結城義晴ドクターズ杯優勝と糸井重里の「魔法は使えない」
グレートアイランド倶楽部。
開業1993年の会員制ゴルフリゾート。
設計は故本庄正則さんと戸張捷さん。
本庄さんは㈱伊藤園の創業者。
上の写真は18番ホールだが、
17番と18番はグリーンの左側に、
池が待ち構える。
伊藤園レディスが開催される、
チャンピオンコース。
その今年の伊藤園レディスは、
11月の11・12・13日に開催される。
昨年はイ・ボミが優勝。
そのグレートアイランド倶楽部を舞台に、
伊藤園レディスに先立って、
「ドクターズ杯」
が開催される。
スーパーマーケット経営者の、
小さなゴルフコンペ。
マスターは修士のことで、
ドクターは博士のこと。
つまりドクターズとは、
あの「マスターズを超えるもの」
という意味。
不肖、結城義晴の命名。
その第15回マスターズ杯。
前夜祭も盛り上がった。
1番ホールは、
フラットな342ヤードパー4。
1日ラウンドして、
最後はちょっと雨模様。
それでも、実に快適な秋のゴルフ。
私が第2回に続いて、
二度目の優勝。
アウト42、イン39の81。
自分としては驚異的なスコアとなった。
ハンディキャップ制のコンペだが、
私は今回、ハンディ17で回ったので、
ネット64。
次回は一気にハンディ6になる。
準優勝の神崎彰道さんと握手。
神崎さんは第1回優勝者で、
㈱千葉薬品代表取締役社長。
神崎さんは、
伊藤園ディス・プロアマの晴れ舞台、
17番ショートホールで、
ホールインワンを達成した達人。
今日は神崎さんと、
一緒のパーティでラウンドして、
先導してもらった。
心から感謝したい。
しかし結城義晴のゴルフ、
まだまだです。
技術を磨き続けねばならない。
ちなみに私は、
短くて重いクラブを持っている。
一番上の黄色いシャフトのクラブ。
その下はピッチングウェッジと、
7番アイアン。
アメリカ出張の際も、
この短い素振り用クラブを、
トランクに入れて持ち歩き、
ホテルの部屋で素振りする。
技術を上げるには、
不断の努力がいる。
さて日経新聞『私の履歴書』の今月は、
プロゴルファー樋口久子。
その第17回は、
「全米女子プロ 悲願のメジャー初優勝」
「米ツアーでもメジャー大会は特別だ。
コース設定は厳しいし、
選手の意気込みもふだんとは違う。
張り詰めた雰囲気が漂っている」
1977年6月の全米女子プロ選手権。
サウスカロライナ州の
ベイツリー・ゴルフプランテーション。
初日、樋口は4位。
2日目は、
「ベストスコアの5アンダー、
67をマークして首位に並んだ」
3日目は、ドタバタで焦りながらも、
パープレーでしのぎ、
首位グループに踏みとどまった。
運命の最終日。
「今日こそ
リーダーボードを見ないで
回ろう」
最終組でスタート。
プレッシャーもなく、
前半で2打伸ばす。
しかし、
「16番からしびれて
体が思うように動かない」
「ティーショットは当たり損ねで、
難しい3番アイアンの距離が残った」
「よりによって、こんな場面で」
「自分が試されているような気がした」
「当たりは薄かったが、
バンカーのへりではね2オンし、
パーでしのぐ」
魔法か、奇跡か。
17番パー3は、
4番アイアンで乗せパー。
18番パー5は、
「ドライバーショットでしびれて右林へ」
樋口は、しびれてばかり。
「木の根元だったが、
運良くスイングできた。
グリーン右サイドには
林の中からクリーク(小川)が流れ、
池が待ち構える。
左バンカーの手前に刻み、
得意の9番アイアンのハーフショットで
ピン左2メートルにつけた」
グリーンに上がりボードを見た。
2位に3打差をつけ、トップ。
「3パットでも勝てる」
「同組の2人が、
プレーを終えるのを待つ間、
いろんなことが走馬灯のように
頭をよぎった」
そのパットを沈めて、
通算40勝目。
樋口は述懐する。
「一瞬、
『これでゴルフをやめてもいいな』
と思った」
このメジャー優勝は、
男子も含めて日本人初。
その後も誰も達成していない金字塔。
私のドクターズ優勝など、
較べるべくもないが、
しかし少しだけ、
樋口とおなじ、
「しびれ」のようなものを感じた。
ああ、快感。
糸井重里の『ほぼ日刊イトイ新聞』
その10月12日の巻頭エッセイ。
「魔法」についての考察。
「魔法は使えないという前提で、
ものは考えないといけない」
「できることはできるし、
できないことはできない」
「偶然はある。
偶然はあるから、
それがあるとして考えてもいい」
偶然は多くの場合、
私たちを助けてくれる。
「奇跡でさえ、ないわけではない。
ないわけではないけれど、
それはあるのほうに
勘定していてはいけない」
そう、奇跡を、
勘定に入れてはならない。
「すばらしい能力というものはある。
ふつうじゃない力を発揮する人はいる。
そういうチームもあるかもしれない。
その人や、そのチームが、
そこにいるのかどうかが問題だ」
そう、すばらしい能力は、
それをもつ人がいなければならない。
「事実を見るようにする。
事実ではなく、
真実を語ろうとしてはだめだ。
真実は、よく嘘つきが
語ろうとするもの」
そう、嘘つきは、
事実を見ない。
嘘つきは、
真実を語るがごとく、
根拠のないトレンドなど、
ひけらかす。
「魔法は使えないのだ。
魔法の練習をすることさえも虚しい」
魔法のようなことを、
真似するのも、
練習するのも、
実に虚しい。
「大地に落ちたどんぐりが、
大樹になることはあるけれど、
それは魔法のせいでもなければ、
偶然でも奇跡でもない。
そういうふうにできていることだ」
そういうふうにできている。
「どんぐり一個をどうするかは、
どんぐりと、あなたとの相談だ」
「さて、なにがしたい、
なにができる。
生まれたときから死ぬまで、
ずっとそれが問われているのだけれど、
人は、まだ魔法をあてにしている」
魔法をあてにしてはならない。
魔法は使えない。
肝に銘じよう。
「人から魔法に見えるようなことは、
魔法じゃなくて技術さ」
そう、それが技術だ。
技術は研鑽し、
磨き上げる能力である。
すぐに役立つことは、
すぐに役立たなくなる。(橋本武)
〈結城義晴〉