熊本地震、お見舞いしつつ、鈴木敏文辞任「本当の理由」
21時26分、
熊本を中心に九州全域に地震。
震度7。
熊本城の石垣は崩れ、
その後も余震が続く。
心からお見舞い申し上げたい。
まだまだ予断を許さない。
ああ、日本地震列島。
地震が起こるたびに思う。
原発の問題に対しては私、
小泉純一郎元首相と同意見だ。
その面では、
ああ、安倍晋三の浅はかさよ。
我々の愛する故郷は、
地震列島だからこそ、
福島原発問題にも、
全国の原発問題に対しても、
真剣に取り組まねばならない。
さあ、小売りサービス業の出番だ。
自らの安全を確保しながら、
元気を出そうよ、
元気を売ろうよ。
それがあなたの仕事です。
それがあなたの役目です。
さて、午前中は横浜商人舎オフィスに来客。
午後は、東京・日暮里でコンサルティング。
その間、商人舎オフィスでは、
商人舎マガジンWeb会議。
私が不在でも、会議はきちんと行われて、
物事が決まっていく。
それがマネジメントです。
さてさて、セブン&アイ事件。
私の予想は外れそうだ。
鈴木敏文会長が突如、退任を表明し、
村田紀敏社長もそれを追うように退任の意思を表し、
後継社長が誰になるかに関心が集まっていた。
明日の15日に、
新体制を固める指名・報酬委員会開催。
二人の社外取締役の委員が、
セブン-イレブン・ジャパン社長の井阪隆一さんを指名。
村田さんも渋々、それを承認するようだ。
「井阪更迭」の人事案から発した今回の騒動、
「井阪昇格」の逆転現象で決着がつきそうだ。
最終的には19日の取締役会で決定されるが、
しかしそれでも4月7日の退任記者会見は、
いったい、なんだったのだろう。
セブン&アイのコーポレート・ガバナンス。
昨年6月1日から上場企業に適用され、
3つの企業の統治形態が規定された。
第1が一番緩い「監査役会設置会社」、
第2が一番厳しい「指名委員会等設置会社」。
そして新たに第3に両者の中間ともいえる、
「監査等委員会設置会社」。
イオンは一番厳しい第2のパターンを採用して、
指名委員会、報酬委員会、監査委員会を設置し、
いずれの委員会にも過半数の社外取締役を任命。
それに対してセブン&アイは、
一番緩い第1のパターンだが、
今年3月に急きょ、
任意の指名報酬委員会を設置。
皮肉にもその任意の指名報酬委員会が、
「井阪更迭」で意見が半々に割れて、
監視機能を発揮した。
それでも、4月7日記者会見での、
暴露の内容が消えることはない。
井阪隆一のこと、
伊藤家のこと、
そして鈴木敏文自身のこと。
コーポレートガバナンスからほど遠い事実が、
公になってしまった。
顧客はどう思ったか。
従業員はどう感じたか。
セブン-イレブン加盟店主たちはどう考えたか。
取引先はどう受け止めたか。
買い手良し、
売り手良し、
世間良し。
近江商人の三方良し。
世間はどう判断したか。
まったくもって、残念でならない。
この件に関して、
私のところに直接、
様々な人たちから報告が入る。
情報交差点。
特にイトーヨーカ堂の人々。
その中のおひとりのメール、
代表的な意見。
「私達、IYOBは拍手を持って
受け止めているのが実状です。
『IYをダメにしたのは、鈴木敏文氏である』
と考えているOBは多いです」
『今までの鈴木さんの独善的なやり方、
イエスマンばかりを周辺においた人事、
IYいじめ的な言動(CVSばかりでIYは他人事)。
公になって良かったのではないでしょうか」
「マスコミも、鈴木さんの言ったことを
随分と持ち上げてきました。
本当に『流通のカリスマ』ですか」
一方、擁護の見解も発表されている。
鈴木敏文辞任の「本当の理由」
プレジデントon-line。
「鈴木氏本人をして
『私以上に私を知っている』と言わしめた
ジャーナリストの勝見明氏が、
その真相を分析する」
これがイントロダクション。
しかしこれを読んだら、
亡き緒方知行さんは憤慨するだろうな。
勝見さんよりもずっとずっと、
付き合いは長いし、
鈴木さんの本質を知っていた。
「私が鈴木敏文という人間に
強い関心を持ったのは、
巨大企業のカリスマ経営者からだ
というだけではない」(原文ママ)
勝見氏、
「巨大企業のカリスマ経営者だから」と、
言っている。
「20世紀最大の思想家であるハイデガーの
『未来が過去を決定し、現在を生成する』
『過去が今を決めるのではなく、
未来というものを置くことによって、
過去が意味づけされ、今が決まる』
という考え方を、鈴木氏が
経営において実践していることへの
共感からだった」
こういう言い方をされたら、
鈴木さん、喜んだだろうな。
「今回鈴木氏が提案した
井阪隆一社長を退任させる案も、
まったく同じ発想から出てきたもののように
私は感じる」
「同社の指名・報酬委員会において
社外取締役が
『5期連続最高益を実現した社長を
辞めさせるのは世間の常識が許さない』と
鈴木氏の案に反対したのは、
過去の延長線上での発想であった。
『世間の常識』は常に
過去の延長線上で考えるものだからだ」
しかし鈴木さんには、
コーポレートガバナンスの考えが薄かった。
だから退任することになってしまった。
「鈴木氏は、
『この先、顧客のニーズが
さらに変化していったとき、
井阪氏が社長の体制では
対応していくことは難しい』と
未来から発想し、
社長交代を考えたのだろう」
顧客のニーズの変化に対応する。
マーケティングそのものだが、
鈴木さんにとって、
それが至上命題だった。
鈴木さんは、
類稀なるマーケッターだった。
以前にも私は、このことを書いた。
しかし、マネジメントとして、
どうだったのか。
顧客ニーズの変化に対応して、
金を残し、仕事を残す。
しかし残念ながら、人は残らない。
イトーヨーカ堂を去ったOBたちは、
イトーヨーカ堂に残らなかった。
セブン-イレブンのOFCも、
代々、定着率はひどく悪い。
セブン-イレブン・ジャパンにはいまだに、
労働組合がない。
2016年の商人舎標語。
人をつくる、人を残す。
会社は人が集うところ。
店は客という人たちが群がるところ。
売場も人が寄ってくるところ。
2016 年をとおして、
会社も店も売場も、
人々が好んで集まるところとなりたい。
金を残すは下なり、
事業を残すは中なり、
そして人を残すは上なり。(後藤新平)
そのために人を集め、
人を育み、
人を残す。
もちろん金がないと人を雇えない。
事業がないと人に仕事を与えられない。
それらがないと人を育てられない。
だから金も儲ける。
事業も栄えさせる。
そして人を伸ばす。
2016 年をとおして、
社長は社員を愛でる。
店長は店員を育てる。
リーダーは仲間を励まし、
会社はパートタイマーを大切にする。
それらすべてが顧客を喜ばせる。
2016 年は人で決まる。
人が好んで集まるか否かで決まる。
2020 年まで人で決まる。
人の強みを生かすこと。
一人ひとりの個性を花開かせること。
それがマネジメントの本質である。
金を残すは下なり、
事業を残すは中なり、
そして人を残すは上なり。
そのために人を集め、
人をつくる。
人を残す。
2016 年をとおして、
会社も店も売場も、
人々が喜び勇んで集まるところとなりたい。
〈結城義晴〉
そう、2016年は、
人が好んで集まるか否かで決まる。
これからのセブン&アイ・ホールディングスも。
〈結城義晴〉