月刊商人舎3月号「和して同ぜず」と柳井正の「道具としての服」
月刊商人舎3月号、
本日発刊!!
[Cover Message]
「大体において日本人は、ものを考えるときに、基礎となるものを文章の形として考えるよりも、単語だけでものを考える」(田中美知太郎)。流通業にかかわる者も、この日本人の特性を色濃く有している。だから今号は、長いタイトルの特集をお贈りしよう。
「私たちは調理して食べてもらうものを販売する。そして売っているものを調理して食べてもらう」。ニューヨークのEATALYが、そのスローガンに掲げている文章をちょっとだけアレンジした。本当の意味での内食と外食の融合である。
人類の歴史の始まりにおいて、食とは内食だった。次に外食が登場して、内食と外食との間に競争が展開された。次にその間隙を縫って中食が生まれた。セブン-イレブンは中食市場の急成長とともに奇跡的な成果を上げた。さらに内食・外食・中食を統合するGrocerantが考え出された。しかし、究極のフュージョンの本質はこれである。
「We Sell What We Cook, and, We Cook What We Sell.」。そしてエブリイOkanaka津高がお目見えした。近未来の食マーケットを研究しつつ、Grocerantを超える世界を描き出そう。
[特集]
We Sell What We Cook, and,
We Cook What We Sell.
内食vs外食⇒+中食⇒Grocerantを超える世界
[Message of March]
和をもって貴しとなす。
特集のまえがき〈結城義晴〉
「食の高度化」と「EATALY化」の融合
中食市場伸長のなかの
「Meal Solution」と「Grocerant」の分析
[特別企画]
エブリイOkanaka津高の全貌
食の総合プロデュース企業が描いた未来図のすべて
Part1紆余曲折のSC開発
自流×時流=エブリイ固有のフォーマット
Part2超斬新「IKOCCA津高店」
商品の鮮度と人の鮮度にフォーカスする
Part3フードコート「Food Park」
内食・中食と融合しつつ尖がる!
[Special Dialogue]
毛利英昭×結城義晴
外食と中食と内食の今を見つめ将来を展望する
コンビニの「中食構造改革」
工場専門化・専用化競争と
「コンビニカフェ」需要創造
ファミマの「中食構造改革」
/管理温度帯別の専門工場
/セブン「量≠質」vsファミマ「量=質」?
/「セブンカフェ」
/自転車シェアリング
/「異業種コラボ」
トップジャーナリストが見透した!
2018外食産業の新潮流
第1潮流|ファストステーキ時代
〈いきなり!ステーキ・やっぱりあさくま〉
第2潮流|値上げとブランド転換
〈鳥貴族・ワタミ〉
第3潮流|実験の時代
〈ロイヤル・CoCo壱番屋・養老乃瀧〉
第4潮流|挑戦する若手経営者
〈一家ダイニングプロジェクト〉
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3月号は実にカッコいい雑誌になりました。
デザイナーの七海真理さんのおかげです。
読者のみなさんには、
手に取って楽しんでただきたいし、
持ち歩いていただきたいとも思います。
もちろん中身もご愛読、感謝します。
さて平昌パラリンピック、
始まりました。
その開会式も素晴らしかった。
オリンピックが絢爛華麗だとしたら、
パラリンピックはシンプルで荘厳。
私はこういう開会式も好きです。
聖火の点火では、
ホッケー南北合同チームの選手から、
最終点火者キム・ヨナへ。
パラリンピックにキム・ヨナが登場。
これはよかった。
二日目の今日、10日には、
日本にもう銀メダル2つ。
アルペンスキー滑降座位で、
女子の村岡桃佳選手と、
同男子の森井大輝選手。
滑降座位は英語で「the downhill sitting」
この言い方はかっこいい。
メダル争いが最後の目標ではないけれど、
障害を持つアスリートの活躍はうれしい。
18日までの10日間、
応援したい。
さてさて日経ビジネスオンライン。
昨日の「今日の名言」
顧客の要望に応え、
顧客を創造することが、
アパレル業界は
できていません。
〈柳井 正ファーストリテイリング会長兼社長〉
「残念ながら、ほとんど
作る側の思い込みでした。
反対にお客様は
『生活に必要な道具としての服』
という感覚になっている」
「だから業界とお客様の感覚が
根本的にずれ、
要望に沿った商品を
開発してきませんでした」
顧客の要望に応えることが、
「Customer Satisfaction」
顧客を創造することが、
「Customer Creation」
どちらも必要だし、
それが必要十分条件となる。
ピーター・ドラッカーの考え方。
柳井さんがドラッカリアンであることが、
この発言でよくわかる。
「作る側の思い込み」
これは故渥美俊一先生の主張と、
同期している。
「生活に必要な道具としての服」
これは柳井さんの鋭い切り口。
「服」と言えば道具になりうる。
しかし「アパレル・ファッション」と呼べば、
それは作り手が流行を生む世界となる。
しかし顧客の憧れを創造できなければ、
「作り手の思い込み」や「独善」となる。
「業界」が全体で「独善」に陥ると、
それは業界の衰退を意味する。
食の業界も独善に陥る危険性はある。
月刊商人舎3月号の巻頭Message。
「和をもって貴しとなす。」
この中に出てくる論語。
君子は和して同ぜず、
小人は同じて和せず。
「同じて和せず」が「業界」であって、
その業界は顧客と、
根本的なずれを起こしやすい。
〈結城義晴〉