サンフランシスコのとんがりポジショニング店舗を巡る
「Global Power City Index」
「世界の都市総合力ランキング」
2016年版が発表された。
森記念財団都市戦略研究所。
都市の“磁力”こそが、
「都市の総合力」
この観点から、
世界主要42都市を選定し、
6分野70指標で評価し、
ランクづけする。
第1位がロンドン、
第2位がニューヨーク。
ロンドン五輪以降この5年間、
ずっとロンドンが、
ニューヨークを抑えてトップ。
そして第3位に東京。
第4位のパリを抜いて、
ベスト3に入った。
うれしいなあ。
ただし森記念財団だからね。
それでもうれしい。
第5位シンガポール、
第6位ソウル、
第7位ホンコン。
アジア勢が並ぶ。
森記念財団だからね。
第8位アムステルダム、
第9位ベルリン、
第10位ウィーン。
シブいね。
第11位フランクフルト、
第12位が上海、
第13位にロサンゼルス。
大阪が22位で、
サンフランシスコは24位。
いま、私が滞在している。
ちょっと低すぎる気もする。
わが故郷の福岡は36位、
ダラスは選考都市に入っていない。
あ~あ。
秋の句を三句。
秋高し何も思はず考へず
〈日経俳壇より 東京・池田松蓮 黒田杏子選〉
〈朝日俳壇より 東かがわ市・桑島正樹〉
冷まさず、温めず。
これ、日本酒だねえ。
常温といってしまえば、
味もそっ気もない。
第3位の日本へ。
さてサンフランシスコに入って、
とんがったフォーマットを体験する。
まずはトレーダー・ジョー。
アラメダショッピングセンターの一角。
お客がよく入っているし、
地域になじんでいる。
パンプキンスナックのエンド。
「FAll Flyer」秋のチラシ品目を並べる。
トレーダー・ジョーの唯一の販促。
ワインは創業当初からの核カテゴリー。
レジはフレンドリー。
声掛けをし、
会話を楽しみ、
お客を送り出す。
インタビューに答えてくれたのは、
クルーメンバーのニコルさん。
パンのセレクションリーダー。
続けざまの質問によく答えてくれた。
質問もよかった。
感謝のツーショット。
感謝の全員写真。
同じショッピングセンターで、
隣接するセーフウェイ。
クローガーに次ぐ米国2番手の、
巨大スーパーマーケットチェーン。
昨年1月に投資会社サーベラスによって、
アルバートソンと企業統合させられた。
そのニューライフスタイルストア。
この店は花卉売場がとくに強い。
アルバートソンに併合されて、
現場は意気が上がらないはずだが、
この店はなぜか、いい。
それは現場は頑張っているから。
パプリカのプレゼンテーションが
それを物語る。
バルクフード売り場は、
青果部門に併設されて、
ほとんど同一部門のようになってきた。
150以上の種類が揃う。
奥主通路のミート&フィッシュの売り場。
平ケースの横に
PB「Oオーガニック」を関連販売。
ファーマシーは店舗奥主通路沿い。
クローガーはファーマシーを、
青果と反対側の入口付近に設ける。
それとは対照的だ。
お客を店舗の奥まで誘導するのが狙い。
つまりマグネットの役割。
ベーカリーとケーキの売り場。
対面販売方式。
ベーカリーからワイン・スピリッツへ。
このあたりの重厚感のある什器は、
ニューライフスタイルストア独特。
パンの売り場。
左から、ランチ、ランチ&ディナー、
そしてディナーと分類されている。
パンもそれぞれの食シーンごとに、
カテゴリー分けされている。
このアラメダのセーフウェイは、
全米の中でも屈指の繁盛店である。
会社全体は低調だが、
店は頑張っている。
これは小売業の救いである。
ジュニアデパートのコールズ。
このショッピングセンターの核店舗。
しかし商人舎の分類では、
ディスカウントデパートメントストア。
レジは集中レジ。
スーパーマーケットと同じ形。
入口のディスプレーは、
Candie’sのエクスクルーシブブランド。
メーカーとライセンス契約を結んで、
コールズ限定で販売される。
クリスマス用品のブーツが、
ハンガーにかかっている。
コールズは小型百貨店。
新しいポジショニングを構築したが、
このところ不振。
コールズとも競合するのが、
ターゲット。
ディスカウントストアで、
ウォルマートの対抗馬。
店内のドラッグストア部分を、
CVSヘルスに19億ドルで売却して、
CVSファーマシーとなっている。
食品はグロサリーが中心で、
生鮮はほんの少し。
しかしこのほうがいい。
ハロウィンショップと名づけられた、
プロモーションコーナー。
店舗入り口の対角にあって、
マグネットの役割を果たす。
しかしこのマグネットの考え方も、
今一度検討しなければならないだろう。
Pタイルで天井を張った、
日本でもよく見られる店内スタイル。
ウォルマートとの差異は明らか。
ターゲットのアパレルは
ウォルマートよりもクオリティが高い。
大きなサイズコーナーの、
ふくよかなマネキン。
