小売サービス業のためのナレッジサイト

ラスベガスに到着して3日目。

商人舎ベーシックコースも、
折り返し地点。

WalmartとTarget。
両者の第1四半期決算が発表されている。

ウォルマートは売上高1.3%増、
営業利益0.7%減、純利益1.3%減。
つまり増収減益。

ウォルマートUSの既存店は1.4%増、
eコマースは63%増。

一方のターゲット。
売上高1.1%減少、純利益7.7%増加。
つまり減収増益。

既存店は客数・客単価、ともに減少。
eコマースは22%の増加。

両者、正反対の成績。
しかしオンライン販売は増えている。

同じ業態を展開する企業が、
正反対の業績を示す。
これはその業態が、
成熟から衰退へ向かっている証拠だ。

しかしeコマースはともに増えている。
それはノンストアリテイリング業態が、
消費の潮流として受け入れられ、
伸びているということだ。

アメリカ小売業はいまや、
外から見るだけでは、
わかりづらい産業となりつつある。

虫の目･鳥の目･魚の目、
そして心の目で、
見なければならない。

さて、朝8時、
バリーズホテルのボードルームに集合。

はじめに事務局から、
3日目の夜の大イベントのお知らせ。
大試食会の概要。

JTB西日本のレジェンド小阪。
小阪裕介が班分けと手順を説明。

そして結城義晴のセミナー。
ベーシックコースでは、
毎朝、講義する。

今日はフォーマットの時代と、
ポジショニング戦略。

小売業のSTPマーケティングと、
その中核をなすポジショニング戦略。
アメリカ流通業だけでなく、
日本の小売サービス業、
卸売業や製造業でも、
最重要の競争戦略である。

さらに後半最後は商品戦略。
それはコモディティ化現象とその対策。
都合、3時間の講義。

力が入ったし、疲れが出るほどだった。
しかし鳥の目と魚の目、心の目は、
私の役目だ。

その視点から見えないものを、
見えるように解説する。

セミナーの後は、
4つの班ごとに分かれて、
大試食会の打ち合わせ。

コンセプトをどうするのか、
メニューは何を揃えるのか。

今日は、忙しい。

店舗視察と商品調査と、
そのうえ食材の買い出し。
それらをこなす。

まずはアルバートソン。

この店は古い。
通常のスーパーマーケットは、
現在、フード&ドラッグが当たり前。
しかし、この店はドラッグを持たない。

だから隣にCVSファーマシーがある。

アルバートソンは紆余曲折の末、
サーベラス傘下のもと、
2015年1月、セーフウェイと合併。

現在、5兆円を超える売上高で、
米国スーパーマーケット産業では、
クローガーに次ぐ第2位につける。

売場は普通に管理されている。

しかし奥主通路のこの売場。
顧客の姿が全く見えない。

GET・FREEの文字ばかり。

あろうことか、
｢BUY ONE GET THREE FREE｣!??

