結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2017年06月23日(金曜日)

イオン米国事前講義と「Amazonが目指す究極のRetail」

「昨日、麻央が旅立ちました」
市川海老蔵。

小林麻央さんが亡くなった。

死の3日前まで、
ブログを書き続けた。

「同じ病の人たちと、
苦しさ、悲しさを
分かち合う姿というのは、
人ではないというか。
すごい人だな」

「今後も教わり続けることは、
愛なんだな」

死を受け止めるとき、
愛があった。

愛があるから、
死を受けいれられた。

もっともっと、
深いものを感じたのだろう。
考えたのだろう。

ブロガー同志としても、
心からご冥福を祈りたい。

私は横浜から、東京駅へ。
そして京葉線の特急「わかしお」で、
海浜幕張へ。

今日はアネックスタワー。
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イオンリテール㈱
アメリカ研修事前講義。
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7月4日の独立記念日から1週間、
米国チェーンストア産業を学ぶために、
ダラスとニューヨークを巡る。
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出発までの宿題を出して、
それからイオンにとって、
米国小売業がどんな意味をもつかを解説。

米国チェーンストアの動静、
特にゼネラルマーチャンダイズストアと、
デパートメントストアとの関係性を、
根本のところから解析した。
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ノンストアリテイリングとリアル店舗。
もちろんアマゾンによる、
ホールフーズ買収の意味。
そのうえでイオンは、
何を、どう、イノベーションするのか。
商品部の課題は何か。
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昨日までの3日間の余勢をかって、
2時間を一気に語りきった。

事前講義だったが、
ずいぶん脱線をして、
いま、語りたいこと、
語らねばならないことを語った。

疲れ切ったが満足して、駅前で写真。
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そのあと、思い立って、
京葉線の新浦安駅で下車。
イオンスタイル新浦安
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今年5月19日、リニューアルオープン。
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1階の食品フロアに新しい考え方を入れて、
青果部門・惣菜部門の横に、
広いフードコートを配置した。
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THE FOOD TOWNと名づけられて、
広大な青果部門は素晴らしい。DSCN7681.JPG-7
ただしこのフード&ドラッグのフロアに、
一部、セルフレジを導入したのは、
どうなのだろうか。

数字はわからないし、
オペレーションもちょっと見ただけで、
すべてを知るわけではないけれど、
セミセルフの方がよかったのではないか。

新浦安駅前の立地で、
今日のような金曜日の夕方、
土日、火曜市のときなど、
効果を発揮したのではないか。
DSCN7685.JPG-7
1990年6月28日に、
ショッパーズプラザ新浦安として開業。
ダイエー新浦安店が核店舗だった。

懐かしい。

今後、2階、3階をどう変えるのか。
課題は残されている。

さて、日経新聞の記事。
Financial Timesの翻訳。
「米アマゾンが目指す究極の小売り」
[By John Gapper]

「米アマゾン・ドット・コムという企業を
理解できたと思いきや、
同社にはまた驚かされた」

率直な感想。

ホールフーズ買収のこと。

アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス。
「方向性を見失ったのか、
それとも我々の理解が誤っていたのか」

John Gapperのアマゾンに対する評価。
「ネットのディスカウントストアというより
巨大なコンビニだ」

つまりその基本戦略は、
「値下げや配送サービスにより
買い物をしやすくすることだ」

ここで、なんとA&Pを持ち出す。
これには私、驚いた。

「グレート・アトランティック・&・パシフィック・ティー・カンパニー」
略してA&P。

「1913年、各地の目抜き通りに、
『特価販売店』を開き、
倉庫や配送トラックを整備して、
商品を供給した」

これが有名な「エコノミーストア」である。

このフォーマットは1930年には、
「店舗数が1万6000に達した」

私の手元の資料では、
1万5737店だが。

そしてこれによってA&Pは、
「えたいの知れない汚職まみれの
卸商や中間業者」をすべて排除した。

「しかし、A&Pは
自らの成功に足をすくわれる」

「小規模な同業者らがA&Pの事業を、
縮小させようとロビー活動を展開した」

ロビンソン・パットマン法、
制定は1936年。

価格差別を禁じられたA&Pは衰退。
「代わって米クローガーや米セーフウェイが
倉庫街に建てた大型スーパーが台頭した」

実際はクローガーの社員だった、
若きマイケル・カレンが、
1930年にスーパーマーケットを発明。

それをクローガーやセーフウェイが、
恥も知らず真似た。
もちろんやがてA&Pも真似たが、
あまりにエコノミーストアの店数が多く、
しかも収益性が高かったために、
スーパーマーケットへの転換が、
大幅に遅れた。

つまり成功が足を引っ張った。

その後、マネジメント問題もあって、
A&Pは衰退していった。

John Gapperの分析。
「アマゾンとホールフーズの
組み合わせを見る限り、
歴史は繰り返そうとしている」

つまり両者の統合は、
既存のスーパーマーケットを、
排除しようとしている?

アマゾンのホールフーズ買収は、
「解決策というより実験のようなもの」
これは正しい見方だ。

「技術革新により、
小売業の『おきて』が変わってきた昨今、
スーパーの強みは弱みにもなりつつある」

「これまでスーパーは
豆の缶や新鮮な魚や肉など
様々な種類の商品を
ひとつところにそろえ、
配送費を消費者負担とすることで
コストや価格を抑えてきた」

「消費者は車で店舗へ行き、
カート一杯にあらゆるものを
一気に買っていた」

ここが大事だ。
「技術の発展で
商品ごとに
異なる売り方が
できるようになった」

「かさばる生活雑貨やパスタや米、
新鮮な魚を一度に買わなくてもすむ。
定期購入品はネットで注文して宅配を頼み
高級品はそれで空いた時間に
店舗へ行って、実際に見て買えばいい」

私の言葉でいえば、
コモディティグッズと、
ノンコモディティグッズで、
売り方が変わる。

これがジェフ・べゾスの狙い。

「今回の買収の先にあるのは、
新鮮で安く、豊富な品ぞろえの生鮮品を
小型店や大型店、そして、
消費者の手に直接届ける
巨大で効率的な小売り大手の姿だ」

「これぞ究極のコンビニ」

翻訳の違いなのかもしれないが、
究極のコンビニエンスストアではなく、
究極のConvenience Shoppingである。

私にはその前に、
ホールフーズの店頭が、
現在のモチベーションとコンシャスで、
維持、向上していくかが、
重要なポイントであると思われる。

まあ、7月4日からの旅は、
それを確認しに行くことにもなるだろう。

〈結城義晴〉


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