二宮尊徳の「至誠・勤労・分度・推譲」とサミット㈱本部訪問
商人舎横浜オフィスの裏の遊歩道。
もう桜が開花した。
この一本の桜は毎年、
この地域の中で一番の早咲き。
いつもいつも、
「早仕掛け・早仕舞い」
模範のような桜だ。
朝日新聞の『折々のことば』
編者は鷲田清一さん。
「清く楽しく美しく」
〈小泉今日子〉
あの「なんてったってアイドル」
キョンキョン、KYON2と書く。
「清く正しく美しく」
これが正統派の標語。
女優で言えば吉永小百合。
それに、小泉今日子はちらっと反発する。
「なければならない」という窮屈な意識は
感覚を怯(ひる)ませる。
「みんなが高速道路を
ガーッて走っているんだけど、
畦道をバイクで走ってるみたいな感じ」
のほうが素敵。
KYON2らしい。
そしてこれが商売の極意に通ずる。
「美しく」というのが、
なかなかに難しいけれど。
毎日新聞の巻頭言、
昨日の『余禄』
冒頭に二宮金次郎をもってきた。
後の農政家、二宮尊徳。
江戸後期の神奈川県・小田原の生まれ。
二宮尊徳の教えは、
「報徳思想」として知られる。
道徳と経済の調和・融和を図る考え方。
私利私欲に走らず社会貢献すれば、
やがて自らに還元されると説く。
尊徳は「至誠・勤労・分度・推譲」を教えた。
まず徹底して誠を尽くした暮らしをする。
それが「至誠」だ。
儒教でいう徳や仁と同意。
次に日常生活のすべての選択を、
至誠によって行いながら働くことを、
「勤労」という。
至誠は心の状態を意味するが、
勤労は行動になって現れた状態を指す。
尊徳が唱える「勤労」とは、
単に働くことではない。
日常のすべての勤労の行動を、
心の誠の状態から行う。
当然それは消費活動に現れる。
無駄がなくなり、自ずから贅沢を慎む。
これを「分度」という。
身の丈に合った暮らしをすることだ。
至誠から勤労した結果、
自然に「分度」となる。
最後に分度して残った剰余を他に譲る。
それを「推譲」とよぶ。
ここでも推譲は単なる贈与ではない。
至誠・勤労・分度の結果、
残ったものが推譲される。
そして「至誠・勤労・分度・推譲」を貫徹すると、
人間は物質的にも精神的にも、
豊かに暮らすことができる。
つまり経済が潤う。
「至誠・勤労・分度・推譲」の実践のなかで、
徳が徳によって報われていく。
これが「報徳」思想である。
商業界の倉本長治の考え方は、
ある意味でこの二宮尊徳の報徳思想に通じ、
それをわかりやすく展開している。
「損得より先きに善悪を考えよう」
『商売十訓』第一訓。
「欠損は社会の為にも不全と悟れ」
その第五訓。
尊徳の言葉。
「道徳なき経済は犯罪であり、
経済なき道徳は戯言(たわごと)である」
さて今日は、
夕方、東京・西永福へ。
サミットストア西永福店は、
改装の真っただ中。
3月30日にリニューアル・オープン。
サミット㈱本部を訪問。
入り口玄関わきに、
「見おろすスーパーマーケット」
2013年11月18日に、
サミット50周年を記念して、
スーパーマーケット・ミュージアムが開設された。
私のブログでも紹介した。
その時の模型が展示されている。
素晴らしい。
牛・豚・鳥も、おもしろい。
今日は月刊『商人舎』4月号の取材。
話を聞き、話をする。
そして最後に写真。
右が服部哲也さん、
後は星野郁夫さん、中村聖さん。
服部さんは取締役常務執行役員・商品統括、
星野さんはサイト開発部・店舗開発部担当取締役。
中村さんは広報室マネジャー。
服部さんはコーネル・ジャパン伝説の第一期生。
同社社長の田尻一さんは6月27日に退任する。
今日はその話は抜きでの取材。
しかし私はこのブログで、
「実にもったいない」と表現した。
今年度の商人舎標語は、
「人をつくる、人を残す。」だ。
このなかで後藤新平を引用する。
金を残すは下なり、
事業を残すは中なり、
そして人を残すは上なり。
ここでいう「人」には、
もちろんトップマネジメントも含まれる。
いや、経営的に見れば、
つくられねばならない「人」の筆頭には、
トップマネジメントが来る。
そのトップマネジメントに求められるのは、
「報徳」の考え方だと思う。
人を残すは上なり。
そして「清く楽しく美しく」
サミットは、
そういう会社でいてほしいものだ。
〈結城義晴〉