倉本長治「聖書・論語と金儲け」と平田オリザの「コンテクスト」
昨日の法政大学訪問。
流通産業ライブラリーに、
ペガサス文庫と倉本文庫ができた。
矢作敏行先生の功績。
矢作先生はこの3月末で、
法政大学教授をご退任。
これから月刊商人舎でも、
健筆をふるっていただく。
日本にはない、新しいものを、
新しい書き方で書いていただく。
ご期待願いたい。
その倉本文庫。
長治先生の作品も展示されている。
「バイブルや論語には
金儲けは書いてない
でも金儲けの中には
バイブルや論語が
必要なのである」
そして長治先生の原稿。
「シューパーマーケット」
左下の原稿のタイトル。
いいなぁ。
そして単行本。
左端にあるのが、
「ショーウィンドウの飾り方」
「ショーカードの書き方」
ショーカードは今流行の「コトPOP」のこと。
POPとショーカードは使い分けるもの。
それが原則だが、昭和30年代、40年代に、
それがきちんと書かれている。
下の段には、
レブハー著『チェーンストア』
そして多作の倉本長治の集大成。
『商人の心の書』は、
私もほしいくらいの全集だ。
この倉本文庫は、
故倉本初夫主幹が所蔵していた3200冊を、
法政大学が買い取って、
産業のためのライブラリーとした。
心から感謝したい。
倉本蔵書の一部から、
長治先生の「手帳」を、
個人的にもらって行った人がいるが、
それは社会や産業の財産だ。
返却願いたいものだ。
それにしても、
聖書と論語。
商売に必須の教科書だ。
例えば、JCPenny創業者の、
ジェームズ・キャッシュ・ペニー。
1902年に創業した時、
店頭に掲げたのは、
「ゴールデンルール」だった。
「さらば、すべて、
人にせられんと思うことは、
人にもまた、そのごとくせよ」
(新約聖書マタイ福音書7章12節)
この文脈をとらえると、
「自分が、そうしてもらいたいと思うことは、
すべて、同じように、お客様にしてあげなさい」
「自分が、そうありたいと思うことは、すべて、
同じように、部下や仲間にもしてあげなさい」
上が「店は客のためにある」
下が「店員とともに栄える」
これを実行して、JCペニーは、
シアーズと肩を並べる企業に成長した。
『お客様のためにいちばん大切なこと』
結城義晴著だが、その中に書いておいたし、
アメリカ研修ではいつもテキストに入れて、
講義の中で触れることにしている。
さて朝日新聞『折々のことば』
鷲田清一さんが編者。
昨日の360番。
コンテクストの近い人でなく、
コンテクストを広げられる人でもなく、
独特のコンテクストを持っている人から
採ってゆく。
〈平田オリザ〉
平田 オリザは劇作家、演出家。
劇団青年団主宰、こまばアゴラ劇場支配人。
1962年11月8日生まれの53歳。
「現代口語演劇理論」の提唱者。
芝居がかった台詞ではなくて、
自然で日常的な話し言葉ややり取りで、
演劇の舞台を演出する方法を体系化。
その平田が団員を採用するとき、
この言葉を方針にしている。
「コンテクスト」は、
「脈絡」とか「文脈」の意味だが、
「この場合、その人の立っている場所、
とくにそこで彼/彼女が
どんな人のネットワークを
紡いでいるかということ」
平田は「自分のそれと
かけ離れた人から選んでゆく。
思いも寄らないものとの接触からしか
真に新しいものは生まれないから」
ピーター・ドラッカーの「コンフリクト」に、
ひどく似ている。
つまり「対立軸」
チームの中に「コンフリクト」を、
つくっておくこと。
それから集団志向の危険性。
これはケン・ブランチャード。
コーネル大学博士のコンサルタント。
ドラッカーもブランチャードも、
商人舎ミドルマネジメント研修会で、
必ず強調する内容だ。
そのミドルマネジメント研修会。
第9回目を迎えるが、
6月7・8・9日の2泊3日。
湯河原での超ハード研修。
募集中です。
それにしても倉本長治。
「バイブルや論語には
金儲けは書いてない
でも金儲けの中には
バイブルや論語が
必要なのである」
商売には、平田オリザの演劇も、
黒沢明の映画も、
パスカルやアランの哲学も、
そして絵画も音楽も文学も。
その真髄となるものは、
みな、必要である。
それが知識商人の道だ。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
ブログを拝見させて頂きました。
店はお客様のためにある。
店員と共に栄える。
大事な事を忘れてしまっている会社であるが為に
その言葉に胸が痛む思いです。
明日から気持ちを切り替えて、自分だけでも、
目の前のお客様を大事にしていきたいと改めて考えました。
また読みに来させて頂きます。
篠塚さん、ご投稿感謝します。
私は「自ら、変われ!」を言い続けています。
自分が変わらねば、仲間を変えることはできない。
自分が変わらねば、職場を変えることはできない。
自分が変わらねば、店を変えることはできない。
自分が変わらねば、会社を変えることはできない。
まず、自分が、お客様を大事にしていこうと、変わること。
そこから、少しずつ、状況が変わっていきます。
いつでも、読みに来てください。
いつも、いつまでも、歓迎します。