New Yorkのウェグマンズ・アルディ・TJとホールフーズの変化
いざなぎ景気を超えた。
2012年12月に始まって、
今年2017年9月までの58カ月間、
日本の景気上昇局面が続いた。
いざなぎ景気は1965年11月から、
70年7月までの57カ月間だった。
それを抜いた。
そして戦後2番目の長期景気上昇となった。
そんな実感はまったくないけれど。
アメリカの景気上昇は、
2009年7月から8年を過ぎるし、
ドイツも9年近く連続して、
戦後最長を更新中。
イギリスは7年超、
フランスは約5年。
だから日本の景気が、
特別いいわけではない。
1 人あたりの名目賃金は、
この58カ月にたった1.6%増。
2014年の消費増税後に、
個人消費は落ち込んだ。
物価変動の影響を差し引いて、
実質賃金は、これも3%増に過ぎない。
そのうえ、2019年10月の消費増税。
10%に引き上げの予定で、
これは「19年問題」といわれる。
したがって、2020年、
東京オリンピック需要が一巡すると、
その先は読めない。
この読めない感覚が、
また消費を下押ししている。
何か、抜本的な改革はないか。
しかし、そんなものはあるはずがない。
むしろ考え方の問題だと思う。
今月の月刊商人舎に、
そのヒントがある。
さてアメリカでは、
ウォルマートが、
ホリデーシーズンに向けて、
どんな体制を組むかを発表した。
サンクスギビングデーの11月23日は、
祝日となるが、当日午後6時から、
店舗で「ドア・バスター」セールを始める。
「door-buster」は文字通り、
ドアを破壊するほどの勢いで、
顧客が押し寄せること。
1930年にマイケル・カレンが、
スーパーマーケットを発明した時、
「door-buster」のニュアンスを使った。
高額商品を期間限定で、
大幅値引きで売ること。
ウォルマートは、
ブラックフライデーの前日の夕方から、
ドア・バスターセールを展開する。
オンライン・セールは、
11月23日の12:01amから始まる。
ターゲットも感謝祭の日に、
午後6時開店、深夜12時まで営業。
翌ブラック・フライデーには、
早朝6時から開店。
さらにこの黒字の金曜日セール商品は、
感謝祭の朝から、
ターゲット・コムで注文可能。
しかも無料配達。
そのうえに、
この日に50ドル以上買い物をすると、
20%引きのクーポンが進呈される。
このクーポンは後日、使うことができる。
さてニューヨーク2日目は、
朝から二ュージャージーへ。
ウェグマンズ。
入口を入ると、
大きな門のようになっていて、
売場が見える。
パッと視界が開けると、
市場のような青果部門。
この市場感がウェグマンズの特徴。
青果の強いスーパーマーケットの代表。
精肉ももちろん強力。
ハンバーガーパテのファミリーパック。
鮮魚の対面売場。
ただし、このムール貝の、
「オーガニック」表示はいただけない。
セルフデリは午前11時を目指して、
商品化作業に邁進中。
グロサリーは、
コンシスタントロープライス。
つまりエブリデーロープライス。
コカ・コーラ2リットルが99セント。
これを1年間続ける。
乳製品売場の卵と牛乳。
卵は3ダースが3.79ドル。
牛乳は1ガロン(3.8リットル)2.21ドル。
このエリアの競合店との価格比較。
ショップライトとストップ&ショップ。
冷凍食品売場の、
緑色一色のカラーコントロール。
店舗の右翼には、
リカーショップが壁を隔てて、
展開されている。
そのリカーショップは、
圧倒的な一番店。
この店から新設されたコーナー。
「ザ・バーガー・バー」
お薦めは10ドルの、
ブラック&ブルー・バーガー。
(株)万代取締役の黒田久徳さんが購入。
そして試食。
黒田さんはコーネル・ジャパン3期生。
私は1班の面々と、
ウェグマンズの中華デリをいただいた。
万代取締役の芝純さんとビール軍団。
