はまあまあのレベル。
2階はそごう西武の百貨店。
これが、とんだ勘違い。
百貨店は「百貨」であることがレーゾンデートル。
それが十貨店では、全く機能しない。
3階は住宅関連の「HOME & WORKS」
これも依然として、
総合ス―パーの欠点を覆す売場にはなっていない。
4階は「good day park」
子供を中心にした売場。
イトーヨーカ堂の4フロアでは、
食品と子供用品がまあまあだが、
全体としては残念ながらまだまだ。
スタート時点ではたとえ失敗しても、
その後の修正力が抜群だったのが、
イトーヨーカ堂。
その修正能力が消えてしまった。
「店員とともに栄える」がないのか。
4階のフロアのヨーカ堂の反対側には、
グループの赤ちゃん本舗。
それよりも、
「ボーネルンドあそびのせかい」が、
すごい集客。
子供たち、母親たちと、
エモーションを共有している。
㈱ボーネルンドは、
教育玩具、育児用具の輸入・開発・販売業。
3階フロアの一方の核店は、
これもグループのLoft。
手堅い。
そして紀伊國屋書店。
その奥に「白ヤギ珈琲店」
セブン&アイ・フードシステムズが開発。
ロケーションは書店の奥で、
わかりにくいけれど、
午後の時間に、意外なほど、
顧客が入っていた。
1階フロアのスマイルスクエア。
そしてフードコート。
通路側はテーブルも椅子も、
一段と低くなっていて、
子供たちが座りやすい構造。
平日の午後、
全体に子供連れの顧客が多い。
1階のセンターフロアには、
バレンタインデー売場。
久しぶりに訪れたグランツリー武蔵小杉。
この店がオープンしてから今日まで、
店も店員さんたちも、頑張ってきた。
その間、2014年5月15日付で就任した、
社長兼COOの戸井和久さんが、
今年1月8日付で電撃辞任。
お客さんたちは、
そんなことを知る由もない。
しかし、
店は客のためにあり、
店員とともに栄え、
店主とともに滅びる。
顧客とエモーションを共有できなければ、
店主が「お先に」と言って、
去ることもあるのだ。
〈結城義晴〉