第86回商業界ゼミナール基調講演の「商業界精神の未来」
今日は千葉県海浜幕張。
東京ベイ幕張ホール。
第86回商業界ゼミナール初日。
私はこの(株)商業界に、
1977年から2007年まで、
30年間勤務し、最後は、
代表取締役社長だった。
その30年間、一度も欠かすことなく、
この商業界ゼミナールに参加した。
1977年の2月には、
まだ倉本長治初代主幹が存命で、
3000人もの受講生が、
箱根小涌園に参集した。
私が社長を務めた2005年には、
この本ゼミナールに、
本邦初のミュージカルを組み込んだ。
「パパの明日はわからない」
劇団ふるさときゃらばん。
今回は運営委員長が、
原田政照さん。
(株)MKホールディングス社長。
開講式の開講挨拶。
「知ったこととやったことは違う」
学んだら、実行する。
それが原田さんのモットー。
次に米澤房朝さんの挨拶。
商業界全国連合同友会会長。
倉本長治初代主幹、
倉本初夫二代目主幹。
壇上のお二人の遺影。
開校式に続いて、基調講演。
2007年2月以来、
11年ぶりの結城義晴。
「商業界精神の未来」
AI流通革命と「損得より善悪」
「店は客のためにある」
「損得より先に善悪を考えよう」
商業界精神を唱えつつ、
滅びていった企業や店がある。
なぜなのか。
それはイノベーションがなかったからだ。
だから商業界精神の神髄と、
イノベーションを語った。
そしてAI流通革命の進捗。
それを体現するウォルマート、
Amazon、そしてクローガー。
セブン-イレブンやヤオコー、ライフコーポレーション。
ビッグデータ、IoT、さらにロボット化。
それらがもたらすだろう、
マネジメントの変革。
その中で必須になってくる人間力経営。
理念武装、理論武装、技術武装。
AI流通革命とこの3つの武装の関係。
それが商業界精神の未来である。
最後は、月刊商人舎1月号のMessage。
人の強みを発揮させよ。
人間の、
人間による、
人間のための産業。
それが小売流通サービス業だ。
平成の年号が変わろうと、
東京オリンピックが開かれようと、
それが人間産業であることは、
永遠に変わるものではない。
AIが仕事を変えようと、
IoTが広がろうと、
ビッグデータが活用されようと、
ロボットが現場に導入されようと。
人間の、
人間による、
人間のための産業。
それは変わらない。
しかし、好況が続けば続くほど、
失業率が低下すればするほど、
その人間産業に人間が集まらない。
ハイテク産業やIT産業に取られてしまう。
だから主婦を戦力化する。
高齢者の雇用を延長する。
外国人研修生を雇い入れる。
派遣労働者を確保する。
もちろんそれには深い意義がある。
ダイバーシティ経営へのシフトは、
21世紀人間産業の必然の軌道であるし、
未来を切り開く可能性を意味している。
そしてこのとき、
一人ひとりの人の強みが発揮される、
風土と文化と仕組みが、
用意されねばならない。
人間の、
人間による、
人間のための産業の、
人間一人ひとりの強み。
Human Industry SHIFTこそ、
好況のときに人間が集まる、
真の人間産業の、
望ましい未来図である。
〈結城義晴〉
私の2018年段階における、
商業界イズムの総括が、
今回の講演の趣旨だった。
ご理解いただけただろうか。
伝わっただろうか。
倉本長治先生に感謝したい。
倉本初夫主幹にも感謝したい。
そして原田さん、米澤さん、
多くのリーダーのみなさん、
今回参加してくれた同友の皆さんにも、
感謝したい。
講演が終わると、
多くの方々と交流した。
真っ先に西端春枝先生。
そして(株)小松製菓の小松務さん。
(株)リンガーハットの米濱鉦二さん。
鹿島ショッピングセンター協同組合の山口健次郎さん。
(株)京屋の坂上益啓さん。
(株)浅川園の古舘邦彦さん。
酢屋亀本店の土屋芳子さん。
(株)大分からあげの川邉哲也さん。
そのあとは著書にサイン。
(株)カメガヤの亀ヶ谷博之さん。
氷雪の門の新道弘次さん、
ソフィ・タカヤナギの髙栁隆一さん、
小竹米店の小竹靖人さん、
そして細畠美鶴さんなどなど。
ありがとうございました。
私のあとは、
野本弘文さんの講演。
東京急行電鉄(株)社長。
テーマは「東急の百年構想」
第86回商業界ゼミナールは、
2泊3日で明後日まで続く。
私は会場を辞して、
やはり幕張海岸のイオンタワーAnnexへ。
イオンリテール(株)の人事部へ。
アメリカ研修の打ち合わせ。
吉田元さんと、
三好智さん、細川みゆきさん。
吉田さんはイオンリテール人材育成グループマネージャー。
三好さんと細川さんはイオンコンパス(株)。
今年の7月は超ハードワークの研修。
10月はスペシャルコース。
吉田さんの企画が、
どんどん発展して、
これまでにないものになる。
楽しみだ。
イオンタワーAnnexから見る幕張海岸。
夕日が沈んでゆく。
最後に、朝日新聞「折々のことば」
第1027回。
ディベートは、
話す前と後で考えが
変わったほうが負け。
ダイアローグは、
話す前と後で考えが
変わっていなければ
意味がない。
(劇作家・平田オリザ)
編著者・鷲田清一さん。
「対話は、共通の足場を
もたない者のあいだで試みられる。
呼びかけと応えの愉しい交換であり、
吐露と聴取の控えめな交換であり、
埋まらない溝を思い知らされたあとの
沈黙の交換でもある。
討論よりおそらくはるかに難しい」
渥美俊一先生をはじめ、
荒井伸也さんの時代は、
ディベートの時代だったと思う。
それが流通の近代化を実現させた。
しかし今は、
ダイアローグの時代だ。
呼びかけと応えの交換、
吐露と聴取の交換、
沈黙の交換。
そして話す前と後で、
考えが変わっていなければ、
意味がない。
そのダイアローグの時代に、
ITやAIがどう手助けしてくれるか。
未来を信じて生きていこう。
〈結城義晴〉