平和堂米国視察団ウォルマート&クローガーで60兆円分の勉強
ニューヨーク・ラガーディア空港。
11時29分のアメリカン航空。
機体の上にマンハッタン。
いつみても美しい。
空も真っ青。
飛び上がると、
クイーンズのすっきりとした風景。
しかしアメリカ大陸は、
厚い雲に覆われていた。
3時間半でテキサス州。
雲の下のダラス・フォートワース空港。
平和堂の夏原陽平さんと落ち合う。
営業統括副本部長兼営業推進室長。
コーネルジャパン奇跡の第2期生。
夏原さんは6時間前に先乗りしていて、
一緒にアメリカ視察研修団を待つ。
団が到着すると、
すぐにクローガーへ。
全米ナンバー1のスーパーマーケット企業。
そして全米第2位の小売業。
現在の経営内容は、
第1位のウォルマートを圧している。
50四半期連続既存店増収。
しかしクローガーの店に入る前に、
隣のダイソーへ。
ドアに書いてあるのは、
Japanese Quality。
Since1972。
店内に入って驚いた。
美しい。
商品の陳列ラインも低くて、
見晴らしがいい。
主通路を真ん中にとったT字型。
床はピカピカ。
商品陳列もカラフルだ。
アメリカ人の親子が、
商品を楽しそうに選んでいる。
もちろん商品は、
日本製・大創産業製。
食器も実に品質が確かで、
整然と並ぶ。
そして100円の商品が、
1ドル50セント。
再びJapanese Quality。
Since1972。
スリッパもアメリカにはない品揃え。
パンティストッキング。
レジ前の売り場は、
より低い陳列線。
そしてカートも小ぶり。
レジは横一列ですっきり。
地区マネジャーの近藤伊吹さんに、
話を聞いた。
このエリアで現在3店。
ヒューストンに2店。
「この後も、
出店が控えています」
これは絶対にものになる。
前から言っているが。
そしてクローガーの、
レギュラーフォーマット。
入口は必ず、花で迎えてくれる。
さらにバルーンを多用する。
「ザ・ガーデン」と名付けられた青果部門。
オーガニック売り場が素晴らしい。
いまや量ではホールフーズを抜いた。
平台陳列も安定している。
その裏に、バルクコーナー。
ナチュラリーのパネルが掲げられている。
ワイン売り場にはカウンターがあって、
試飲をしたり、バーになったり。
寿司はコンセッショナリー。
チーズはマレーズチーズ。
ニューヨークグリニッジビレッジにある、
人気のチーズ専門店。
その卸部門から仕入れたチーズ。
つまりニューヨークの香りを、
ぷんぷんさせたチーズコーナー。
そしてチーズ売り場から、
ミート売り場をを望む。
ベーカリー、デリ、チーズ、
そしてシーフード・ミート。
この連続性がいい。
クッキー類は、
低めのオリジナル什器に、
ひな壇のように並べる。
「wow promotion」と呼ぶ。
商品がよく見えるし、目立つ。
ミート&フィッシュの対面販売。
手前の平ケースには、
低価格の買い得商品が並ぶ。
平和堂の団員たちも、
真剣に商品をチェック。
「安い、安い」の声。
本物かと思うほど、
よくできたマネキン・ディスプレー。
これはメーカーの協賛だが、
楽しい。
長い陳列線の奥主通路には、
デイリー売り場。
いろいろな商品を組み合わせて選べる、
10個10ドルの菓子の販促。
日本でもこうした売り方はできる。
卵と牛乳のリーチインコーナー。
入口の対角に位置し、
マグネットの役割を果たす。
クローガーは執拗にこの磁石方式を使う。
その意味では原則に忠実だ。
主通路に並ぶハロウィン商品。
冷凍食品はすべてリーチインケース。
ペットフードとアクセサリーなど、
ペット用品が並ぶ。
その向こうにドラッグストアエリア。
中通路も広い。
左がリーチインの冷凍食品、
右は多段ゴンドラでヘルス&ビューティケア。
青果売り場の反対側は、
ファーマシー。
入口そばに配置する。
壁面の色をパープルにして、
コーナーを区切る。
什器は斜めに配置する。
売り場は広くて、清潔感がある。
プロモーションコーナーでは、