ヒレステーキ4枚パック商品を、
1つ購入すれば、
同じ商品がおまけで3つ付く。

売価は15ドル28セント。
16枚だから1枚1ドル以下。
4枚だけ必要なお客が、
16枚をもらっても、
うれしいはずがない。

さらに、この店は
リカー売場にこのゲート。

昨日見たセーフウェイ傘下のボンズも、
今日のアルバートソンも、
暗澹たる状況。

かつてのエクセレントカンパニー、
アルバートソン。
行く末はまだまだ暗い。

それどころか、未来はないに等しい。

気を取り直して、
ターゲットへ向かう。

2017年1月期は年商694億9500万ドル。
100円換算で6兆9495億円。
伸び率はマイナス5.8％。
店数1802。

2018年1月期の第1四半期は減収増益。

2014年、7000万人に及ぶ顧客名簿が流出。
それ以来、業績が悪化。
いまだ復調の兆しを見せない。
しかし売場は徐々に回復してきている。

このタイプのフォーマットは、
食品は必需の生鮮とグロサリーだけ。

2015年、ターゲットは、
店内ファーマシーとクリニック部門を、
CVSヘルスに19億ドルで売却した。

だからCVSファーマシーの売場がある。

対ウォルマートで、
ターゲットとCVSヘルスが連携。

同じショッピングセンター内の、
ロスドレス･フォーレス。
オフプライスストアはいずれも絶好調。

次に、バスを飛ばして、
ウォルマート･ネイバーフッドマーケット。

淡い色彩の明るい店内。

青果部門は、鮮度管理レベルが上がり、
陳列も格段によくなってきた。

デアリーの一角の柱回りに、
見切り商品。

｢多くつくりすぎました。
だからディスカウントします｣

GET・FREEより、断然いい。

ネット注文の商品を受け取るコーナー。
オレンジ色のピックアップ&サービス。

右端にフォト・サービスのコーナー。
このカラーリングがいい。

第1四半期は増収減益だが、
減益は織り込み済み。
eコマースに投資しているからだ。

さらにクローガー傘下の、
スミスへ。
二度目の訪問。

天井が低く、やや古い店だが、
スミスらしく最新型に転換している。

ファーマシー売場が必ず入る。
クローガーではフード&ドラッグが、
最低限で必須のフォーマットだ。

視察の最後は、
何といってもホールフーズ。

今日、最後の訪問店ともなると、
食材買い出しも本格的になる。

鮮魚売場でも商品を見つくろう。

これがいいよね?

こちらでは商品調査。

肉を吟味する班。

ひとりの顧客となって
商品を実際に購入すると、
ただ見ているだけではわからない、
その店の品揃えや売価政策が、
よくわかってくる。

これが大試食会の狙いでもある。

私も大流行のロゼワインを購入。

大試食会の会場は、
｢MR.MAMAS」
カジュアルレストランを借り切って
厨房で調理し、フロアで試食会を行う。

オーナーのニック・パリスさん。
今年で3回目となる商人舎のこのイベント。
毎年、快く協力してくれる。

スタッフのみなさんも
厨房でサポートしてくれるから、
心強い。

調理開始！

食材を並べて、
カッティング。

さっそく、野菜を茹でる。

スタッフのエディが、
もはや主役級の調理人状態。

厨房の外では、
サラダやスナックづくり。

ボウルでサラダをあえる。

こちらは共同作業。

作業する人を、
見つめるメンバー。

デザートづくりも進む。

約1時間の調理で
ほぼすべての調理作業を完了。

4班がそれぞれに、
テーマとメニューを、
プレゼンテーション。

第3班はワインに合うメニュー。
メインはローストビーフ。
シュリンプサラダ、フルーツなど
｢時短調理｣をテーマの一つに掲げて、
彩りよく仕上げた。

第4班はメニューも飲みものも
すべてオーガニック食材にこだわった、
コンセプチュアルな提案。
オーガニックビーフのステーキ、
パスタなど工夫を凝らした。

さらにクラッカーに、
チョコレートとマシュマロを挟んで、
温めたデザート｢スモア」の提案。

第1班は豪華メニューによる、
｢最後の晩餐｣がテーマ。
みんなでワイワイ御馳走を食べよう。
それをコンセプトに、
スペアリブ、野菜スープ、
そしてサラダなどを用意。

ただし大きな豚肉の塊を持ち込み、
スタッフのエディさんから、
｢4時間はかかる料理｣と言われてしまった。
エディさんのサポートで何とか、
1時間で上質のスペアリブをつくった。

第2班は、世界は一つがテーマ。
鶏、豚、牛の3つの肉料理、
サラダ、フルーツを大皿で取り分ける提案。

ウォルマートで購入した牛肉より、
ホールフーズの鳥・豚肉のほうが、
高かった。

そして待ちに待った試食タイム。

審査員は私と事務局スタッフ。
各テーブルを回って試食する。

その3班。

4班。

2班。

1班。

自分たちが作った料理を食べ、
ほかの班がつくった料理を味見する。
1時間ほどの試食タイム。

2班はあっという間に平らげて、
片付けまで済ませて、
｢ごちそうさま｣のポーズ。

審査員へのアピールらしい。

そして審査結果の発表。

各班ともに、
テーマ設定と料理は素晴らしかった。
しかし全班が、
肉とサラダ料理に偏ってしまった。
結果、際立つポジショニングに、
いずれのチームも欠けてしまった。
そのわずかな差で1、2位が決まった。

2位は3班の｢ワインに合うメニュー」
こちらでブレーク中のロゼワインが賞品。

栄えある1位は、
1班の｢最後の晩餐｣

賞品はロゼのスパークリングワイン。

おめでとう!

