独立記念日のチェーンストア栄枯盛衰と大試食会の悲劇
7月4日のインディペンデンスデイ。
ダラスにやってきて2日目。
溜まりに溜まった仕事を処理しつつ、
研修会に全力投球。
日本の横浜商人舎オフィスでは、
月刊商人舎7月号の最終責了。
それをこちらでチェックしながら、
旅を続ける。
今月の[Message of July]は、
シンプルだからむつかしい。
これが7月の商人舎標語でもある。
ピーター・ドラッカー先生の、
イノベーションの原理は5つある。
第1は、機会を徹底して分析する。
第2は、自分の目と耳で確認する。
第3は、焦点を絞り、単純なものにする。
第4は、小さくスタートしなければならない。
第5は、最初からトップの座を
ねらわなければならない。
このうちの第3が、
「シンプルであれ」と教えてくれている。
しかしこのシンプルであることが、
むつかしい。
焦点を絞り、単純なものにする。
しかし、それこそがむつかしい。
チャールズ・ケタリング。
ゼネラル・モーターズ研究所所長。
彼は研究所の壁に、
ずっと言葉を掲げていた。
「解決されてしまえば、
どんな問題もシンプルだ」
さて、朝から講義。
まず「イオン行動規範宣言」の唱和。
感謝、謙虚、
信頼、正直、誠実。
期待、感動、研鑽。
理想、変革、挑戦。
地域、発展、社会、奉仕。
そして、細田昌幸さん。
イオンリテール人事部長。
丁寧に今日の注意点や、
夜のイベントのレイアウトなど解説。
そして結城義晴。
イオンは日本最大の小売流通業だ。
イオンリテールはその中核企業で、
総合スーパーを展開する。
この視点から、
アメリカのチェーンストアをとらえると、
今、何を変革をしなければならないか。
イノベーションの対象は何か。
モデルとなる企業はどこか。
かつてモデルとしていた企業は、
今、どんな状態になっているか。
今回は「ユニット」のメンバーが、
大挙、参加している。
イオンリテールのイノベーションで、
焦点を握るセクション。
そのユニットの問題解決の方向性は、
どこにあるのか。
アメリカのケーススタディを上げつつ、
私の視点から解説し、意見を言う。
業態とフォーマット。
そのフォーマットとユニットの関係性を、
どう解き明かしたらいいのか。
商品部の面々にも、
店舗の店長にも、
これは極めて重大なテーマだ。
2時間はあっという間に終わり、
今日の視察研修へ。
まず、なんといっても、
クローガー。
全米第1のスーパーマーケット、
全米チェーンストアでは、
ウォルマートに次いで第2位。
入り口は必ずと言っていいが、
花売場が迎えてくれる。
独立記念日だから、
星条旗を模したデコレーション。
そして自慢の青果部門。
オーガニック関連は
このダラス地区のクローガーで、
平均42%の伸びを示す。
この店はダラス地区の最優良店で、
だからオーガニック・ナチュラルは、
48%の伸び率。
生鮮だけではない。
バルクもグロサリーも、
ホールフーズに迫る品揃え。
しかもホールフーズよりも、
明らかに安い。
チーズコーナーも、
新しいディスプレイ。
ケーキにも星条旗があしらわれている。
そしてオペレーションマネジャーのジョンさん。
ネクタイは星条旗。
この4日間、このネクタイで通している。
初めてインタビューを受けるということで、
ちょっと緊張気味だったが、
1時間近くも質疑応答。
ありがとうございました。
沢田泉さんからお礼のプレゼント。
ホームファーニシング商品部部長。
次にストーンブライアショッピングセンター。
核店舗は百貨店が5店入っている。
ノードストローム、
メイシーズ、ディラード、
そしてシアーズとJCペニー。
そのフードコートのメリーゴーランド。
まず、かつての王者シアーズ。
このセンスは何とかならないものか。
独立記念日で、
モールはすごい賑わいだが、
シアーズは静かそのもの。
そしてシアーズと覇を競ったJCペニー。
ファッションが強い会社だったが、
今は、顧客がまばら。
ディラードはちょっと覗いて、
すぐに退散。
今年の働きたくない企業ワースト10に入った。
そして世界最大の百貨店メイシーズ。
キッチンウェアはメイシーズの看板部門。
このユニットはどう構成されているのか。
マネキンもかわいい。
しかしメイシーズから店員が激減している。
百貨店から店員サービスがなくなったら、
何が残る?
