「土手の花見の物語」と万代知識商人大学第2期
Everybody! Good Monday!
[2017vol15]
2017年第15週にして、
4月第3週です。
花見の季節。
東京がまず開花宣言して、
ちょっと異様な形勢だが、
一応、桜前線北上中。
見上げゐる間にも桜の咲きさうな
〈朝日俳壇より 姫路市・上原康子〉
そうそう。
咲き満ちて息を詰めたる桜かな
〈朝日俳壇より 枚方市・中嶋陽太〉
そして。
花篝(はなかがり)音もて花を散らしけり
〈同 東京都・望月清彦〉
〈同 高松市・島田章平〉
(長谷川櫂の選評)
ソフトフォーカスの写真のよう。
とりかえしのつかぬことをしてしまった。
そう、私たちの国が、
取り返しのつかない事故を起こした。
あれは人災だ。
そのことを自覚せねばならない。
先週火曜日の一件。
今村雅弘復興相の言動。
全く、自覚がない。
福島第1原発事故によって、
自主避難者が出た。
その避難者への対応を、
国が責任を持って行うべきだと問う記者。
それに対して、
「出て行きなさい」と、
怒鳴る一幕。
「責任を持ってやっている。
君はなんて無礼なことを言うんだ。
撤回しなさい」
強い口調。
そのあと、国会で謝罪。
「感情的になってしまった。
今後、冷静・適切に対応したい」
今村復興相がもし企業のトップで、
今回のような発言をしたなら、
その会社はおそらく、
倒産の危機に瀕しているに違いない。
それだけ重い職責を背負っている。
何しろ復興大臣なのだから。
ちょっと古いけれど、
昨2016年9月1日、
毎日新聞の「余禄」
「土手の花見」の話を取り上げた。
川の土手はよく、
桜の名所になっている。
なぜか。
元の話は、ホームページから。
加古川グリーンシティ防災会。
「土手の花見の物語」
ちょっと短くしてお届けしよう。
むかし、むかし、あるところに
毎年、毎年、繰り返される水害に、
悩まされた地域がありました。
その地域では、水害対策のためにと、
川に土手を造って備えることにしました。
ところが一度冬を越え、
翌年の出水期である梅雨を迎えると、
しっかり造ったはずの土手が、
またまた決壊してしまい、
再び水害に見舞われてしまうのでした。
なぜ、しっかり造ったはずの土手が、
決壊するのか?
地域の役所では、
知恵のある人を集めて調べてみました。
もう一度、土手は、
しっかり造り直されました。
すると、その年の出水期には、
何の問題なく過ごすことができました。
ところが、翌年の出水期に、
また決壊してしまったのです。
それはなぜか?
しっかり固めたはずの土手に、
小さな素穴が開き、
その小穴を水が通り抜けて、
大きな穴となり、
土手を決壊させてしまう。
なぜ、しっかり造ったはずの土手に、
素穴が開いてしまうのか?
またもや、地域の役所では、
知恵のある人を集めて調べてみました。
土手の土の中にある水分が、
原因であるとわかりました。
土手を造った年には、
多くの水量にも耐えられる。
ところが多い水量に耐えている間に、
土手が保水をするのでした。
その保水した土手の土は、
その年の冬に凍てついて膨張します。
次の春がやって来ると、
ポカポカとした穏やかさの中で、
凍てついた氷は溶け出し、
土手の中の水分は、
外へ外へとしみ出すのでした。
あとに残ったのは、凍てついている間に
できてしまった小さな空間。
それが小さな素穴の原因だったのです。
それならば対策は簡単。
「翌春にもう一度固めればいいのだ」
ところが、出来上がった後の土手は、
大きな圧力を掛けないと、
土を締め固めることができない。
ならば、人をたくさん集めて、
踏み固めてもらおうと考えました。
そこで地域の人たちに、
こんな『おふれ』が出されました。
[記]
この町に住むもの全員は、
○月○日に土手に集まりなさい。
水害対策のために、
全員で土手を踏み固める。
〈役所より〉
さて、○月○日になりました。
待てど暮らせど、
町の人たちは集まりません。
「なぜ、集まらないのだろうか?」
「自分ひとりくらい、うちの家族くらいは
行かなくても大丈夫だろう」
町中の人が思っていました。
防災でいう「集団的手抜き事件」発生です。
そこで、知恵のある人がこう言いました。
「春先に花の咲く木を
土手の周辺に植えてください」
「サクラなんてぇのも良いですね」
知恵のある人はこう付け加えました。
「花が咲いたらみんなで
花見大会をしよう」
「唄って、飲んで、踊って、
みんなで楽しむのですよ」
みんなは口々に言いました。
「そんなことで人は集まるのかねぇ?」
「災害対策だと言っても、
みんな集まらないんだぞ」
「そんなバカげたことはけしからん!」
知恵のある人はこう言いました。
「とりあえず、やってみましょうよ」
「やってみてから、お叱りを受けますから」
翌年の春、
前年に植えた桜に、
小さな花が咲きました。
また役所から次のような『おふれ』が
張り出されました。
[記]
○月○日に土手で花見大会を行う。
下手や上手にかかわらず
歌って踊れるものには褒美、
お酒またはお菓子を振る舞うこととする
家族から何人出ても良し。
〈役所より〉
○月○日になりました。
その日は朝から、町中の人が、
土手に溢れかえるほど集まり、
花見大会の見物客も、
ゴザやむしろを広げて、
ワイワイガヤガヤ。
歌えや踊れの大騒ぎ、
一日中、町中の人たちが、
土手を踏みしめてくれました。
ところが驚いたことに
翌日も、その翌日も、
花が終わりになるまで、
多くの人たちが、
土手で花見を楽しんだのでした。
その結果、その年からは、
出水期の梅雨や台風時期になっても、
土手は決壊しませんでした。
そうして人々は、
安心して暮らせるようになりました。
役所は、提案をした人に言いました。
「褒美をとらせるぞ」
知恵ある人は言いました。
「褒美はいりません。
その代わりに毎年、
お花見大会をやってください」
「町の人の笑顔が私には
何よりの褒美になります」
「町の人の笑顔が、
私の大切な家族を、
守ってくれているのですから、
これより良い褒美はありません」
さて、昨日から大阪。
富士は雲に隠れていた。
大阪に着いて、いつもの久恵へ。
やっぱり桜鯛、美味かったなぁ。
(株)万代会長の加藤徹さん、
取締役の黒田久徳さん、芝純さん。
そして今日は朝一番で、
万代本社横の会議棟。
万代知識商人大学第2期。
その第2回講義。
32人の精鋭が集まって、
Logical Thinkingの一日。
その模様は明日のブログへ続く。
春のふくしま美しい村があった
〈高松市・島田章平〉
そして「土手の花見の物語」
「町の人の笑顔が私には
何よりの褒美になります」
そんな知識商人でありたい。
では、みなさん、今週も、
Good Monday!
〈結城義晴〉