川野幸夫の1年の総括「まあまあ」と「レジレス化&統一店休制度」
Everybody! Good Monday!
[2016vol52]
2016年も最終週。
1月元旦を第1週と数え始めて、
今週は第53週。
毎日更新宣言ブログ、
毎週、毎週のご愛読、
感謝します。
振り返ってみると、
今年1年、一度も病気せず、
風邪もひかず、怪我もせず、
元気にやり遂げることができました。
それは何よりも、
真摯に、緊張して、
このブログに取り組んだ、
成果の一つだと思います。
「私、手は抜かないので」
ドクターXの外科医・大門未知子風に。
ご愛読、感謝します。
それにしても、
横浜は暖かい年の瀬です。
小春日和がつづく。
漁の舟小春日和に眠りをる
〈朝日俳壇より 岡崎市・米津勇美〉
そんな日です。
しかし日本列島は長い。
〈同 養父市・足立威宏〉
(金子兜太選評)
作者住む日本列島養父市の、
冬の寂寥(せきりょう)感の深さ強さ。
兵庫県北部但馬地域の山間都市。
さらに一句。
凩(こがらし)や帽子押へてすれ違ふ
〈同 川西市・日塔脩〉
木枯らしが吹く地方もある。さて、今日は、東京・日本橋。
日本スーパーマーケット協会。
一般社団法人。
今年最後の記者会見。
スーパーマーケット、および生協の、
11月の営業報告があっった。
特徴は、企業規模による営業成績の落差。
パネル数は270社だが、
1~3店舗の企業47社の前年同月比は、
全店で97.9%、既存店で97.9%。
51店以上の43社の前年同月比は、
全店で104.7%、既存店で102.1%。
その中間に位置する企業群も、
店数が多くて、売上規模が大きい会社が、
比較的好調で、小さい会社が不調。
あくまでも客観的な統計で、
個別の企業の話ではない。
しかしこの全体のトレンドは、
企業の統合が進むだろうことを、
示唆している。
その後、会長の川野幸夫さんが、
一年の総括。
㈱ヤオコー会長。
今年のスーパーマーケット業界の状況を、
川野さんは表現した。
「まあまあの状況」
百貨店、総合スーパーは低迷したが、
「スーパーマーケットはまあまあ」
この「まあまあ」が逆に、
スーパーマーケット業態の特性でもある。
他の業態が絶好調の時も、
スーパーマーケットは「まあまあ」
他業態が不調の時も、
スーパーマーケットは「まあまあ」
クリスマス商戦も、各社、
「まあまあ」だった。
それが社会のインフラ産業の特徴だ。
川野さんが強調したのが、
人手不足の問題と、
働き方改革、生産性向上。
月刊商人舎11月号の特集と、
問題意識は完全に一致した。
働き方改革×人材マネジメント
そこで協会は二つの取り組みをする。
第1は「レジレス化」
研究会を立ち上げて、
完全無人レジの研究を始める。
アマゾンGOの無人店舗実験も登場して、
想像以上に速いスピードで、
レジレス化が進む。
マンアワーで見ると現在、
全体の20%がレジに投入されている。
フレンドリーな接客を受けたい。
そんなニーズもある。
しかしそれは、
別のサービス機能でできる。
生産性アップのために、
レジレス化は進められねばならない。
小売業に限らずサービス業全体で、
同じ課題として取り組む必要がある。
政府や行政に加わってもらう場面も、
出てくるに違いない。
第2は、
営業時間の短縮や、
店舗休日の設定の問題。
協会としては、
統一店休制度の創設を提案する。
そのために検討委員会が設けられて、
具体的な議論が展開される。
最後に川野さんが語ったのが、
スーパーマーケット産業の位置づけ。
食品スーパーマーケットでは、
他の業態に比べて、
寡占化が進んでいない。
マラソンに例えると、
せいぜい20キロ地点。
先頭集団が走っているが、
それにどんどん後続集団が続いている。
つまり食品スーパーマーケットは、
「まだ若い業態だ。
スーパーマーケットの発展は、
まだまだこれからだ」
大手企業と中小企業の格差は、
開くかもしれないが、
世代交代が進んで、
若い経営者から、
問題提起がなされている。
最後に江戸時代の身分制度の話。
士農工商の序列。
江戸時代には、
一番下の商が幕府や藩を動かした。
新田を開墾するときなど、
必ず商人資本や商人の知恵が生かされた。
明治になって、
商業は農業と一緒に、
失業のバッファー程度としてしか、
見られなくなった。
富国強兵・殖産興業のスローガンのもと、
政府は作る機能を最優先した。
さらに戦後も国民の中に、
士農工商は残った。
それが長い間に、
国民の頭の中に刷り込まれた。
どうしたらいいか。
この意識を変えるには、
高い志を持って、
みんなが努力する以外にない。
川野さんの弁舌は、
どんどん熱を帯びていった。
記者会見が終わって、
全員が解散してから、
川野さんと単独会談。
スーパーマーケットの協会が、
やはり大同団結して、
同一労働同一賃金問題、
レジレス化や統一店休問題、
さらに軽減税率や本体価格表示問題に、
真剣に取り組まねばならない。
私が主張しているのが、
「ポリティカル・マーチャント」
政商ではない。
政治的主張を持った商人。
清水信次さんがそのお手本。
川野幸夫さんがその後継者。
清水さんは日本小売業協会会長、
日本チェーンストア協会会長、
日本スーパーマーケット協会名誉会長、
新日本スーパーマーケット協会名誉会長、
そしてライフコーポレーション会長。
清水さんにも川野さんにも、
まだまだ頑張ってもらわねばならない。
川野幸夫さん、74歳。
結城義晴、64歳。
大所高所から、
じっくり考察し素早く行動する。
共に頑張りましょう。
夜の銀座のイルミネーション、
例年より控え目な印象で、
これも「まあまあ」だった。
安倍晋三首相は今夜、
ハワイに向けて出発する。
真珠湾攻撃の犠牲者慰霊。
そして、パールハーバーで、
バラク・オバマ大統領とともに、
不戦表明をする。
ここでも大所高所からの、
見識が問われる。
みなさんも、今週の、
歳末際の商戦に向けて、
大所高所から、
「まあまあ」のちょっと上を行こう。
では、
Good Monday!
〈結城義晴〉