セブン&アイのトップ人事とオバマ大統領の”Yes, we did”
亀井淳さんと大久保恒夫さんが退任。
亀井さんはイトーヨーカ堂、
大久保さんはセブン&アイ・フードシステムズ、
それぞれの社長。
ほんとうにご苦労様でした。
亀井さんは前任の戸井和久さんの、
突然の辞任での、急遽の返り咲き。
後任は三枝富博常務執行役員。
亀井さんが72歳、三枝さんが67歳。
竹田利明さんが取締役副社長で、
営業本部長に昇格した。
大久保さんの後任は、
小松雅美取締役執行役員。
小松さんはデニーズ生え抜きの57歳。
大久保さんはまだ60歳で、働き盛り。
私もよく知る大久保さんだけに、
セブン&アイにとっては、
残念なことになったと思う。
もったいない。
惜しい。
大久保さんは、
セブン&アイを世界企業にし、
流通革命に貢献したいと、
本気で考えていた。
そんな志を持つ人間はいま、
セブン&アイにはあまり見当たらない。
私も残念だと思う。
周知のことだが、同社は、
昨年5月に鈴木敏文さんが退任。
井阪隆一さんが急遽、社長に就任。
井阪さんは昨年10月7日に、
いわゆる「100日プラン」を策定して、
改革に勤しんでいるが、
いまのところ人事以外はやっていない。
その10月には、
そごう・西武の松本隆社長を、
林拓二さんに交代させた。
松本さんは西武百貨店生え抜きの64歳、
林さんも西武出身で63歳。
セブンカルチャーネットワーク社長をしていた。
このそごう・西武に続くトップ人事が、
今回の三枝・小松人事。
まあ、お手並み拝見といったところだが、
セブン&アイから、
「商売人魂」や「商売経験」が、
どんどん薄れていくような印象だ。
大高善興さんの存在が、
このグループにとって、
ますます重要になってきた。
もちろんヨークベニマル会長。
大久保さんも引く手数多だし、
外食産業よりも小売業の専門家だから、
もっと力を発揮できる舞台が、
待っているに違いない。
退任といえば、
バラク・オバマ米国大統領。
イリノイ州シカゴで最後の演説。
実にうまい演説だと感心した。
聴衆もその言葉に酔いしれた。
デモクラシーとダイバーシティ。
それがオバマの精神だ。
アフガンとイラクの戦争を終結させ、
キューバとの国交回復を果たし、
イラン核合意を実現した。
「核なき世界」への働きかけは、
2009年ノーベル平和賞受賞として、
評価された。
しかしその半面、
理想主義だけでは解決できない、
現代の国際社会の実態も、
浮き彫りになってしまった。
それでも私たちは、
そのデモクラシーとダイバーシティを、
忘れてはならない。
8年前に“Yes,we can”で始まって、
8年後に“Yes,we did”。
最後に未来に向かって、
“Yes,we can”。
しかし政治家の真価は、
“we did”にこそある。
経営者も同じだが。
オバマさんにも、
亀井さん、大久保さんにも、
「ご苦労様」と言っておこう。
さて、昨日は東京・昭島。
エコスグループ会の賀詞交歓会。
取引先を中心に800人が参集した。
平富郎会長がまず、挨拶。
77歳になった平さん、
ますます元気。
48歳の平邦雄社長。
増収増益を果たして満足げだ。
その後、卸売業トップの挨拶が続いた。
いずれもエコスグループ会副会長。
まず三菱食品も森山透さん。
日本アクセスの佐々木淳一さん。
その後、㈱エコスの役員と監査役紹介。
乾杯の音頭は、
伊藤忠食品社長の濱口泰三さん。
そして懇親。
佐伯行彦さんと酒井紘一さん。
さえきセルバホールディングス社長と、
エコス常勤監査役。
そして桑原孝正さん、
さえきセルバホールディングス副社長。
中締めは藤吉泰晴さん、
三井食品社長。
三本締め。
最後の最後に、4人で。
一番右は、平典子さん、
㈱たいらや社長。
今年も頑張ってほしい。
最後に朝日新聞『折々のことば』
その633、鷲田清一さん編著。
覚悟ってのは、
どこかでぽきりと
折れちまったりする。
納得ってのは、
どんなに曲げられても、
折れやしねえんだよ。
(北方謙三長編小説「楊令伝」より)
つづいて、
「折れたら、折れたところで納得する」
鷲田さんの述懐。
「腹をくくるより、
肚がすわっているほうが
強靱ということか」
「たしかに判断や決断と
納得や得心とは水準が違う」
だから人は言う。
「話はわかるけど納得できない」
逆に「わからないけど納得はできる」
納得、得心して経営し、
経営させなければ、
長続きはしないし、
ほんとうの革新はできない。
〈結城義晴〉