[日曜漫歩]3.6万回転の富嶽二十三景
1日目に神は、
昼と夜をつくった。
2日目に神は、
天をつくった。
3日目に神は、
海と地をつくり、
植物を生えさせた。
4日目に神は、
太陽と月と星をつくった。
5日目に神は、
魚と鳥をつくった。
6日目に神は、
動物をつくり、
男と女を創造した。
そして7日目に神は、
休んだ。
それが日曜日。
だから日曜漫歩。
とはいっても、
新横浜から東海道新幹線に乗って、
丹沢山系を眺めていると、
住宅地の背後に、
ぼんやりと、
大きな富士の姿が見えてくる。
⑴2017年3月5日10時52分50秒
春先のぼやっとした空気。
⑵10時56分08秒
しかし、小田原を過ぎると、
意外にくっきりと見えてきた。
頂に雪をのせている。
⑶11時06分30秒
鉄塔が林立して、その後ろに富士。
⑷11時06分36秒
そして台形の頂上付近だけ。
⑸11時06分56秒
三島に向かうあたりで、
雲は去って、
美しい姿を見せる。
⑹11時09分38秒
鉄塔と富士。
⑺11時09分40秒
手前の斜めの稜線の向こうに見える。
⑻11時09分46秒
少しずつ、全容を見せ始める。
⑼11時09分50秒
東名高速道路と富士。
⑽11時09分56秒
新幹線の時速300キロ。
1秒に約83.33m進む。
その秒速83mに負けずに、
シャッターを切る。
⑾11時10分06秒
全容が見えてきて、
富士の姿が正面になる。
⑿11時10分24秒
新幹線の車輪径は86cm。
その車輪の円周は約270cm。
車輪が1回転すると、2.7m進む。
だから新幹線の車輪は、
1秒間に30.86回転している。
などと考えると、
富士の姿がゆっくりスライドしていく。
⒀11時10分58秒
煙突と富士。
⒁11時11分32秒
この姿を見ながら生活する。
⒂11時12分08秒
うらやましい限り。
⒃11時12分10秒
手前の建物が動いていく。
富士は動かない。
⒄11時12分12秒
もうすぐお別れ。
⒅11時12分
富士川にかかってきた。
⒆11時12分14秒
富士川の橋。
⒇11時12分24秒
シャッターを切り続けると、
その橋げたの間に富士の姿。
(21)11時12分26秒
美しい。
(22)11時12分28秒
では、さようなら。
ありがとう。
(23)11時12分30秒
日曜漫歩だが、
私は歩かない。
かわりに新幹線の車輪は、
19分40秒間に3万6415回転。
日曜3.6万回転。
再び、ありがとう。
のぞみよ。
〈結城義晴〉