ジョージア州アトランタ、Publixが加わったコンテスト型競争
日曜日にアトランタから帰ってきて、
休む間もない。
昨日の夜は、横浜商人舎オフィスを、
當仲寛哲さんと荒川未帆さんが、
訪ねてくれた。
當仲さんは㈱USP研究所所長、
未帆さんは6月から、
商人舎にアルバイトとして参加してくれる。
19歳の大学2年生。
それから今日は、
商人舎顧問の社会保険労務士の先生方。
石澤清貴先生と長﨑明子先生。
今日は午後からずっと、
ある上場サービス業のコンサルティング。
プロジェクトチームのディスカッションをまとめ、
アドバイスしつつ風土改革を試みる。
それから商人舎basicコースの帰国報告。
先週火曜日の17日にラスベガスで別れ、
帰国の途についた団員たち。
㈱マツモトのチームだけは、
リーダーの八田茂徳さんの前で
なぜか、膝まづいて反省のポーズ。
空港でのお茶目な演技。
マツモトのみんなは最後まで元気。
理解度テストの成果も上がったし。
そして最後は、この二人。
JTBのカリスマ添乗員・佐藤公彦さん、
現地でサポートしてくれた上松磨代さん。
カリスマ佐藤は来月の上海で、
キューティ上松は来年も、
まだまだ、よろしく。
さて私のアメリカ研究旅行。
最後の報告は、
ジョージア州アトランタ。
マーケットシェアは、
第1位クローガーが約26%、
第2位パブリックスが約24%。
そのパブリックス。
全米第3位のスーパーマーケット企業。
非上場のリージョナルチェーンながら、
2015年年商305億6000万ドル。
3兆560億円。
フロリダを中心にこのジョージア周辺の州で、
ドミナント展開する。
そして、この店が素晴らしく、いい。
㈱万代会長の加藤徹さんも、
どんどん質問。
副店長のウィリーさんと、
広報担当のブレンさん。
すごく感動したので、
月刊商人舎6月号の特集で、
詳しく紹介。
ご期待ください。
さらにパブリックスの都心型店舗。
英国テスコならば、
さしずめメトロ・フォーマット。
1階の入り口を入ると、
地階が見下ろせる。
縦長の店舗。
一番奥に青果部門。
調剤薬局も併設して、
ここがピック・アップのコーナー。
入口からビール、ワイン、ドリンク。
その奥はデリ。
パブリックスのレギュラー店舗から、
エッセンスを抜き出して、
都心型中型店に仕立て上げた。
その割り切りが、うまい。
近隣に大学があって、
カフェスペースも広い。
マーケットシェア2割を超えるには、
マルチフォーマット戦略は必須だ。
このエリアでもトップをとるのが、
全米第1位のスーパーマーケット、
クローガー。
副店長のカルビン・ルーカスさんにインタビュー。
通訳はJTSプレジデントの安田幸雄さん。
三人でグー。
クローガーはどんな店も、
入口の生花とそれに続く青果を強化する。
バナナの売り場も感動的。
昨年リニューアルして、
チーズショップを導入。
ニューヨークのマーレイズ。
創業70年の老舗チーズ専門店が、
インショップで入居。
オーガニック&ナチュラルのコーナーも、
3倍の伸びを示す。
もちろんクローガーも、
フード&ファーマシー。
クローガーとパブリックスが、
がっぷり四つに組み合う中、
ウォルマートは三番店で17%のシェア。
雨に濡れて、
ウォルマートが泣いているか。
しかしそのウォルマートも充実。
7000坪ワンフロアのスーパーセンター。
牛肉は、フレッシュ、テンダー、ジューシー。
新鮮で、柔らかくて、ジューシー。
青果部門のクレートの色が変わった。
そして全部、可変式の滑車付き。
アトランタ高級住宅街立地のこの店には、
ワインコーナーに高額品が並ぶ。
モエ・エ・シャンドン58ドル77セント、
ヴーヴ・クリコ63ドル97セント。
ウォルマートもどんどん客層を広げている。
そしてオーガニック御三家。
ホールフーズ。
青果部門のキャッチフレーズは、
「Better Produce Lower Price」
バナナ売り場もユニーク。
これです。
バルク売り場が青果に続いて、
野菜果物から穀類へとコンセプトを繋ぐ。
グロサリーエンドも、
輝くようだ。
そして湾曲したレイアウトのシーフード。
ミート部門から乳製品部門へ。
変形レイアウトで、
個店ごとに異なる特徴を持つが、
それでもまぎれもないホールフーズ。
それが現代化された標準化の本質である。
ワイン売り場の天井には赤いレールが敷かれ、
専門店性を強調する。
店舗奥の乳製品売り場は、ここも、
長い陳列線を湾曲させて飽きさせない。
そして最後がベーカリー。
セルフデリとサービスデリ。
この後、イートインコーナーに続く。
私はホールフーズのデリは、
全く心配していない。
世界最高峰。
しかし肝心の青果部門に、
迷いが見られる。
それはちょっと気にかかる。
そのホールフーズの天敵、
トレーダー・ジョー。
こちらはホールフーズの売れ筋を、
絞り込んでプライベートラベルにする。
しかも安い。
「良い品をどんどん安く」
それがトレーダー・ジョーだ。
最後にジョージア州でも、
スプラウツ・ファーマーズマーケット。
店舗中央に青果部門が、
デンと構える。
その前面、レジ側がバルク売り場。
チアシードも、バルク売り。
1ポンド4ドル49セント。
レジの上に赤・青・白の風船。
そして72時間プロモーション。
スプラウツもいまや、
ホールフーズの目の上のたん瘤。
アメリカ南部の豊かなアトランタ。
クローガーとパブリックスの競争、
それにウォルマートが絡む。
三者のマーケットシェア争奪戦。
その一方で、ホールフーズと、
トレーダー・ジョー、スプラウツの激闘。
こちらはマインドシェアの獲得合戦。
それらすべてが、
コンテスト型競争を展開する。
一方で、フレッシュマーケットは、
スプラウツと同じ資本グループに編入された。
このジョージア州アトランタも、
アメリカの競争の典型を見せてくれる。
ある一定以上の規模がなければ、
どんどん大手資本に取り込まれる。
果たして日本でも、
こんな現象が起こるのか。
ここに焦点が集まる。
ただし、拙著『Message』より。
「はじめから競争に参画しない者、
すなわち競争を楽しめない者には
進歩も革新も与えられず、
能力開発の余地もないことをこそ
認識すべきだ」
〈結城義晴〉