天皇誕生日の吉田拓郎・糸井重里の「旅のストレスと人の成長」
天皇誕生日の祝日。
今日から三連休。
まあ、クリスマス連休。
皇居前には参賀の人々が、
3万8000人、集まった。
第125代明仁今上天皇。
83歳。
誕生日おめでとうございます。
夜の皇居は、
ライティングされて、
美しかった。
一方、北海道地方は、
大雪、暴風の大荒れ。
札幌市の積雪は90センチを超えた。
12月の雪として50年ぶりの記録。
お見舞い申し上げます。
夜には、吉田拓郎。
NHKのSONGSに登場。
1946年4月5日生まれの70歳。
最高のバックミュージシャンに囲まれて、
9曲を歌った。
私は「ある雨の日の情景」が、
なんともよかった。
バンド全員で、
アカペラでコーラスした。
確か57歳の時に、
拓郎は肺ガンを患った。
それを克服して、
70歳の自分をさらけ出した。
それは、よかった。
さて『ほぼ日刊糸井新聞』
会社名を、
㈱東京糸井重里事務所から、
㈱ほぼ日に、改称して、
いよいよ絶好調。
「友人が、海外のあちこちで
仕事をしては、帰国し、
国内でいろいろやっては、
また見知らぬ外国に行き
……というような暮らしをしている」
その友人が、先日、
「疲れました」と素直に言った。
そこで糸井は旅を考察する。
「飛行機の移動だけでも
疲れるとも思うけれど、
各地でちょっと長めの滞在を
繰りかえす仕事だから、
その地に馴れかけたころには、
次の場所に行く。
そういうことがかなり
負担になっているのだろう」
わかる。
「だれかに『あれ、とって』と頼んだら、
その『あれ』をとってくれる人も、
じぶんの手の延長だ」
この表現が糸井らしい。
「コンビニも、電車も、
近所の人も、仕事場も、
それぞれ、みんな
『じぶんの可能性の延長』なのである」
そのとおり。
「言い換えれば、ふだん
ふつうに暮らしている環境は、
広い意味での『じぶん』なのである」
自分の家も、
自分の店も、
自分の会社も、
ぜんぶ「自分」だ。
「その環境込みでの
『じぶん』というものを、
がらっと変えてしまわざるをえないのが、
『旅』だ」
「いつもの、思いやら
手足やらが使えないのだ」
そんなものと連れ立って、
旅をしたがる甘えん坊もいるが。
旅では、
「じぶんの力が、
ほんとうに原寸大の、
『ただのじぶん』になった状態で
生きることになる」
これも私、実感するが、
たいへんなストレスとなる。
「旅先の環境を
『じぶん化』していく過程は、
人を、とても大きく
成長させてくれることなのだ」
そう、旅先では、
わがままは通らない。
自分を無理にでも変えなければ、
新しい環境のなかで生きていけない。
そんなストレスのかかる旅を、
繰りかえしてやっていたら、
とんでもなく疲れる。
しかし、それは同時に、
人を成長させてくれる。
そして、ついでのような、
糸井の反省。
「ぼく自身には、その
『旅』のようなものが足りない。
じぶんを変化させねばならない
ストレスが、少ない」
「安定的にパフォーマンスを
発揮しやすいかもしれないが、
これでは、じぶんが
『固くなってしまう』と思うのだ」
今日の結論。
「変化は、人としてはつらいこと。
だけど、必要なんだよね」
今年、私も、旅をした。
そして来年ももうすこし、
無茶をせず、無理をする。
今上天皇は83年、
吉田拓郎は70年、
ストレスのかかる旅を、
続けてきたようなものだ。
糸氏重里自身の発言は、
謙遜である。
私も負けられない。
皆さんにも、
変化は必要だ。
〈結城義晴〉