「総合は専門の集合」と万代ドライデイリー会欧州視察報告講演
「2016年度小売業調査」
日経新聞から発表された。
非上場企業もアンケート回収して、
総合調査となっている。
1位 イオン
2位 セブン&アイホールディングス
3位 ファーストリテイリング
4位 ヤマダ電機
5位 三越伊勢丹ホールディングス
日経新聞が、
一面トップ記事で強調したのは、
6位 アマゾンジャパン
年間販売額1兆1747億円で、
前年比17.5%増。
7位 J・フロントリテイリング
年商1兆1085億円。
アマゾンは初の1兆円。
J.フロントを抜いて躍進。
このまま2ケタ増を続ければ、
来年度は三越伊勢丹を抜いて、
トップ5に入る。
そしてそれは確実だ。
売上高上位20社のうち、
5割の10社が減収。
イオンは334億円の増収。
次点のセブン&アイは2100億円の減収。
増収額ランキングでは、
ファーストリテイリング、
ツルハホールディングス、
ニトリホールディングスなどが、
上位を独占。
総合小売業が衰退。
ネットと専門店が躍進。
その意味で業態専門化が、
現在の潮流であることが、
改めて明確になった。
もう総合小売業は、
専門業態の集合体への
道を歩むしかない。
そんなことさえ考えられる。
さて、今日も朝一番で、
東海道新幹線。
雨模様で富士の姿は、
お見せできない。
その代わりに日本の水田。
そして大井川。
そしてまた緑の水田。
新大阪に到着して、
タクシーで堺へ。
ホテル・アゴーラリージェンシー。
万代ドライデイリー会総会。
ドライデイリー会は、
(株)万代の取引先で組織される。
6月6日から12日まで、
この会のメンバーとともに、
ドイツ・フランクフルトと、
イタリア・ミラノを訪問。
実に面白い小売業を視察した。
その視察報告会での講演。
第1班には今津龍三さん(左)と、
東尾里江さん(中)の姿。
今津さんはドライデイリー会会長で、
㈱今津社長。
東尾さんは人事部マネジャーで、
万代知識商人大学事務局担当。
1班は、合理化をドイツに学び、
演出をイタリアに学ぶ。
第2班は、
ドイツからは定番POP拡充と、
バーコード多面化を、
イタリアからはイートインの拡充を、
それぞれ学習した。
1000名ほどの前で発表する。
視察で学んだことを万代に提案する。
それが報告会の狙い。
万代の戦略や政策、
マーチャンダイジング、
プロモーションなどに、
どう活かしていくのか。
第4班は「楽しみ・学び」提供を提案。
効率的なドイツと、
非効率なイタリア。
その対照的なお国柄の、
対照的な小売業。
その違いから店づくりも
運営方法も異なる。
最後は第5班。
「青果カット商品」の提案。
5つの班が、いずれも独自の視点で
よくまとまった報告をし、
提案をしてくれた。
アメリカに学ぶことと、
ヨーロッパに学ぶことの違い。
とくにドイツ・イタリアに学ぶことは、
今、とても意義がある。
ヨーゼフ・シュンペーターは、
オーストリアの経済学者。
不断のイノベーションを提唱する。
それが今、ヨーロッパの小売業の、
現場に現れている。
現地視察をしていない人にもわかるように、
スライドを多用しながら、
ドイツとイタリアの小売産業を整理し、
主要企業の動静を解説。
グローバルトレンドのオーガニック、
そしてスローフードの市場動向も、
コンパクトにまとめて語った。
地球イータリー化現象は、
「フィンイーペル」という、
新しいスターを生んだ。
最後のまとめは、
小さなヤカンと大きなヤカンのたとえ話。
ドイツとイタリアは対比的で、
それが私たちに深い考察を要求する。
私自身、大いに考えた。
ご清聴を感謝したい。
堺の港に陽が沈む。
その後、商品別分科会が行われ、
6時半からは着席スタイルの懇親会。
乾杯のあいさつは、
ドライデイリー会副会長の寺町豊さん。
㈱日本アクセス執行役員西日本営業部門長代行近畿エリア統括。
懇親に次ぐ懇親。
おいしいビールとワイン。
隣の加藤徹会長との会話。
あっという間に2時間が過ぎた。
最後は、恒例、
大阪締め。
万代トップも登壇。
右から阿部社長、木村さん、
黒田久徳取締役、加藤会長。
私も飛入り参加。
ドイツの合理性とイタリアの創造性。
どちらも欲しいところだが、
果たして日本は、
単なる折衷型でいいのだろうか。
少なくとも、小さなヤカンで、
ドイツ・イタリアを真似てはいけない。
大きなヤカンは、
水を満たすのも熱するのも、
時間がかかる。
しかし、熱くなったら、
なかなか冷めない。
大きなヤカンで学び続けたい。
〈結城義晴〉