キリンビール、アサヒビール、
サントリービール、サッポロビール。
4大ビールメーカーから参加。
ウェグマンズは、
コモディティディスカウントと、
ノンコモディティの圧倒的品揃えで、
1店平均90億円を売る。
両極のマーチャンダイジングが、
ウェグマンズの地域一番店のカギを握る。
そしてアルディ。
ドイツから進出して、もう30年。
1900店のスケールになった。
その牛乳売場。
1ガロン3.59ドル。
オーガニック青果の大展開。
生鮮食品が急速に良くなっている。
そして急遽、コカ・コーラの値下げ。
2リットルを1ドル59セントから、
99セントに値引き。
ウェグマンズに合わせた。
それだけウェグマンズの、
コンシスタントロープライスが、
すごいということ。
レジはスピーディ。
それがアルディのサービス。
アルディの兄弟会社。
それがトレーダー・ジョー。
元銀行の建物に入居したすごい店。
鶏肉のこの陳列量。
瞬く間に売れていく。
豆腐もこの在庫量。
天井は高い。
窓から光が入る。
今日、気がついた。
この店は大聖堂のようだ、と。
だからアメリカ人は、
この店にやって来て、
心安らかになる。
そして買物する。
だから繰り返し繰り返しやって来る。
レジは2列に並んで待つ。
そして最後に3列に並んで、
順番のレジに行く。
ストレスがまったくない。
素晴らしい。
今日の最後はホールフーズ。
こちらもブルックリン。
青果部門のバナナ売場は、
吊り下げ陳列。
鮮魚の対面売場、
最近、鮮度が格段に良くなった。
対面の精肉売場。
Amazonと組んだディスカウント。
こちらも+Amazonの卵売場。
ただしそれを控えめに表示する。
その方がホールフーズの固定客には、
好感がもたれる。
素早い変更だ。
チーズ売場も相変わらず、良い。
ラーメンのポップアップセール。
しかし、アイスクリーム売場に、
霜が降りていた。
人員を削減した影響が出た。
ホールフーズを立て直すには、
目玉商品のディスカウントは必要ない。
現場の人員を回復させることだ。
私はそれを確信した。
屋上の無農薬菜園。
そしてソーラーシステム。
ホールフーズの環境店舗は、
相変わらず素晴らしい。
そこにホールフーズのチームメンバーが、
復活してくれば、それこそ鬼に金棒だ。
1日の視察が終わって、
ブルックリン橋の下で、
全員写真。
自由の女神も夕焼けに映える。
マンハッタン南岸も美しい。
最後に私の提案でもう1店。
メイシーズ本店。
その目の前にオープンした、
ターゲット・フレキシブルストア。
1階はコンビニ。
そしてフレキシブルファッション。
さらに土産物売場。
そして集中レジ。
セルフレジが3分の2ある。
地下1階はコンパクトなフルライン売場。
生鮮は青果・精肉など一部の品揃え。
女性服売場には熟年用のマネキン。
ドラッグストアは、
CVSファーマシー。
なかなかに健闘。
ウォルマートが、
Manhattanに入ってくる前に、
ディスカウントストアとして、
シェアを高めておく作戦。
いかに。
すべてのスケジュールを終了させて、
夜はミュージカル。
キンキ―ブーツ。
Kinky Boots。
エミー賞はじめ各賞総舐めの、
ロングラン大ヒット作品。
入口の係員。
チケット。
1階のフロア。
舞台はイギリスの小さな町の靴工場。
この靴工場を立て直すために、
「オカマブーツ」に専門特化する。
ニッチャー作戦。
そのための葛藤、愛情、誤解、
様々な問題克服の物語。
天井も美しい。
楽しみました。
感動しました。
日本でも日本人によって上演された。
人気を博したらしいが、
主人公は黒人でなければいけない。
いや、今日舞台に立った、
ビリー・ポーターでなければいけない。
また必ず見たいと思った。
外に出ると騎馬警官。
充実した研修、
楽しい観劇。
ニューヨークの夜は更けていった。
(つづきます)
〈結城義晴〉