ライフから東急ストアまで・目黒川河畔の散策と思索
土曜日の朝、東京・池尻へ。
東邦大学付属医療センター大橋病院。
私の眼のかかりつけ病院。
その後、池尻から中目黒まで、
目黒川沿いを散策。
春先にはこのあたり、
桜の名所となる。
その桜が散って、
新緑の季節へ。
そして梅雨が終わろうかという今、
河畔の散策もなかなかいい。
まず、池尻の246号線。
上を首都高速3号渋谷線が走る。
この路線は東名高速につながる。
その角地のクロスエアタワーに、
ライフ 目黒大橋店。
2013年2月6日にオープン。
売場面積1056㎡で、
駐車場は33台と狭いが、
完璧な都市型店舗として、
いい出来栄えの店。
やや変形のレイアウトになってしまったが、
それでも上手に部門配置して買いやすい。
土曜日の朝、客数も十分で、
地域から支持されていることが分かる。
近隣に丸正があったが
現在建て替え中で閉鎖。
かつては大丸ピーコックの店もあったが、
撤退した。
それらの顧客をすっかり飲み込んで、
ライフコーポレーションは好調。
そして目黒川へ。
河畔を歩いていくと、
カフェレストラン。
1階にThe Workers。
コーヒーとバー。
奥にSTALL RESTAURANT。
小洒落た店が並ぶ。
それから手打ち蕎麦屋。
12時オープンなのに、
顧客が並んでいる。
目黒川にかかる「中の橋」
ピーナッツ・カフェ。
テーマは、スヌーピー、ウッドストック、
そしてウェストコースト。
この辺りには、
コンセプトショップが並ぶ。
ロータス・バゲット。
この中目黒と代官山、恵比寿に3店。
オーガニックの天然酵母パンが売り物。
そしてCow Books。
「暮しの手帖」編集長の
創設者兼本のセレクタ―となっている店。
このCow Booksも青山にもう1店ある。
店内には小さな読書スペースもあるが、
商売になっているかどうかはわからない。
それでも大都市にしかできない店で、
面白いコンセプト。
最後の最後、終点は、
東急ストア中目黒店。
この横に本部がある。
リニューアルなって、
小洒落た雰囲気である。
1階がグロサリーとレジ。
地下1階が生鮮食品などとドラッグ。
地下1階のトップに、
オイシックスのショップ。
かつての「西のダイエー・東の東急ストア」も、
ずいぶんとランクが下がったが、
この店は目黒川沿いの小洒落た店舗群の、
仲間入りができたようだ。
土曜日の散策。
いい気分だった。
さて、日経電子版の経営者ブログ。
IIJ会長の鈴木幸一さん。
IIJはインターネットイニシアティブ。
1946年9月生まれの団塊の世代で、
国内インターネットサービスの草分け。
当時の郵政省との激しいやりとりの末、
1993年にネット接続サービスを開始。
後続のネット企業に道を拓いた業界の重鎮。
毎週火曜日に、
自分で書いて公開するこのブログ、
私は大ファンだ。
ワンセンテンスが長い。
それが鈴木文体の特徴だが。
今週のテーマは、
「小さな正論に寄りかかって」
「世界中の都市に住む人々の
一切の個人情報を管理・監視し、
その行動予測までリアルタイムに
把握できる時代が来るのだろうか」
鈴木さんは、断りを入れる。
「どのような世界的な組織が
管理・監視するかは別として」
「インターネットという技術は、
そこまで進展することができるのだろうか」
インターネットの草分けだからこそ、
この分岐点に関心を持ち、悩む。
「あらゆる情報をリアルタイムに処理できる
超高速な新しいプロセッサー、
レイテンシー(遅れ)のないネットワーク、
数年後には、そこまで技術が進展し、
インフラが整備されているのかも知れないと、
夢想することもある」
「日本の人口1億2000万人の
個人情報を把握して、
AI(人工知能)を利用し、
リアルタイムに個人の行動を
予測、処理をして、対応する。
そこまでの時代にならないと、
安全や安心を得ることが
できないのではないか。
そんな妄想をすること自体、
悪夢のような話かもしれないが、
世界はそこまで来ているような気がする」
そして世界中のテロのニュース。
バングラデシュに続いて、
地中海の観光地であるニース。
マフィアが網の目のような監視をしている。
だからイタリアではテロが起きない。
鈴木さんのイタリアの友人の話。
おもしろい。
テロ事件の次はトルコの軍事クーデター。
考えたくはないが、
リオデジャネイロのオリンピックも、
ターゲットになりかねない。
「民主主義の基盤が、
プライバシーを守ることにあることに、
異議を唱えるわけではないが、
世界のニュースに触れていると、
ふと、すべての人々が、
一切のプライバシーを放棄するほか、
安全や安心を得ることができない。
そこまで考えてしまう」
結論。
「民主主義の基盤となる
プライバシーを放棄しない限り、
民主主義が守れないとすれば、
世界は既に、
民主主義に変わる新しい
世界の仕組みをつくる他ないところまで
来ているのかも知れない」
そして最後にインターネットの考察。
「インターネットという、
巨大な両刃の剣になりかねない技術革新も、
小さな正論が幅を利かせて、
仕組みを変えない状況が続いている」
「小さな正論」が障壁となって、
イノベーションが進まない。
「ほんとうに怖い世界に、
率先して立ち向かう状況は
生まれそうにないのだ」
今週月曜日のブログの、
ハーヴィー・ペニックの言葉を思い出した。
「人生は、
多くのちょっとした厄介事と、
ごくわずかな重大なことから
成り立っている」
小さな正論は、
多くのちょっとした厄介事だ。
しかし私たちは、
ごくわずかな重大なことを、
いつも見つめていなければいけない。
目黒川河畔を散策しながら、
そんなことを思った。
〈結城義晴〉