3・11の「復旧・復興・振興」と「構造への服従・記憶への奉仕」
2011年3月11日。
東日本大震災。
あれから6年。
1万5893人の人々が亡くなられた。
行方不明はいまも2553人、
さらに震災関連死の人々は3523人。
心からご冥福を祈り、
今日も午後2時46分に黙祷。
津波に襲われた沿岸部では、
宅地造成や災害公営住宅の建設が進む。
いまも約3万4000人の被災者が、
プレハブの仮設住宅で避難生活を続ける。
東北3県では、この3月末までに、
高台・内陸の宅地造成69%、
公営住宅83%が完成。
福島第一原発事故によって、
国から避難指示された対象者は、
約5万6000人。
まだまだ、復旧・復興の途上である。
一昨年の月刊『商人舎』3月号特集。
3・11――三年目の正直
社会的使命を果たし続けた
誇り高き商業者たちの1000日記録。
さらに商人舎公式ホームページ。
右段にボタンをつくって、
負けるな! 不屈の日本人
東北関東大津波大震災へのメッセージ。
このページはずっと、
「復旧・復興・振興」の、
最終の「振興」段階まで、
外すつもりはない。
特に2011年の福島原発事故は、
1945年の広島原爆投下とともに、
わが日本国が体験し、
抱え込んだ問題として、
解決と報告・認識の努力が、
継続されなければならない。
堺屋太一さんの解説。
2011年3月22日の、
毎日更新宣言ブログ。
非常時対策には、5段階がある。
①救助
②救済
③復旧
④復興
⑤振興
「長期的な視野を持つ必要があり、
決して方向を誤ってはいけない」
短期的・短絡的な救助・救済の視点だけで
長期的な復興・振興を、
間違わせてはいけない。
この第1段階の救助の原則。
「軽いものから先に」
第1に、最も急ぐ軽いものは「情報」
第2は、「生活物資」
まず「飲料と医薬の配布」
その次が「緊急の食料」
そしてその次が「燃料と衣料」
第3は、「安全な生活空間の準備と、
そこへの搬送、
そして仮設住宅の提供」
この第3までが、①の救助である。
この目安は災害発生から10日間。
第2段階は救済。
「道路、水道、衛生、電力、ガスなどの
ライフラインの応急処置を
急がなければならない」
このとき「大事なのは速度。
最低限のライフラインを
つなげるリミットは、1カ月以内」
第3段階の「復旧」に入るのは、
被災後1カ月。
「水道、道路、電力、鉄道などを
旧(もと)に復すとともに、
店舗や飲食店を再開させ、
日常生活を復元させる」
堺屋さんは重要な指摘をしている。
「利にこだわらず情に流されず、
経済社会の総合判断が必要だ」
「日本の財政・経済はもちろん、
国民の士気や
この国の多様な文化性をも
考えねばならない」
「この順序をどう選択し、
その合理性を国民に説得すること」
復旧から復興へ、
そしてさらなる振興へ。
この発展的展開の過程で、
最も重要かつ困難な仕事は、
順序であり、合理性である。
振り返ると、その順序や合理性は、
どうだっただろうか。
2010年10月に堺屋さんに会った。
その時には別のテーマだったが、
堺屋さんが強調していたのは、
「本気のプロデューサー」が、
是非とも必要だということ。
「利にこだわらず情に流されず」
「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」
「ずっと、いつも」を、
私たちの信条としたい。
谷川俊太郎さんの詩。
「そのあと」
そのあとがある
大切なひとを失ったあと
もうあとはないと思ったあと
すべて終わったと
知ったあとにも
終わらないそのあとがある
そのあとは一筋に
霧の中へ消えている
そのあとは限りなく
青くひろがっている
そのあとがある
世界に そして
ひとりひとりの心に
そして、結城義晴。
元気を出そう
元気を売ろう
元気を出そうよ。
それがあなたの仕事です。
元気を売ろうよ。
それがあなたの役目です。
お客さまに笑顔が戻る。
街に活気が蘇える。
あなたの商品のおかげです。
あなたのサービスの賜物です。
たとえ店頭から、
商品が消え失せようとも。
たとえ倉庫が、
空になろうとも。
あなたは店を開けようよ。
あなたは売場に立ち続けようよ。
店で元気を出そう。
売場で元気を売ろう。
元気が
あなたの付加価値です。
元気が
あなたの利潤です。
苦しい時にも、
元気が買える。
どんな時でも、
元気が貰える。
たとえ地震に
襲われようとも。
たとえ津波に
見舞われようとも。
店を開けよう。
売場に立とう。
元気を出そう。
元気を売ろう。
それがあなたの仕事です。
それがあなたの役目です。
店を開けよう。
売場に立とう。
元気を出そう。
元気を売ろう。
忘れてはならない。
そのあとがある
世界に そして
ひとりひとりの心に
だから商人は、
元気を出そう。
元気を売ろう。
3月7日の朝日新聞「折々のことば」687。
一方は鑿で石のなかに
物語を彫り刻み、
他方は、区切り、韻律、
半諧音によって
人間の記憶のなかに
物語を彫り刻む。
(アランの「プロポ」山崎庸一郎訳から)
鑿は「のみ」
アランはフランスの哲学者。
エミール・オーギュスト・シャルティエ。
この一文は「建築と詩について」
編著者の鷲田清一さん。
「建物の装飾は
その構造に『服従』し、
詩の韻律や脚韻は
記憶に『奉仕』する」
宅地造成や公営住宅は、
構造に服従する。
「そのあと」は、
記憶に奉仕する。
「元気を出そう」も、
できればそうありたい。
「芸術においては、
『ひとつたりと余計な石を置くまい』
という、石工のメチエ(職人の技)が
まずもって貫かれるべきで、
想像力ははしゃぎ回っては
ならないのだと」
想像力は、
はしゃぎまわってはならない。
復旧から、復興へ。
そして振興へ。
2020年の東京オリンピック、
そしてパラリンピック。
そのころには是非とも、
東北の振興のレベルを、
世界に示したい。
再び、黙祷。
合掌。
〈結城義晴〉