大久保賢の「ありあわせのもの・眠っているものを活用する術」
迷走台風10号。
〈NHK NEWS WEBより〉
中心気圧945ヘクトパスカル、
中心付近最大風速45m、
最大瞬間風速60m、
中心から半径130キロ以内で、
風速25m以上の暴風。
沖縄県南大東島の南東330キロの海上を、
時速15キロで東北東へ進んでいる。
大東島地方へは27日土曜日夜、
小笠原諸島へは28日日曜日。
30日火曜日には本州に近づくとの予想。
今日の千葉県の空。
そして森。
今日は久しぶりに峠の会に参加。
立野クラシックゴルフ倶楽部でラウンド。
さて昨日の『折々のことば』
朝日新聞一面のコラム。
鷲田清一さんの編著で、
もう500回を迎える。
もしかしたら伝統の『天声人語』を、
しのぐかもしれない。
求められるのは「創造性」よりも、
既存のものを活かす「創意」である。
……「発明」することではなく、
「発見」することである。
(大久保賢)
現代音楽は、
「未だ誰も聴いたことのない音楽を求め、
逆に隘路に入ったと評される」
鷲田さんのいう音楽学者は書く。
「『刷新』への強迫の中で
見捨てられたものにも
まだまだ可能性は潜んでいる」
1966年、金沢市生まれ。
大阪大学大学院文学研究科で文学博士。
現在、名古屋芸術大学と、
京都市立芸術大学の、
非常勤講師。
著書は『黄昏の調べ』(春秋社刊)
この言葉は著書から引用された。
論文の着眼点が面白い。
「音楽作品ゲーム論」、
「演奏のマネジメント試論」等。
「右肩上がりなど
もはや望むべくもない社会に
求められているのも、
ありあわせのもの、
眠っているものを
活用する術であろう」
この大久保賢さんの言葉を見て、
ピーター・ドラッカーのイノベーションを、
まず思い浮かべる。
ドラッカーは約1000のイノベーション事例を、
調査・研究した。
その1000のケーススタディを、
分析し、分類し、
7つのカテゴリーに仕分けした。
そして、イノベーションが起こった理由に関して、
頻度の高い順にカテゴリーを並べる。
第1が予期せぬもの、
第2が負のニーズ、
第3が明らかなニーズ、
第4が産業構造変化、
第5が人口動態変化、
第6が認識の変化。
そして最後に第7番目が発明・発見。
大久保さんの現代音楽のいく道は、
発明と発見をさらに分類して、
いまだ聴いたこともない音の「発明」ではなく、
既存のものからの「発見」だとする。
大久保さんは、
現代音楽について語っている。
しかしそれは現代技術について、
そのハードウェア、ソフトウェア、
さらにヒューマンウェアについて、
真摯に考察しているように見える。
商業や流通サービス業に関しても、
チェーンストアに関しても、
その経営論から技術論まで、
ありあわせのもの、眠っているものを、
発見し、活用することが必要である。
とくに右肩上がりなど、
望むべくもない産業において。
見捨てられたものにも、
まだまだ可能性は潜んでいる。
その可能性を探す「創意」こそが、
何よりも求められている。
台風の行方を夢想し、
風向きを心配しながら、
そんなことを思った。
〈結城義晴〉