いつもこの写真を掲載するが、
日本でもやってもらいたいものだ。
アクティブウェアのマネキンは、
売り場コーナーを三体で走っている。
同じ方向を向いて、
片足を挙げて、
走っている。
同じ方向を向いた、
上半身のマネキン。
色違いのTシャツがいい。
ターゲットはアパレルに強い。
それだけのことはある。
マネキンの使い方など、
大いに勉強したい。
レジはターゲットの赤。
ウォルマートの青と対比的だ。
テナントにはスタバが入っていて、
これも赤のデザイン。
ターゲットは昨2015年1月期の赤字から、
何とか脱して、ちょっと回復。
それが店に出ている。
そしてホールフーズ。
ギルマン店。
(月刊商人舎2015年1月号で紹介)
青果売り場の品質管理は抜群。
いつ訪れても
ステンドグラスの壁が印象的で、
美しい店だ。
青果からチーズ売り場へつながるが、
その手前にオリーブバー。
シー&ランドと名付けられた、
対面の鮮魚売り場。
店舗左サイドはデリバー。
「Good Stuff」
ハロウィンのプロモーションは、
最後に展開。
アレグロコーヒーのカフェスペースは、
天井が高くて快適。
受け取りカウンターは、
白タイル張りで、
清潔感がある。
この店のデザイン性は、素晴らしい。
芸術といっていいくらい。
それがオープン後2年経過しても、
まったく衰えていない。
サンフランシスコ市内、
スタンヤンストリートの、
ホールフーズ小型店。
売り場のサイン。
道路標識のようだ。
小型店だから、
通路幅は狭いし、
商品は山積みされる。
箱ごと並べられる果物。
フック陳列のバナナ。
陳列ラインは、
通常店に比べて高い。
対面のチーズ売り場。
什器下にも商品が並ぶ。
店舗の角に隣接させて、
鮮魚と精肉の対面売場を設ける。
チーズ売り場のほうが、
魚と肉の売り場よりも、
スペースのカット率が少ない。
ケース陳列のスナック。
ブルーと黄色の2色の縦陳列だから
狭い売場でも圧迫感はない。
小型店だからいつも、
レジは行列する。
2列に並ばせるためのサイン。
英語だけでなく、
5カ国語で案内する。
残念だけれど、
日本語表記はなし。
2列に並んだ先にあるレジは、
銀行方式。
空いたレジに誘導される。
小型店だけに、
各カテゴリーの中の、
アイテムはカットされる。
しかし小型店だからこそ、
レジは充実している。
コンビニエンスな買い物をする際、
レジで待たせないことは、
必須の条件だからだ。
最後はバークレーボウル。
入口のハロウィン商材。
青果が強いバークレーだけに
これだけのカボチャが並ぶ。
キノコのような形のカボチャ。
こんな珍しい商品もある。
緑のナマズのような
これはへちま。
レジ横には巨大カボチャ。
運ぶだけでも大変だ。
この大きさ。
青果は全米一の品揃え。
オーガニックだけで、
これだけの売り場をつくる。
バナナの陳列は見事。
オーガニックトマトは、
異形だ。
バルクフード売り場は、
必ず青果部門に隣接される。
季節の柿も、
ほとんどが投げ入れ陳列。
ノンオーガニック売り場。
バナナの種類は豊富で、
ほかにこんな品揃えの店はない。
そのバイイング力と販売力は、
圧倒的。
パイナップルは、
同じ産地、同じ品種の大小を、
丁寧に選別値入れして、
SKUを増やす。
玉ねぎなどの根菜類も、
バラの量り売り。
必要な量が購入できる。
サンフランシスコは魚介類が豊富。
対面販売の魚は鮮度一番。
刺身で食べられる魚は、
バークレーボウルだけ。
対面のシーフード売り場。
ミートの対面売場は、
手づくりのソーセージが手前に並ぶ。
1本単位で販売する。
ステーキ肉のブロック。
奥中央にブリスケットがある。
珍しい。
デリの量り売りコーナー。
野菜を使ったメニューが豊富だ。
オーダーを受けてつくる
サンドイッチコーナー。
店舗入り口わきには、
ナチュラルチーズのコーナー。
バークレーボールの
スペシャルティなポジショニング。
何度来ても感銘を受ける。
個人的にはこの1号店のほうが好きだ。
そしてランチは、
インアウトバーガー。
40人が並んで注文しても、
そのオーダーを、
整然とこなす。
そのオペレーションに、
注目する団員たち。
1人ひとり注文をする。
これも勉強。
美味しいハンバーガーに大満足。
こちらもおいしそうなベテラン勢。
テキサスのダラスで、
アメリカの競争ベーシック編を学習し、
サンフランシスコでは、
とんがりを体験する。
ホールフーズとトレーダージョーは、
アウトスタンディングなポジショニング。
バークレーボウルは、
たった2店舗ながら、
圧倒的な存在感のニッチャー。
コンテスト型競争時代の、
アウトスタンディングなポジショニング。
思ふことすぐには言はず梨を食ふ
〈朝日俳壇より 川崎市・神村謙二〉
場の雰囲気を読んで、
すぐには言わない。
そのかわりに梨を食べる。
わかってもらえただろうか。
(つづきます)
〈結城義晴〉