ボブ・ディランの“I’m right here, I’m Not There.”
“Well, I’m right here”
「俺はここにいるさ」
ボブ・ディランが、
沈黙を破って発言。
イギリスのThe Telegraph。
その電子版の記事。
World exclusive。
タイトルは、
Bob Dylan
I’ll be at the Nobel Prize ceremony
… if I can
「可能ならば、
ノーベル賞セレモニーに出るよ」
うれしいニュース。
ジャン=ポール・サルトルのように、
拒否するのも、
ディランらしいかもしれないが。
記事にはある。
Dylan confides,
“amazing, incredible.
Whoever dreams about something like that?”
「素晴らしい、信じがたい。
だれが夢見るだろう、
こんなことを」
率直に喜んでいるのが、
また、いい。
オクラホマ州でコンサートツアー中、
インタビューに応じた。
逃げも隠れもしていなかった。
ノーベル賞事務局が、
会いに行かなかっただけ。
記事の中に、
ディランの絵が掲載されている。
T
Endless Highway 3
by Bob Dylan
Classic Car Show, Cleveland, Ohio
by Bob Dylan
これらも、なかなかいい。
ところで冒頭の言葉。
連想されるのは、
2007年のアメリカ映画。
“I’m Not There”
監督はトッド・ヘインズ(Todd Haynes)。
ボブ・ディランの伝記映画。
脚本もトッド・ヘインズ。
6人の俳優が、
成長するディランを演じ分けた。
第64回ヴェネツィア国際映画祭で、
審査員特別章受賞。
映画では、
“I’m Not There”
ノーベル賞受賞のときには、
“I’m right here”
映画に呼応した返答だった。
洒落ている。
わかる人には。
しかし、よかった。
今日の私は、
本当に久しぶりに、
完全休養。
一歩も外に出ずに、
映画を見たり、
本を読んだり、
パソコンに向かったり。
Wowowで
昨年夏の『ミッション:インポッシブル』
「ローグ・ネイション」を放映していた。
レベッカ・ファーガソン。
スウェーデン人女優。
いいなあ、実に。
ところで、
球聖ボビー・ジョーンズ。
「ゴルファーにとって
もっとも難しいのは、
“精神のうえで”常に、
目をさましていることである」
〈『ゴルフの神髄』より〉
つまり、いつも、
もう一人の自分をもつこと。
そのもう一人の自分が、
現実の自分をみていること。
それが「目を覚ましていること」だ。
これは、
“I’m Not There”
と考えることもできるだろう。
おなじタイトルの、
『ゴルフの神髄』という本。
日本の故中部銀次郎が書いている。
いちばん多い質問。
「上手になるうえで、
一番大事なことは、
なんですか」
中部はよく考えて、
こう答えることにしていた。
「とにかく、
自分自身を知ることです」
これはディランに言わせると、
“Well, I’m right here”
久しぶりの私の休日。
私もまさしく、こうだった。
“Well, I’m right here,
I’m Not There.”
〈結城義晴〉