もちろんハロウィン商材を展開。
スーパーマーケットだから
食品や飲料がメインだ。
ゴンドラエンドでは、
「モバイルマーケット」
アイフォンの本体と、
アクセサリーなどの
消耗品を品揃えする。
レジは3人以上を並ばせない。
それがクローガーの、
お客さまへの約束だ。
そのために3種類のレジを用意する。
①レギュラーレジ、
②エクスプレスレーン、
③セルフチェックアウト。
満足して、
日が暮れるころ、
ウォルマートへ。
スーパーセンターと、
サムズの2層式店舗。
入口のハロウィン販促。
入口左隅では、
お化けが出迎えてくれる。
青果売り場の商品管理も、
プレゼンテーションも、
本当に良くなった。
平台の足元ももちろんハロウィン。
ハロウィンコーナーは、
どこよりもスペースを割いて、
大々的に展開する。
それがウォルマート。
主通路でも、
メーカー協賛のハロウィンプレゼン。
デアリーの牛乳売り場。
1ガロン2ドル60セント。
1ガロンは3.8リットルだから、
1リットル68セント。
主通路で展開される、
「アクションアレイ」も健在。
オンラインでの購買を促すパネル。
Eコマースでは、
100万点以上の商品を揃える。
ネットで注文して、
店舗で受け取ることができる。
その利便性を訴求する。
釣り具のコーナー。
他では扱わない商品群だ。
ウォルマートが強いカテゴリーの一つ。
早くもクリスマス商材を扱う。
「早仕掛け」の見本。
クリスマスツリーもこれだけの量。
入り口や重要なポイントでは、
ハロウィン。
店舗左翼奥ではクリスマス。
二本立てがウォルマートの作戦。
広い店舗を最大限活かして、
プロモーションの成果を上げる。
ファーマシー。
調剤薬局は固定客づくりには必須。
左側の入り口では、
ハロウィンをプロモーションする。
大型で長身の人形も、
高い天井のウォルマートだから映える。
カラフルなハロウィン商品も
ロープライス。
アクションアレーもハロウィン。
レジ前のアパレル売り場でも、
ハロウィンTシャツがメイン。
黄色のバルーンが並ぶアパレル売り場。
クリアランスセールの印。
Tシャツやジーンズを山積みする。
衣料はウォルマートの課題の一つだが、
ずいぶん改善されてきた。
エクスプレスレーンに、
お客がよく入っている。
壮観なレギュラーチェックスタンド。
エクスプレスレーンは20アイテム以下。
クローガーなど一般には、
10アイテム以下だが、
スーパーセンターはその2倍となる。
それでもかならず、
エクスプレスレーンを設ける。
そして1階には、
サムズクラブ。
メンバーシップホールセールクラブ業態。
入口のプロモーションは、
クリスマス商品。
こちらはクリスマスが入り口で、
主役の役目。
そしてハロウィン販促は、
もう終わっている。
奥は生鮮食品売り場。
コストコをそっくり真似て、
サムズクラブは生き返ってきた。
フローズンフードも倉庫型で、
コストコそっくりの売り方。
箱ごと陳列する青果売り場だけ、
コストコの蘇生庫型を真似できなかった。
販売量が半分だからだ。
ウォルマートの視察を終えると
外は真っ暗。
ネオンの「T」が点灯していないのが、
なぜか気にかかった。
初日は恒例の夕食懇親会。
平和堂御用達の
「HOFFBRAU STEAKS HOUSE」。
こちらも盛大にネオンが消えている。
不思議。
テキサスらしいウェスタン調の店内。
夏原陽平さんが、
乾杯のあいさつ。
ビールはもちろん、
テキサス産シャイナーボック。
ステーキの付け合わせは、
スイートコーン。
これがまた、実に美味。
最後に6チームの班長が、
それぞれ決意表明。
楽しみつつ、学び、
成果を挙げます。
アメリカに着いたらまず、
ウォルマートとクローガー。
それがオーソドックスな学び方。
マーケットリーダーや、
マーケットチャレンジャーのやり方だ。
ウォルマート48兆円、
クローガー10兆円。
夕方に到着して、
60兆円分の勉強ができた。
ウォルマートとクローガーに感謝。
(つづきます)
〈結城義晴〉