結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2017年10月03日(火曜日)

「リスクを負わねば計画ではない」と「vs.アマゾン」の黒船

3月の商人舎標語。
そして月刊商人舎10月号の、
[Message of October]
リスクを負って計画せよ!

ピーター・ドラッカー先生から、
インスパイヤ―されて書いた。

週次の計画も、
年次予算も、
中長期計画も。

リスクを冒して計画する。
どんな計画も、
リスクを回避する手立てではない。

そこに感動した。

日経電子版の「経営者ブログ」
鈴木幸一さん。IIJ会長。
日本のインターネットの草分け。
タイトルは、
「さまよえる幽霊船」

「船が沈みかけると
ねずみが逃げるというけれど、
沈没寸前の船というより、
幽霊船のようだね」

民進党のこと。
あるいは希望の党か。

「選挙になると、
劣勢を伝えられる政党が突然瓦解して、
人気がでそうな政党ができると、
党を逃げ出してそこに集まる」

鈴木さんの米国の友人の言葉。
日本の大学の教員を10年務める。

「ほんとうに日本は平和ボケなのか、
政治については、
いい加減で済ませばいいと思っているのか
メディアも政党政治そのものの危機だとか
そんなことには触れずに
済ませている気がする」

お恥ずかしい。

家族の成り立ち、
地域コミュニティの在り方、
会社の組織、
顧客の階層構成。

あらゆる集団が変容している。
政党だけが変わらないはずはない。

「近接する北朝鮮の問題も
他人事で済ましているのだから、
すごい国だと改めて思うな」

そんなアメリカでも、
ラスベガスで乱射事件が起こった。

「世界的に騒がれている
ポピュリズム以前の国だな。
党名も『希望』だとか『こころ』だとか、
なんだか恥ずかしくならないのかなあ」

恥ずかしいのは、
あなたの国の大統領。

しかし、どっちもどっちか。

だから、
選挙に行こう!
投票しよう!!

期日前投票の制度は、
ずいぶん進化した。

投票日に仕事する商人にとって、
投票行動はやりやすくなった。

理想を求めつつも、
「わずかでもましな方」を、
選ぼうよ。

ずっと言い続けている。

さて日経ヴェリタストーク。
日経電子版に掲載。
「vs.アマゾン」

ジェフ・ベゾス率いるアマゾンは、
全売り上げの25%を、
ドイツ、日本、英国の3国で稼ぐ。

生鮮食品や総菜は、
スーパーマーケット優位が、
揺らがないはずだった。

しかしこの分野でも、
アマゾンの存在感が増している。

アマゾンの株価は、
創業から23年で一時1000ドル。
初値の36倍となった。

時価総額は4600億ドル。
世界最大企業ウォルマートのほぼ2倍。
20170910_bezos

米英では電子商取引ECの3割を占める。

日本の小売業が、
流通外資の攻勢を受けるようになったのは
1990年代。

大規模小売店舗法が廃止され、
仏のカルフールや英国のテスコが進出。
しかし、生鮮食品の旬や鮮度に、
世界一厳しい日本の消費者から拒否され、
苦戦に次ぐ苦戦、ほどなく撤退。

どちらの店も今はイオンの傘下に入った。

しかし、この記事が指摘するのは、
「アマゾンとの戦いは次元が異なる」

第1は、「便利性」。
消費者はスマホがあれば店に行かずとも、
深夜や通勤中といった隙間の時間で、
買物ができる。

第2は、「アマゾンのアルゴリズム」。
世界中の利用者の購買データを分析し、
一人ひとりに最適な商品を薦めてくる。

日本貿易振興機構の2016年の調査。
アマゾンは日本のECシェアの20.2%。
楽天の20.1%を逆転した。

現在15兆円強の日本のECの規模は、
「22年度には、
26兆円に拡大する」

つまり5年で11兆円の増加。

リアルとネットが融合し、
新たに生まれる10兆円市場の争奪戦は、
「アマゾンに席巻されるだけだ」

イオンやセブン&アイも、
売上げに占めるEC比率が3%に満たない。
それで、両者はアマゾンに対抗する、
オムニチャネル戦略を推進する。

柳井正さん。
ファーストリテイリング会長兼社長。

ECをこう呼ぶ。
「世界最大の倉庫を持つビジネス」

衣料品の分野でも、
スマホなどを通じて、
好みの服を発注すればすぐ届く。

そんな仕組みを模索しながら、
ネットとリアルの店舗が、
「相互に補完するのが一番良い」と、
柳井さん。

日本のEC比率は、
ようやく5%を超えたところ。

アマゾンは北米で稼いだカネを
人工知能(AI)やデータセンター、
日本など海外への投資につぎ込んでくる。

つまり、アマゾンの計画は、
リスクを背負い続けている。

大きなリスクを負って、
それ以上の成果を上げる。

ウォルマートは米国で、
アマゾン以上のリスクを取って、
投資をしつつ、それに対抗する。

イオンやセブン&アイも、
それ以外の小売業も、
リスクを負う以外に、
アマゾンに対抗することはできない。

ただしこの記事が言う生鮮食品や惣菜は、
まだまだアマゾンとても時間がかかる。

私はそう確信している。

しかし、カルフールもテスコも、
日本ではさまよえる幽霊船だったが、
アマゾンこそ流通の黒船だ。

さて今日は、1日中、
横浜商人舎オフィスで、
月刊商人舎10月号の最後の入稿。

ひと段落つけて、
JRの成田エクスプレス。

1時間半で、成田空港。  IMG_2818.JPG7

その南ウィング。
IMG_2815.JPG7
明日からアメリカへ。

今夜はその前泊。

明日から3週間。
アメリカに身を置いて、
この問題に関しても、
じっくり考えてみようと思う。

この面では日本よりも進んだ、
米国に居続けることは、
私に何かを教えてくれるに違いない。

〈結城義晴〉


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