商人舎9期決算の「お蔭様」とヨーカ堂店舗閉鎖の「待った!」
3月は「初春」
だが、今日あたりは、
その初春の終わり。
「盛夏」とは言うし、
「盛秋」「盛冬」とも使うけれど、
「盛春」はあまり聞かない。
「盛春歌」というのがあるらしいが、
それは造語。
その代わり、
「春爛漫」がある。
その春爛漫の直前。
それがいまだろう。
大東京は美しい。
その真ん中に東京タワー。
東京スカイツリーの方が高いけれど、
隅田川の近くといっても、
やはり東京のはずれの感じ。
港区の東京タワーが、
東京の中心であることは変わらない。
私はその東京タワーの真下で、
30年間仕事していたから、
断然、東京タワー派だ。
今日は恒例の取締役会。
カスタマー・コミュニケーションズ㈱。
「TRUE DATA」ブランドで、
ID-POSとPOSのデータを駆使する。
ビッグデータ・マーケティング企業。
お蔭様で、好調な業容。
米倉裕之社長が、
「良い会社」にしようと奮闘する。
2時間以上の議論を終えて、
さらにランチミーティング。
横浜商人舎オフィスに戻ると、
宮田昇先生と山崎香織さん、来社。
(株)商人舎の顧問税理士。
1月末日で終わった、
商人舎第9期。
その決算書をまとめてくださった。
お蔭様で、
無借金経営で順調です。
わずかながら利益も出ました。
月刊商人舎や商人舎magazineは、
まだちょっと赤字でしょうか。
それでもこれは、
私たちの社会貢献です。
やめません。
雑誌もmagazineも、
売ろう売ろうとは考えていません。
昨日の雪崩の話でいえば、
「ビーコン」になりたい。
だから内容が難しいと言われようが、
地味なテーマだと思われようが、
高度すぎると指摘されようが、
重要なことは鋭い切り口で、
どんどん取り上げる。
知識商人の雑誌。
トップ・マネジメントと、
それを目指す人たちの雑誌。
私自身はもう40年にもなろうとする、
流通ジャーナリズムの編集者生活で、
今が一番、充実しているし、面白い。
ありがたいことです。
それでも雑誌は、
わずかでも黒字にしたい。
ご協力ください。
読者になってください。
広告も出してください。
無料のDaily商人舎を、
これからもさらにさらに、
お役立ちできるメディアにします。
よろしくお願いします。
今日のDaily商人舎。
セブン&アイニュース|
セブン-イレブン日用雑貨61品目値下げ作戦
これは重要なニュース。
ぜひ、読んでおいてください。
サミットニュース|
生鮮素材活用の店内加工アイテム第2弾「炒め物セット」
フジニュース|
3月31日プレミアムフライデー企画を実施
2月商業動態統計|
ドラッグとコンビニがプラス、百貨店は最下位
さて、東洋経済オンライン。
「ヨーカ堂、
店舗閉鎖ありきに
役員が『待った』」
又吉龍吾記者の記事。
週刊東洋経済4月1日号からの転載。
「きちんとした
フォーマットさえ作れば、
成長の余地はある。
必ずしも店舗を
閉める必要はない」
大髙善興さんの本音。
ヨークベニマル会長で、
セブン&アイホールディングス取締役。
そしてイトーヨーカ堂取締役。
総合スーパーのヨーカ堂は、
今年2017年2月までの既存店売上高が、
12カ月連続で前年同月比割れ。
「2016年度は不良在庫の処分も重なり、
2期連続の営業赤字となる見通しだ」
そこで「止血策」として、
「赤字店舗の閉鎖」を進める。
具体的に方針もあがっている。
「2020年度までに
収益改善の見込めない40店」
この方針に沿って、
2016年4月の創業店閉店を皮切りに、
次々とリストラが断行されてきた。
創業の店は、
「ザ・プライス千住店」となっていたが。
このイトーヨーカ堂に、
今年3月、新たな役員人事。
これは既報の通り。
亀井淳さんが社長を退き、
常務執行役員の三枝富博さんが昇格。
それに合わせて、
大髙さんと伊藤順朗さんが、
