蓮舫民進党代表誕生と三菱商事の「ローソン子会社化」
昨日が中秋の名月。
今日は月に叢雲。
残念、と思っていたら。
雲が動いた。
そして見事な月。
満月でなくとも、
満足です。
今日は商人舎magazineのWeb会議。
またまた重要な決定事項。
来年年明けに、発表します。
ご期待ください。
ランチは商人舎ご用達の「八起」
みんな、満足。
さて、民進党の新代表は、
蓮舫参議院議員に決定。
旧民主党時代から見渡して、
初の女性党首誕生。
東京選挙区から当選3回の48歳。
アメリカではヒラリー・クリントン。
多分、今年8月に大統領になる。
イギリスはテリーザ・メイ 第76代首相。
第71代はマーガレット・サッチャー首相。
ドイツはアンゲラ・メルケル 連邦首相。
そして韓国も朴槿恵大統領。
蓮舫代表がすぐに、
総理大臣になるわけでもないし、
たぶん日本国首相にはなれないだろう。
とすると、その過渡期の野党党首として、
まあ、頑張ってもらいたいものだ。
昨日、問題にしたニュース。
今日、正式発表された。
三菱商事がローソンを子会社化。
TOB(株式公開買付け)を実施。
買付け価格は1株あたり8650円。
今月14日までの1カ月間、
ローソンの平均株価に、
15.09%上乗せした価格となる。
だからもう昨日15日の株式市場では、
ローソン株に買いが集中した。
前日比8%高の7980円まで急騰。
公開買付け時期は、
2017年1月開始と予定されている。
三菱商事は総額1440億円を投資。
現在 の持ち株比率33.47%が、
50.1%に引き上げられる。
それによって、
議決権ベースの出資比率となる。
ただし、子会社化後も、
ローソンの東京証券取引所上場は、
そのまま維持される予定。
三菱商事の垣内威彦社長は、
今年4月に就任した。
垣内氏の考え方。
出資先に関しては、
「3分の1より過半数、
可能ならば過半数より100%」
(東洋経済オンラインより)
つまり持ち分比率を引き上げて、
経営の主導権を握っていくやり方。
垣内氏は畜肉の営業部門一筋。
ローソンの社外取締役を10年間務め、
いわば三菱商事の食料・流通部門のプロ。
生活産業グループCEOでもあった。
日経ビジネスオンラインで、
大竹剛記者が挙げるのは、
「4つの変化」
第1は2014年の新浪剛史氏の転籍。
ローソンからサントリーHD社長に。
私は新浪剛史・玉塚元一ラインで、
ローソンはセブン-イレブンと、
なんとか闘える力をつけたと思う。
その新浪氏がローソンを去って、
三菱商事が関与を
強めやすい状況が生まれた。
第2はコンビニ3位ファミリーマートが、
ユニー・グループと経営統合、
サークルKサンクスを傘下に収め、
店舗数1万8240店と、
ローソンを追い抜いたこと。
これは全く気にすることはないと思うが、
やはり三菱商事のローソン子会社化の、
きっかけや言い訳にはなった。
第3が垣内氏の三菱商事社長就任。
先の垣内氏の考え方が表に出てきた。
さらに第4はその三菱商事自身の、
約1500億円の最終赤字転落。
2016年3月期に商社トップの座を、
伊藤忠商事に奪い取られた。
伊藤忠こそファミリーマートの親会社だ。
ローソンの出資比率引き上げで、
三菱商事は連結純利益ベースで、
増益効果が見込める。
ただしそれは微々たるものだ。
大竹記者の分析を見ると、
商社が小売業を、
子会社化する根拠は薄い。
新浪氏がローソンを去り、
垣内氏が三菱商事社長に就任し、
一方で、伊藤忠に抜かれ、
ファミマにも逆転された。
だからローソンを子会社化した。
日経ビジネスはそう裏を読んだ。
一方、東洋経済ONLINEは、
二つの理由を挙げる。
第1は、ローソンの商品戦略を、
三菱商事に後押ししてもらうこと。
それは「小売業から製造小売業への転換」
これまでは製造部門はベンダー任せで、
ローソンは深く関与してこなかった。
「そこで素材調達から加工、販売まで
一貫してローソンが携わることで、
消費者が求める商品作りを
徹底させていく」
これはセブン-イレブンの、
あの商品開発の基本と、
まったく同じ考え方だ。
ローソンは三菱商事に対し、
この手助けを要請しているようで、
それが出資比率引き上げとなった。
しかし、資金面はいいとしても、
人材は「小売業人」ではない。
セブン-イレブンこそ、
製造小売業への転換を成し遂げた。
それは鈴木敏文さんをはじめ、
井阪隆一さん、鎌田靖さんらが、
心血を注いで推進した仕事だ。
「チームマーチャンダイジング」と呼ぶ。
セブン-イレブンを学ぶ者には、
常識中の常識だ。
小売業が主体となって、
製造業・卸売業、
関連産業の協業の力を引き出す。
このチームのリードを、
総合商社の人間に、
できるとは考えられない。
彼らは極めて優秀だ。
しかしどうしても、
川上発想となってしまう。
セブン&アイの鈴木さんが、
口を酸っぱくして言い続けたことだ。
もちろん小売業化した商社マンは別だ。
私の視点はここにある。
製配販の仕組みをつくることも、
一品一品の商品を開発することも、
自分の顧客を一番よく知る、
小売業の一番の強みである。
今回の三菱商事のローソン子会社化は、
それから逸脱した。
鈴木敏文さんは、
クールに見ているだろう。
東洋経済の第2の指摘は、
海外展開の強化。
8月末時点のローソン海外店舗数は926店。
セブンは6月末で4万1046店、
ファミマが8月末で6092店。
これは三菱商事の力で、
加速するかもしれない。
しかしそれは、
子会社化でなくともできる。
むしろこれまでなぜ、
その協力ができなかったか。
それにセブンの海外展開も、
旧サウスランド社の残した店がほとんど、
日本のセブン-イレブン級の店舗力はない。
それこそ店数だけ増やしても、
重い荷を背負うのみ。
小売業の店舗展開では、
1店1店が何よりも大事だ。
ウォルマートの言葉。
「私たちは世界最大の会社を
つくろうとは思っていない。
地域の一店一店を、
最良の店にしようと考えている」
この思想は、
フランチャイズビジネスならば、
なおさらのことだ。
この視点から考えると、
ファミリーマートもローソンも、
残念ながら迷走している。
別にセブン-イレブンの、
真似をせよというのではない。
独自のポジショニングを構築しつつ、
小売業経営の本質を、
見失ってはならないということだ。
トップチームがバトンを落とした時、
二番手・三番手チームも、
本来の走路を外れようとしている。
〈結城義晴〉