学習院DSCM最終講義「阪急オアシス」千野和利の戦略論
3月3日、桃の節句。
そして日本列島は、
桜の季節にまっしぐら。
花粉症が唯一の悩みの種。
そんないい季節。
特集商品前線異常なし!
昨2016年8月号だった。
もう、あれから7カ月。
その後、商品前線には、
異常がみられるのだろうか。
今年の桜開花前線。
ウェザーマップの発表。
東京・福岡は3月24日、
大阪は4月1日。
楽しみです。
さてひな祭りの今日、
午前中は商人舎オフィス。
今日は、この会館3階で、
2016年DSCM最終講義。
そして第12回GMS桜実会。
DSCMは、
ディマンドサプライチェーンマネジメントの略。
そしてGMSとは、
学習院マネジメントスクールの略。
桜実会はOB・OGの組織。
ここにも桜の実がある。
今回の最終講義には、
対論も盛り込まれた。
千野和利さんと結城義晴が担当。
千野さんは㈱阪急オアシス会長。
湯沢威先生にもご同席いただき、
その直前の打ち合わせ。
湯沢先生は学習院大学名誉教授。
講義の前に、湯沢先生のご案内で、
学習院大学の展示物コーナーを、
見ていただく。
午後3時、最終講義がスタート。
司会は事務局長の林純子さん。
開講のごあいさつは、
耀(あかる)栄一さん。
学校法人学習院専務理事。
レース型競争とコンテスト型競争、
規模の経済と範囲の経済、
リージョナルチェーンの優位性を述べ、
阪急オアシスを紹介。
会場には受講生と桜実会メンバー。
講師陣と歴代最終講義講師のみなさんも、
多数、参集してくださった。
千野さんの講義は、
「2020年におけるSM事業の高付加価値づくり」
阪急オアシスの理念から事業戦略まで、
実に内容の濃い1時間の講義。
終盤は多くのスライドで、
イノベーティブな取り組みを、
具体的に紹介。
打ち合わせなしの質問を、
次々投げかける結城義晴。
さらに会場からの質問。
千野さんは一つずつ考えながら、
ていねいに答えてくれた。
参加した人々は幸せな時間を共有した。
午後3時から5時半まで、
2時間にわたる最終講義は、
無事に終了。
イタリア出張中の上田隆穂先生が、
ビデオレターで祝辞。
マネジメントスクール所長、経済学部長。
その後は修了証の授与式。
そして湯沢先生の閉講のあいさつで、
2016年度のDSCMも幕を閉じた。
湯沢先生はご専門の経営史の観点から、
現在の世界情勢を分析しつつ、
簡潔にスピーチしてくださった。
廣田正さんを囲んで三人で写真。
廣田さんは三菱食品を退任し、
現在はかまくら廣田オフィス代表。
かつて最終講義をしていただいた。
村上篤三郎さん。
現在、㈱ロピア取締役管理本部長。
村上さんにも最終講義講師をお願いした。
千野さんの講義に大満足の様子だった。
講義の後は、恒例、
桜実会修了生の集い。
新たに修了生となったメンバーも加わる。
乾杯のご発声は、
学習院理事の東園基政さん。
一般社団法人学習院桜友会会長。
そして大久保恒夫さん。
大久保さんは、2月末に、
セブン&アイ・フードシステムズ社長を退任。
ご苦労様でした。
現在は、その顧問で、
いわば久しぶりに自由の身。
会場では、
ビールサーバーガールが、
生ビールを注いで回った。
学習院大学生。
19キロのビールサーバー。
それを担いだ彼女に敬意を表して記念写真。
中締めは大久保さん。
大久保さんも成城石井社長時代に、
最終講義講師を務めていただいた。
最後は毎年恒例となった、
全員参加の記念写真。
みんな、いい笑顔だった。
千野さんの講義で印象に残ったこと。
一番最初に、
二つの重要な考えを、
ご披露くださった。
第一は、会社とは何か。
何のためにあるのか。
誰のためにあるのか。
それぞれの会社には、
アイデンティティがある。
それがこの設問の答えだ。
そのアイデンティティが今、
空洞化してはいないか。
第二は企業戦略とは何か。
千野さんの企業戦略は、
「価値のある独自性の追求」
真似のできない付加価値をつくること。
阪急オアシスに店や売場、
商品やコンテンツ。
それらにすべて、
価値のある独自性がある。
それが阪急オアシスの、
アイデンティティである。
私は最後に、
ジェイ・バーニーを持ち出した。
どんな企業も社会的な価値がない場合、
当然ながら競争劣位となる。
その価値が生み出されると、
競争均衡となる。
つまり競争者は必ず、
価値を持たねばならない。
次に、その価値の希少性が、
重要になる。
つまり他に存在しない価値であること。
この希少性が獲得されると、
一時的な競争優位の状況が生まれる。
しかしそれだけでは長く続かない。
最後に、模倣困難性が必要になる。
模倣困難性が出来上がると、
持続的な競争優位の状態となる。
そしてそのための組織は、
適切に出来上がっているか。
千野和利の阪急オアシスは、
全くこの戦略論そのものだった。
実に有意義な最終講座だった。
千野さんに心から感謝したい。
〈結城義晴〉