商人舎標語「Swim Upstream!」とハワード・シュルツの退任
2016年最後の商人舎標語。
月刊商人舎12月号の、
[Message of December]
Swim Upstream!
川上に向かって泳げ。
世間に逆行せよ。
サム・ウォルトンの「第10ルール」
人間到る処青山あり。
他者とは違う道を行く。
しかし市場からは絶大なる支持を得る。
少子高齢化が続く時代。
キッズ・ベビー市場はシュリンクする。
たとえシックスポケットが生まれようとも。
そのKids Merchandisingに、
成功事例が生まれてくる。
閉塞する総合スーパーの突破口となる。
「モノ」から「コト」へ、そして「ヒト」へ。
クロス・マーケティングが、
パラドックスのパワーを炸裂させる。
だから川上に向かって泳げ。
世間に逆行せよ。
Swim Upstream!
〈結城義晴〉
今月は短いメッセージ。
さて、「ニホニウム」が、
正式認定された。
原子番号113番の新元素。
発見者で命名者は、
理化学研究所の森田浩介さん。
グループディレクターで九州大学教授。
あのSTAP細胞の小保方晴子さんも、
理化学研究所所属だったけれど。
ニホニウムはもちろん、
「日本の元素」といった意味。
森田さん。
「周期表に日本という国名を
冠した元素が載ることは
非常に感慨深い」
その通り。
しかし、森田さんだけではなくて、
自分の国の名前を、
元素名にした科学者も多い。
アメリシウムは、
原子番号95の元素で、アメリカ。
フランシウムは、
元素番号87番でフランス。
ゲルマニウムは、
原子番号32の元素で、
昔、ゲルマンといったドイツの名前。
ルテニウムは、
原子番号44の元素。
ラテン語の「Ruthenia」で、
これはロシアのこと。
ポロニウムは1898年に、
キューリー夫妻によって発見された。
そのキューリー夫人の母国が、
ポーランドで、
それにちなんでポロニウム。
さて、ガリウムはどこか。
クイズです。
ハンガリーではありません。
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ラテン名ガリア(Gallia)にちなんでいる。
これもフランス。
フランスはおおいなぁ。
でも、ニホニウム。
いい名前です。
原子番号113です。
覚えておきたい。
さて、
スターバックス。
ハワード・シュルツが、
CEOを退く。
63歳で、私より一つ下。
2017年4月3日、
会長専任になると発表。
シュルツCEOは、
シアトルの小さなコーヒーショップを、
世界的なチェーンに育てた、
今や伝説の経営者。
もともとはゼロックスの営業職。
次にハマープラスト米国支社副社長。
スウェーデンの日用品メーカー。
その後、一度、
スターバックスに入社。
このころスターバックスは、
コーヒー豆の卸と販売のみで、
カフェは展開していなかった。
シュルツはカフェを始めようと、
経営陣に提案したが、
受け入れられず退社。
このあたり、
マイケル・カレンとそっくりだ。
カレンは1920年代のおわりに、
グロサリーストアのクローガー幹部に、
スーパーマーケットの新業態を提案して、
それを拒否された。
だから自分で、
キングカレンの店を出した。
シュルツも仕方なく、
自分でカフェチェーンを設立。
店名は「イル・ジョルナーレ」
その後、古巣のスターバックスは、
経営不振に陥るが、
シュルツはその会社を買収。
その後、自ら、
世界的チェーンへと育て上げた。
後任はケビン・ジョンソンCOO、56歳。
マイクロソフトなどIT業界で、
30年あまりの経験を経て、
2009年にスターバックスの取締役に就任。
グローバル展開と顧客対応IT戦略に、
鋭い洞察を提供して貢献した。
ハワード・シュルツはまだまだ若い。
何しろ私より一つ下。
だからまだ仕事を続ける。
「スターバックス・リザーブ」に専念する。
これはいわば高級コーヒー店。
シアトルに焙煎機を備えた、
「リザーブ・ロースタリー」1号店が、
すでに開店していて、
2018年には、
ニューヨークや東京にも進出する。
ハワード・シュルツの言葉。
成功の秘訣。
「一歩一歩、
約束した以上の実績を
積み上げていく。
長い目で見れば、それが、
成功するための
唯一の秘訣なのだ」
「約束した以上の実績」というところに、
実感がこもっている。
社風についてもコメントしている。
「企業の規模にかかわりなく、
正しい社内文化を
確立しなければ
成功はおぼつかない」
経営者、幹部は、どんなときにも、
企業文化をより良くしようと、
努めなければいけない。
それがなければ、
経営者をやめるべきだ。
それを持てなければ、
経営者になるべきではない。
この言葉は、私、大好きだ。
「あなたのやりたいことが
はっきりしたら、
同じことをやった
経験のある人物を
見つけることだ」
すばらしい。
最後に長いけれど、引用しよう。
「悲観的な人間の
言うことに従っていたら、
何も成し遂げることはできない。
安全な分野で安全なことだけ
やっていたのでは、
たいしたことはできないだろう」
「あまり人の通らない道を
選ばなければ、
新しい会社を設立したり、
新しい製品を開発したり、
長期的な事業を進めたり、
周りの人を励まして
その能力を引き出し、
より高い目標を
達成することなど
できるはずがない」
これこそ、今月の標語だ。
Swim Upstream!
〈結城義晴〉