ヤオコーとしまむらの「戦略的人材資源マネジメント」
12月も20日になったのに、
横浜では暖かい日が続く。
小春日和。
Daily商人舎に、
日本とアメリカのニュース。
Japan Newsは、
[11月百貨店]
既存店売上高▲2.4%
高島屋だけ1.1%増の不思議
この中で日本列島全部、
百貨店は前年比ダウン。
ところが高島屋だけ、
プラス1.1%。
11月に良ければ、
12月商戦は確実に、
高島屋のリードで動く。
食品2.8%プラス、雑貨4.9%プラス。
免税品は、プラス9.2%。
マークしておきたい。
World Newsは、
米国ホリデーシーズンの
小売業販促費・割引率と
返品処理システム
これは必読。
特に「返品処理システム」に関しては、
読んでおいてほしい。
さて今日は、
染谷剛史さん、来社。
㈱リンク&モチベーション、
執行役カンパニー長。
リンク&モチベーションは、
人材採用・育成のコンサルティング会社。
東証一部上場企業だ。
染谷さんはその中で、
小売・流通・外食等のサービス事業に
特化した新規事業MEチームの長。
彼のビジョンと志に感銘を受けて、
12月6日に、商人舎と、
特別コラボセミナーを開催した。
セミナーの主題は、
「流通サービス業の
“戦略的人材資源マネジメント”を考える」
全国から有力企業の、
人事担当幹部、トップが、
参集して、中身のあるセミナーになった。
今日はその後の展開の話。
来年はまた、
一緒に仕事ができるだろう。
その染谷さんのお土産。
いま、大ヒット中のチョコレート。
「Minimal」
染谷さんの後輩の山下貴嗣さんが、
2年前に起業した店。
会社は㈱bace bace Inc.
山下さんはその代表取締役。
小さなチョコレート店舗だが、
東京の富ヶ谷本店のほか、
銀座と白銀高輪に支店がある。
素材や製法にこだわりをもつ、
「Bean to Bar」チョコレート。
豆(Bean)から板(Bar)にする工程全てに、
手間暇をかけて、
カルチャーとして製造する。
ニューヨーク・ブルックリンの、
「マスト・ブラザーズ」が始まり。
この「Bean to Bar」概念は、
現在、ヨーロッパにも伝わっているが、
日本の先駆けが「Minimal」
この商品は、クリスマスエディション。
1枚1100円~1500円。
板チョコだが、
カカオの味がしっかりあって、
種類ごとにアロマやフレーバー、
舌触りが異なる。
まるでワインを楽しむような、
特別のチョコレートだ。
現在、すぐには買えないほど、
大ヒット中。
染谷さんの後輩だけに、
目の付け所が面白い。
さて『しまむらとヤオコー』
小川孔輔さんの単行本があった。
小川さんは法政大学大学院の、
イノベーションマネジメント研究科教授。
この本は2011年の発行だった。
今日、この2社のニュースが、
日経新聞に載った。
ヤオコーの記事は、
来年度の連結決算予測。
これは投資家のための情報。
2017年3月期連結売上高は、
3385億円を見込む。
これは前期比4%増。
税引き利益は94億円で、
これも4%増。
対して2018年3月期連結売上高は、
4000億円前後へと飛躍する。
2017年対比2割増。
その理由の第1は、来年4月の、
㈱エイヴイの完全子会社化。
同社は神奈川県を地盤にする、
ディスカウントスーパーマーケット。
ローコスト・ロープライスが、
唯一最大の戦略で、
ゆっくりと成長してきた。
2016年3月期売上高は、
483億円で、前期比10%増。
このエイヴイの売上げがそっくり、
ヤオコーの連結決算に乗ってくる。
第2に、ヤオコー自身でも、
6~7店の新規出店計画をもつ。
さらに一部店舗は改装する。
エイヴイの全発行済株式を、
約115億円で取得する。
エイヴイの側から、
売り込みがあったという話だが、
ヤオコーにとっては、
「いい買い物」だった。
対極的な体質の会社が、
グループに入る。
互いの社風は異なっても、
急ぐことはない。
ゆっくりとゆっくりと、
融合していけばいい。
その点は、
米国クローガーがお手本となる。
一方の、
しまむら。
こちらは例によって、
日経だけの事前情報で、
第3四半期までの決算。
2016年3~11月期の売上高は、
4300億円前後で、
前年同期比5%増の見込み。
連結営業利益は380億円前後で、
こちらは2割増。
過去最高益を更新。
記事に書かれているのは、
「気温の低下に伴い
冬物衣料の販売が伸びた。
ベビー用品も好調だった」
そのうえ、「値引き販売の抑制」
これで採算が維持された。
とりわけベビー用品の「バースデイ」が、
25.1%増と目立った。
月刊商人舎12月号、
キッズ・ベビー特集の「逆説の力」
しまむらのバースデイも発揮している。
商品開発も奏功している。
「ウラモコ」は、
裏地に起毛をほどこしたスエットなど。
「裏地あったかパンツ」は、
発売3年目で販売が一巡したが、
ブルゾンやスカンツなど、
トレンドの商品が伸びた。
そんな地味な商品開発を展開しつつ、
在庫管理を徹底した。
商品数を前年比で2割程度絞った。
アイテムごとに割引率を設定。
値引きせずに販売する体制を整えた。
既存店売上高前年同月比は、
9月13.8%減、10月5.4%減と低迷、
その間、在庫管理が効果を出した。
そうすると11月の既存店は、
16.4%の増加を見た。
2017年2月期通期売上高は、
5751億円の見込み。
前期比5%増、
営業利益は462億円で、
16%増。
総合スーパーや百貨店の衣料品は、
相変わらず不振だが、
それを横目で見つつ、
好調を維持している。
ヤオコーとしまむら。
どちらも埼玉県小川町出身の企業。
食品と衣料品で、
4000億円と5000億円台の、
日本有数のチェーンストアとなってきた。
小川町は古くから、
起業家精神が盛んな土地として知られる。
しかし私は、両者ともに、
戦略的人材資源マネジメントに、
優れた企業だと評価している。
〈結城義晴〉