イトーヨーカ堂取締役に就任。
順朗さんはセブン&アイ常務執行役員で、
創業者・伊藤雅俊さんの二男。
私は「ファウンダー」の役割を、
順朗さんが担うと勝手に考えている。
アメリカのウォルマートで、
サム・ウォルトンが亡くなった後、
デヴィット・グラスがCEOで、
サムの長男のロブソン・ウォルトンは、
ファウンダーとなった。
大髙さんのヨークベニマルは、
業績堅調で、2016年度は、
営業利益140億円。
前期比5%増で赤字のヨーカ堂とは違う。
三枝さんは語っている。
「大髙さんは食品スーパーのプロ。
彼の知見を生かして、
食品部門を強化したい」
その大髙さんは、
店舗リストラには否定的だ。
「従業員や地域のことを考えると、
簡単に店舗を閉めてはいけない」
これが大髙さんの持論。
もう、20年も前だろうか。
私はヨークベニマルの、
お店のお葬式に立ち会った。
店は閉めてはいけない。
閉めるとしたら、
代わりの店を出す。
だからこの店も近隣に、
大型の標準店を出店し、
スクラップ&ビルドを前提に、
お葬式をした。
最後の日の朝。
店はピカピカに磨かれ、
商品も満載だった。
幹部や本部の人間も、
全員やって来て、
近隣のお客様とともに、
心から店に感謝して、
最後の姿を名残惜しんだ。
東洋経済の又吉記者は書く。
「亀井氏と大髙氏が
店舗リストラをめぐり、
激しく対立していた」
大髙さんは、激しく対立など、
しないと思うけど。
順朗さんにも三枝社長は期待を寄せる。
「グループ全体の大局から
ヨーカ堂の課題を指摘してもらう」
そして、イトーヨーカ堂のリストラに、
「伊藤氏が一定の牽制機能を果たす」
そこで既存店の立て直しに、
カギを握る部署が誕生している。、
オペレーションサポート部である。
略して「OS」で、昨2016年10月の設立。
OSには100人を超える部員が配置された。
週に4日間、店に入って、
現場の課題を洗い出す。
1日は本社に戻って、
各店の課題や取り組みを共有する。
その役割は、
「店舗と本部の連携強化を図ること」
これもサム・ウォルトンのやり方と、
一緒だ。
1980年代のウォルマートでは、
月曜から木曜まで、
幹部やスーパーバイザーが、
全米の店を回った。
木曜の晩に本部に戻って、
金曜、土曜と会議をした。
「すぐやる会議」と呼ばれた。
イトーヨーカ堂の高橋信OS部長。
「これまでは店と現場の意思疎通が
うまくいっていない面があった。
両者をつなぐ“通訳”が必要だった」
この発言の背景には、
3年前に始まった施策がある。
名づけて「独立運営店舗」
もちろん鈴木敏文元会長の意向。
「画一的な店舗運営が、
低迷の原因ととらえ、
各店に権限を与え、
地域の嗜好に合わせた品揃えを進める」
「独立運営店舗」方式でも、
「店ごとの独自色を出す効果」は出た。
しかし「非効率な部分も散見された」
そこで2016年秋から、
地域ごとに分けられていた仕入れ機能は、
再び本部に集約された。
「OSを媒介として、
商品をしっかり現場に
マッチングさせていく」
高橋OS部長。
記事に、結論はない。
「店舗を閉鎖せず
ヨーカ堂を再生できれば、
それが理想的だ」と言いつつ、
「仮にリストラが遅れれば、
ヨーカ堂にとって致命傷となる
おそれも否定できない」と指摘する。
しかし私は、
大髙善興さんの使った言葉が、
鍵を握ると考えている。
「きちんとしたフォーマット」
それをつくることだ。
フォーマットづくりのセオリーは、
私の言説に耳を傾けてほしい。
「曖昧総合」といわれた業態。
「何でもありそうで、
欲しいものは何もない」と、
揶揄されたビジネスモデル。
しかし、その物件を、
「フォーマット」にすることは、
可能だ。
「イオンスタイル」は、
それをつかみかけている。
ただしフォーマットの構築は、
オペレーションサポートでは、
達成できない。
イトーヨーカ堂の悩みは深い。
〈結城義晴〉