上海のカルフール・テスコ・久光百貨店に学ぶ
｢世界株安・円高進行｣
日経新聞が一面トップで嘆き節。
日経平均株価は昨日の段階で、
前週末比マイナス3.5%。
さらに今日も4日続落。
一時、1万6000円を割り込んだ。
長期金利もマイナス0.175％。
連日過去最低を更新。
株価の悲観材料ばかりの中で、
朝5時起きで、ワイキャットから、
リムジンバスに乗って港を見下ろす。
ベイブリッジは美しい。
みなとみらいの上に広がる空が、
気分を晴らしてくれる。
1時間20分ほどで、
成田空港第1ターミナル。
今回はANA919便で、
上海までの一人旅。
9時50分の離陸。
梅雨前線に覆われた日本列島、
富士の頂が雲の上に見える。
やはり、日本一だ。
そして瀬戸内海。
雨雲とその上の雲の間を、
すり抜けるように、機体は飛ぶ。
そして2時間50分、
黄土色の海が現れる。
上海到着。
すぐに関西国際空港組と合流。
万代ドライデイリー会
第14回目の海外勉強会。
まず、中国の老舗カルフール。
1階フードコートには、
回転ずし。
そしてしゃぶしゃぶ。
このあたり日本人が多く暮らす。
2階、3階がカルフールだが、
サービスカウンターは2階。
入口左手が家電売り場。
しかし客足はない。
Eコマースに全部取られている。
右手は4.9元、9.9元均一。
コンコースを右手に曲がると、
子供衣料。
ファッション性が格段に上がった。
婦人衣料も同じようにレベルアップ。
そして新製品コーナーも巨大。
2階一番奥にベイビー。
そしてビューティ。
これはカルフール・プラネットのフォーマットの手法。
スロープで3階に上がる。
菓子の大量陳列。
サントリーのウーロン茶のボリューム陳列。
真ん中にコンコース。
菓子はばら売り。
このバルク販売は日本でも可能だ
そして一番奥に、
一段と暗くなっているスペースが生鮮部門。
鮮魚も暗くしておいて、
スポットライトで商品を引き立たせる。
水槽には生魚。
奥主通路一面に惣菜。
寿司はこんな貧弱な感じ。
しかし生肉の豚肉売り場が、
大きく変わった。
｢日本式切り方」を強調し、
パック販売をしている。
以前はこの売り場は、
むき出しのカット豚肉が、
ジャンブル陳列されていた。
さしの入った牛肉の品ぞろえも充実。
惣菜は作り立てを提供する。
ワインセラー前には、
店員がずらりと並ぶ。
今年の1月から、
また変化がみられるが、
それでも客数は戻ってこない。
Eコマースの隆盛が、
ボディブローのように、
実店舗を痛めつける。
一方、イギリス第1の小売業テスコ。
大型ショッピングセンターの核店舗。
ただし中国のテスコは、
華潤万家に買収されている。
華潤万家は2015年年商1094億元、
日本円で1兆7504億円。
店舗数3400のナンバー1企業。
1フロアのハイパーマーケット業態。
入口の右側に書籍・雑誌コーナー。
意外にいい。
そしてコンコースのディスカウント作戦。
カルフール以上に苦戦中。
店員は多いが、
顧客は少ない。
ディスカウント商品が、
ただ並ぶだけ。
肝心の生鮮食品にも鮮度やボリュームがない。
対面の惣菜売り場。
その前にイートインの椅子席を設けた。
しかしこれも効果を発揮しているわけではない。
さらにテスコの周辺のテナントは、
総退店で、シャッター通り。
ああ、これも、
特徴のない店は、
ネット小売業に完璧にやられている。
今日の最後は久光百貨店。
その地下食品売り場は、
フレッシュマート。
私たちは今年1月にやってきて、
守谷祐一ディビジョンマネジャーから、
話を聞いた。
ロック・フィールドも出店。
RF1と神戸コロッケ。
寿司もカルフールやテスコとは、
段違いに良い。
ジャパニーズ・デリとミートは、
対面販売のショップ形式。
ここでも和牛が重要な位置を占める。
あ
洋風デリも実においしそう。
ワインはエノテカのショップを入れた。
菓子売り場が楽しい。
そしてチョコレートの美しさ。
出前一丁は日本でも見られない品揃え。
飲料売り場はカラフル。
久光の食品売り場が好調であることは、
上海や中国の特徴を示すことになる。
中国において、
高級化=日本化。
それは日本の小売業だけでなく、
製造業や商社・卸売業にとっても、
大いにチャンスがあるということだ。
駆け足で店を回って、
収穫は大きい。
上海小売業のイノベーションのスピード感。
これは見習わねばならない。
夕食は上海料理。
上海小南国。
かつての租界の倉庫街を、
改装して最先端のレストランなどが入る。
4階を借り切って、ぜいたくな食事。
黄浦江の対岸には、
新市街の浦東が見える。
ドライデイリー会会長のあいさつ。
今津龍三さん、㈱今津社長。
そして万代新社長の阿部秀行さん。
この後、全員が一言ずつスピーチ。
私も三言ほど激励のスピーチ。
上海料理とチンタオビール、
そして今夜は赤ワインを楽しんだ。
店の入口で、
赤い人形が送り出してくれた。
それにしても上海のこのエネルギー。
株安など吹き飛ばしてしまうほどだ。
それが上海を学ぶ、一つの理由でもある。
(つづきます)
〈結城義晴〉
