「三月去る月」の「実体経済」とシャープの「社徳のなさ」
「二月逃げる」で、
三月がやってきた。
今月は「三月去る」
一月往ぬる、
二月逃げる、
三月去る。
毎年、年初の3カ月は慌ただしい。
2月末決算企業は、
昨日で2015年度が終わり、
3月末決算企業は、
今月末でそれが終了する。
しかし、常のことだが、
「今日も一日、慌てず、急げ!」
これは結城義晴のオリジナル標語。
私は1月4日にジジを亡くし、
それからの日々は、
例年以上に速く感じられる。
そしてもう3月。
今月は海外出張もなく、
比較的穏やかに過ごすことができる。
さて、リニューアル中の、
商人舎公式ホームページ。
右段4番目に新しいボタン。
ウレコン
カスタマーコミュニケーションズ㈱の、
商品情報検索サイト。
私が非常勤取締役を務めるから、
リンクすることにした。
850万人の全国パネル顧客購買履歴から、
商品別に市場動向を見ることができる。
昨年4月20日にリリースしたサービスだが、
ずっと無料で提供することになった。
ご活用願いたい。
自社、自店のPOSデータやID-POSデータと、
全国パネルとの比較にも使うことができる。
商人舎ホームページも、
商人舎magazineサイトも、
常に小さなイノベーションを繰り返す。
「慌てず、急げ!」
私はいつも自分に言い聞かせ、
スタッフにも理解してもらう。
今日のWeekly商人舎日替り連載は、
常盤勝美の2週間天気予報。
お天気産業の諸君、
これは極めて重要な情報である。
よろしく。
昨日のうるう日。
イオンの店を巡った。
イオンスタイル御嶽山駅前店。
店長の河井祐介さん(左)と、
ソムリエのハタノさん。
自由が丘のイオンリカー。
店長の山本英司さん。
うるう日に、みんなにお会いして、
本当に気分がよくなった。
さて、アメリカでは今日が、
Super Tuesday。
大統領選挙の予備選挙・党員集会が、
民主党、共和党それぞれに、
12州、13州で一斉に行われる。
いわば1日で、
最大の代議員を獲得することができる日。
民主党は、 ヒラリー・クリントン女史がリード。
第4戦までに3勝1敗。
12州のうち、7州で有利な展開が見込まれる。
こちらはどうやら、
クリントン女史で落ち着きそうだ。
共和党はドナルド・トランプ氏が3連勝中。
クリントンvsトランプとなれば、
おもしろいことは面白いが、
世界情勢に関しては、
かなり心配になってくる。
このあと6月まで、
残る各州で予備選挙が実施され、
7月18~21日に共和党全国大会、
7月25~28日に民主党全国大会。
ここでそれぞれの候補者が決定する。
さらに10月頃に、
大統領候補討論会が催され、
世界の関心が最高潮に高まったところで、
11月8日に大統領選の選挙人選挙投開票。
この日、私はサンフランシスコにいる。
そして12月、選挙人による投票で、
大統領が正式に選出される。
今日のスーパーチューズデーは、
その第一段階の節目といったところ。
大統領選びのセレモニーに、
アメリカ中が浮かれているように見えて、
実体経済はしっかりしてきている。
今日の日経新聞『大機小機』
コラムニストの一直さんが書く。
「市場は実体経済を反映せず」
先週末、上海で重要な会議が開かれた。
20カ国財務相・中央銀行総裁会議、
通称G20。
評価すべき声明。
「最近の世界的な市場の大規模な変動は
世界の実体経済の動向を
反映したものではない」
このことを明言した。
つまり世界経済の基礎的条件は、
「中国や資源依存の一部の諸国を除けば
順調といってよい」
国際通貨基金の見通し。
「2016年の実質成長率は3.4%」
「世界経済の成長率は、
長期にわたってほぼ
実質3%前後で安定」
一方、株式マーケットは、
「危機的状況」を示唆する。
つまり実体経済と金融経済は、
乖離している。
アメリカの1月の完全失業率は、
リーマン・ショック以降の最低を記録。
4.9%。
雇用者の賃金も顕著に上昇。
日本でも完全失業率は3.3%で推移。
デフレ突入前の完全雇用状態に回復。
総務省の労働力調査。
「昨年、正社員数が
8年ぶりに増加に転じた」
2015年の成長率は、
「名目、実質ともにプラス成長を達成」
コラムニストが言いたいこと。
「マーケットを支配している投機筋は
マイナス材料を実態以上に強調することで
差益をかせごうとしている」
だから「いま大事なのは、
投機筋に売り込む口実を
与えないことだ」
その通り。
実体経済を支えているのが、
小売サービス業。
金融経済の「市場が混乱すれば
やがて実体経済にはねかえる」
さらに「超低金利のもとで
政策の幅が制約されている」
実体経済は、
自信を持って仕事しよう。
もちろんそれに水を差す消費増税は、
見送るべきだろう。
我々に存分に仕事させろ!
それを強く主張したい。
ただし、その仕事の仕方にも、
哲学がいる。
日経電子版「ニュースこう読む」
編集委員の西條都夫さん。
「シャープ追い詰めた『社徳』のなさ」
迷走するシャープの再建。
「かつては液晶で一時代を築いた同社が
なぜ追い詰められたのか」
西條さんは言う。
「『社徳のなさ』もその一因」
「人間に『人徳』『人望』があるように、
会社にも『社徳』『社望』がある」
「社徳のある企業とは立派で尊敬され、
だれもがその企業と取引したい、
提携したいと思う存在である」
「逆に社徳のない企業とは
自己中心的で威張っており、
できれば付き合いたくない存在だ」
かつて安土敏こと荒井伸也さんが、
「家畜」に対して「社畜」なる言葉を使ったが、
「人徳」に対して「社徳」。
日本企業群には不文律がある。
「他社の悪口は言わない」
しかし、シャープについては、
「何人かの経営者から
あからさまな悪口を耳にした」
コマツ、日立製作所、
そして東芝とソニーのOBの声が、
列挙される。
一言で言えば、
「三方良し」の考え方の欠落。
売り手良し、
買い手良し、
世間良し。
私は別の言い方も使う。
あなた良し、
わたし良し、
天も良し。
それが「社徳」の正体。
実体経済は特に、
「社徳」によって支えられている。
「三月去る」ときにも、
みんなで「社徳」を積みたい。
〈結城義晴〉