惜しくも選にもれた2班、4班には
アメリカで大人気の｢コンブチャ｣の進呈。

最後は全員で記念写真。

3日目の大イベントは、
大成功裡に終了。

この心の交流から、
見えにくいものが見えてくる。
(つづきます)

〈結城義晴〉

[追伸]は商人舎 流通Super News。
5月16日Super News。
ユニーファミマニュース｜
PB減塩昆布佃煮｢JSH減塩食品アワード｣金賞
サツドラニュース｜
ジョイフルAKと｢EZOCA｣でパートナーシップ協定
イオンニュース｜
｢オール山口Ｊリーグで地方創生包括連携｣協定締結
フレスタニュース｜
中国地区初「からだデリ」の惣菜と弁当販売開始
イオンニュース｜
イオン九州が高校生プロデュース弁当2種を限定販売
イオンニュース｜
イオンタウン長与とマックスバリュ長与中央店開設
セブン＆アイニュース｜
グランツリー武蔵小杉｢大人の活かせる美知識講座｣開催

5月17日SuperNews。
オークワニュース｜
5/19(金)より夏ギフトセール3つの新企画でスタート
ニトリニュース｜
2018年に向けた新ランドセルと新学習机販売開始
ファミマニュース｜
ホームページに多目的トイレ設置店舗の検索機能を追加
イオンニュース｜
いちまるの1529坪店舗をマックスバリュ池田店に改装
トライアルニュース｜
スーパーセンタートライアル寝屋川大成町店オープン
いなげやニュース｜
6月22日付けで大幅組織変更および役員・執行役員異動
スギHDニュース｜
スギ薬局創業40周年を機に大府市と包括連携協定締結
ローソンニュース｜
サラダ1.5倍の26種類･陳列棚5段で売上げ拡大狙う

5月18日SuperNews。
マミーマートニュース｜
2017年9月期上半期は518億円を売り上げて増収増益
イオンニュース｜
マックスバリュ北海道、機構改革と執行役員制度導入
セブン＆アイニュース｜
日本コカ･コーラ共同企画で初の機能性緑茶飲料発売
ユニクロニュース｜
セオリーとコラボ2期目｢UNIQLO×Theory｣6/5販売
イオンニュース｜
G.Gストアが｢第1回Enjoy Aging Award｣最優秀賞
リドルニュース｜
独トップSchwarzの小型廉価店Lidlが6/15に米国上陸
フジニュース｜
地域協働イベント｢エフ･マルシェ愛媛まるごと農園｣開催
エコスニュース｜
TAIRAYAエスカード牛久店、イズミヤ撤退物件に開店
成城石井ニュース｜
｢Le Bar a Vin 52｣神谷町店のランチワークショップ
やまやニュース｜
富山県内10店舗目の｢酒のやまや北の森店｣オープン

5月19日SuperNews。
ウォルマートニュース｜
第1四半期は増収減益だがeコマー
エディオンニュース｜
5/27｢イオンタウン長与」内の新店をグランドオープン
4月訪日外客数統計｜
初めて250万人を突破し、23.9%増で過去最高記録
ノジマニュース｜
スーパー三和と荷物運びロボット｢Budgee｣実証実験
Ｊ.フロントニュース｜
大丸・松坂屋｢飽食と饑餓を同時に解決するフェア｣実施
ファミマニュース｜
6/1付でCSKとの営業一体化の組織改編と役員人事
ファミマニュース｜
元会長上田準二氏完全引退記念｢黒幕引き丼｣5/23発売!
成城石井ニュース｜
東北初出店となる｢エスパル仙台店」6/1オープン