結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2018年04月03日(火曜日)

「M&A最速ペース」と新しい緩やかな「アライアンス」の時代

商人舎流通SuperNews。
おかげさまでアクセス続伸。
ありがとうございます。

今日の海外news。
クローガーnews|
インスタカート宅配売価がホールフーズより高い!?
kroger_02

宅配ビジネス大隆盛。
クローガーはインスタカートで、
ホールフーズはアマゾン・プライム・ナウで。
DSCN9205.JPG8

その結果、現時点のシンシナティ市では、
ホールフーズのほうが安くなった。

前代未聞。

このニュースの見方、考え方は、
商人舎流通SuperNewsに書いてある。

日経新聞のフィナンシャルタイムズ特約。
日経が2015年11月に同社を傘下に収め、
ありがたいことに身近になって、
なおかつ読みやすくなった。
3月29日付の記事。

「世界のM&A、最速ペース」

世界の合併・買収は2018年、
史上最速のペースでスタートを切った。

トムソン・ロイターの調査。
18年1~3月のM&A総額は、
なんと1兆2000億ドルを超えた。
1ドル100円換算で120兆円。
前年同期の1.6倍強。

「ライバル企業との合併で、
破壊的な新規参入者に
対抗しようとする動きが
世界的に広がる」

その背景要因は2つ。
⑴資金の借り入れが容易な状況にあること
⑵株高

「この2つが重なると
大きなM&Aが魅力的になる」

さらに1つ。
⑶米国の税制改革

「税制改正の内容がはっきりするまで
見合わせていた案件が、
いまフルスピードで前進している」

一方、トランプ政権の保護主義政策が、
合併の波に立ちはだかるという見方も。

しかしそれよりも、
破壊的な新規参入者の脅威に、
対処しなければならないので、
活発な動きは続く。

「アマゾン・コムの支配の拡大が、
小売りから医療保険まで
様々な企業を型破りなM&Aに
突き動かしている」
20170910_bezos

例えば「ドラッグストアのCVSヘルスが、
医療保険会社エトナを690億ドルで買収」
20170910_drag_cvs
これも流通SuperNewsで取り上げた。
CVSヘルスnews|
米国医療保険会社3番手のエトナを690億ドルで買収

フィナンシャルタイムズは言う。
「世界の中でアジアだけM&Aが低調だ。
中国企業が手を引いたことが
一因となっている」

M&Aが低調なほうがいいのか、
いや活発なほうがいいのか。

感情を抜きに考えると、
M&Aの大きな潮流を、
押しとどめることはできない。

かといって、例えば3社あるいは2社に、
産業が収斂してしまうわけでもない。

個性的なマーケットニッチャーは、
必ず残ることができる。
マーケットフォロワーがM&Aされる。

ホールフーズほどに、
ポジショニングが確立した企業まで、
アマゾンの傘下に入る時代なのである。

一方で、こんな動きもある。
今日の日経新聞。

「ビール4社 九州でも共同輸送」

日本のビールメーカーは寡占状態だ。
その4社が今春、九州で、
ビール系飲料などの共同輸送を始める。

昨2017年9月、すでに4社は北海道で、
鉄道を使った共同輸送を開始した。

トラック運転手の人手不足が深刻化。
だから協業の地域を拡大して、
一段のコスト削減を目指す。

今回もJR貨物の鉄道を使って、
ビール系や清涼飲料などを共同輸送。

「アサヒとキリンが福岡県、
サントリービールが熊本県、
サッポロビールが大分県に工場を持つ」

「各工場から貨物駅まで商品を運び、
長距離を鉄道で輸送することで
トラックの全体の運行本数を減らす」

北海道ではすでに効果が出ている。
「長距離トラックの運行本数を
年間880台減らす効果がある」

九州での連携は効果が小規模になるが、
人手不足に伴う物流コストの増加と、
環境負荷の軽減にもつながる。

経済メリットの上に大義名分が乗れば、
4社の協業は成り立つ。

ただし、少なくとも、
4社、いや3社の中に、
入らねばこれにも参画はできない。

M&A以上に、
アライアンスの時代。

英語で「alliance」は、
日本語では「同盟」。
「企業同士の提携」といった意味だが、
ビールメーカー4社のアライアンスは、
緩やかな協業といった意味で、
今後、どんどん起こってくる。

そんな中で中小企業は、
独自のニッチャーとしての顧客と技術と、
社会的信頼を獲得したうえで、
緩やかなアライアンスの中に入っていく。
その必要がある。

だから新しいボランタリーチェーンは、
これからの時代を担う仕組みだと思う。

昨日のインタビューで、
千野和利さんも強調した。
DSCN2532-1
阪急オアシスを中核として、
ハローデイ、エブリイ、
そしてサンシャインチェーンは、
そんなアライアンスの関係を築いている。

そこにイズミヤが入り、
資本の面では関西スーパーも、
H2Oリテイリングが筆頭株主となった。

香港のシティスーパー、
台湾の全聯福利中心。

それ以外にも、
ユニー、フジ、東急ストアも、
緩やかなアライアンスの輪の中にある。

これは千野さんが主導してきた、
新しい同盟の世界だ。

アメリカのスーパーマーケットでも、
ウェグマンズとHEB、マイヤーが、
アライアンスを組んでいる。

インフラは共有し、
店頭は競争する。

これはかつての企業統合や、
企業グループ化とは、
異なる動きである。

しかしこの同盟に加盟する資格は、
それぞれに独自の強烈な個性である。

〈結城義晴〉


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.