最後はノードストローム。
入り口のマネキン。
ショッピングセンター全体で、
独立記念日セールを展開しているが、
この入り口のマネキンのセンスは抜群。
そしてメインステージ。
自慢の靴売場のマネキン。
これも素晴らしい。
百貨店競争は、
ノードストロームの圧勝。
シアーズもJCペニーも、
ディスカウントデパートメントストア。
これらがとくに落ち込んでいる。
その理由は団員には、
いやというほどわかったはず。
そしてベッド・バス&ビヨンド。
天井までの陳列が特徴。
ホームファッションチェーンで独壇場。
しかし停滞気味だった。
面白い商品。
ラップ・デスク。
パソコンの携帯用簡易デスク。
よほど、買おうかと思ったが、
踏みとどまった。
ちょっと大きくて、
持ち帰りにくい。
この後はスーパーマーケットを連続視察。
まず、スプラウツファーマーズマーケット。
2013年8月にナスダック上場以降、
絶好調。
ホールフーズが大きな打撃を受けた。
この店も相変わらず、
ユニークな店づくりと、
専門化されたマーチャンダイジングで、
繁盛している。
トマトの平台。
飲料平台に星条旗。
そしてネイバーフッドマーケット。
ウォルマートのスーパーマーケット。
当然のことながら、
入り口ステージには、
独立記念日のクッキー。
ウォルマートはどこよりも、
イベントプロモーションを、
早仕掛けで盛大に展開する。
ここで、今夜の試食会の買物。
1班4班はアルコール係。
テキサスビールのシャイナーボックを、
41人分、大量に購入。
それからプロモーションコーナー。
独立記念日の当日午後から、
バック・トゥ・スクールへの切り替え。
すごいオペレーションだ。
アメリカのバック・トゥ・スクールは、
独立記念日からレイバーデイまで。
その独立記念日当日の午後、
「早仕掛け・早仕舞い・際の勝負」へ。
ウォルマートのこの転換力は、
シアーズやJCペニーには、
ひとかけらもない。
そしてホールフーズ。
世界最高峰、最大規模の、
オーガニック・スーパーマーケット。
ただし青果部門に、
一抹の不安。
それでも乳製品も、
ミート・シーフードも充実。
そして店舗左翼のデリ部門。
セルフデリはホールフーズが考案した。
そのデリにバーを併設。
これはもう必須コーナー。
店員のモチベーションは、
全く衰えない。
しかし、どこかで歯車が、
狂い始めたような気がする。
その後、トレーダー・ジョーへ。
しかし独立記念日に、
夕方5時で閉店。
現場のクルーも家に帰って、
記念日を祝いたい。
それに応えたトレーダー・ジョー。
その姿勢に免じて、
許そう。
代わりにもう一度、
別のクローガー。
クローガーはダラス・フォートワースで、
マーケットシェア17.2%。
だからどこにでも店がある。
ただしこの店はトムサムだった。
セーフウェイ傘下の企業。
トムサムが撤退して、
最後にクローガーが居ぬきで入った。
だから基本レイアウトは、
セーフウェイ方式。
左翼奥に青果部門。
クローガーなりによくこなしているが、
やはり入り口は花と青果で迎えてもらいたい。
ここで最後の買物。
冷凍食品が発達したアメリカ。
クローガーのプライベートブランドを、
私は奨めた。
今日の視察と買物が全部終わって、
ホテルに戻ると、さっそく、
夜の試食会の準備。
各班、自分たちの部屋のキッチンで、
素早く調理して、会議室に持ち込む。
その時間、30分から40分。
ビールもしっかり冷やされた。
いよいよ試食タイムスタート。
1・4班を代表して、平井一巳さんが説明。
さいたま市事業部長。
そして全員で写真。
2班班長は犬丸久美さん。
グループ商品調達部長。
隣は堀口恵津子さん、
イオン西新井店店長。
そして作品を持って写真。
3班班長は岸幸司さん、
東北カンパニー経営企画部部長。
そして自慢の作品を提示。
5班班長は沢田泉さん、
ホームファーニシング商品部部長。
この班も商品を示しつつ写真。
しかし、この班の商品が、
あとで問題を起こすことになった。
クローガー製のカップケーキ。
もちろん星条旗仕様。
最後は6班の大泉拓史さん、
イオン小松沖店開設委員長。
来年4月にオープンする新店の店長となる。
この班は冷凍食品を的確に購入して、
アメリカ人らしい食事を用意した。
プレゼンテーションが終わって、
全員で乾杯。
乾杯の音頭は1班の平井さん。
そして試食会スタート。
できるだけ手抜きして、
一定以上のクオリティの食事を準備する。
その目的を十二分に果たすことができた。
食事がひと段落すると、
サプライズのアトラクション。
7月4日誕生日の千葉泰彦さん、
農産企画部統括マネジャー。
その千葉さんにプレゼント。
星条旗カップケーキ。
あ~んして、口いっぱいに、
押し込まれた。
そして、こうなった。
それでも千葉さんのお礼。
みんな、大喜び。
もう一人、7月7日の誕生日の人。
平井一巳事業部長。
女性陣に囲まれて、
あ~ん。
口の中は赤い。
もうこうなると止まらない。
カップケーキは24個。
そして結城義晴。
あ~あ。
最後に表彰。
第6班に優秀賞。
おめでとう。
そして一本締め。
長い長い2日目が終わった。
口の中の青は、
翌朝まで消えなかった。
これがアメリカ人のライフスタイルだと、
自分で納得した。
(つづきます)
〈結城義晴〉