日曜版【猫の目博物誌 その66】ヤグルマソウよりトンカツ
猫の目で見る博物誌――。
今日は食べるものと、
食べられないもののこと。
新横浜から東海道新幹線のぞみ。
小田原を過ぎて、三島、新富士。
このあたりに富士山がある。
ヤグルマソウ。
ユキノシタ科ヤグルマソウ属の多年草。
分布は、日本の北海道西南部から本州、
さらに朝鮮半島まで。
6月から7月に花を開かせる。
先端に円錐状の花序をつける。
花弁はない。
花をつける茎は高さ1mに達して、
白や青、桃色の花を群生させる。
1つの花は直径6~8mm。
5~7枚の萼(がく)がある。
雄しべは8本から15本。
矢車草の名前の由来は、
端午の節句の鯉のぼりの、
竿の先にそえる「矢車」に似ているから。
初夏のヤグルマソウ。
すがすがしい。
空の色映し矢車草ひらく
〈小神野藤花〉
しかし今日は、花より団子。
鹿児島産南洲黒豚のヒレかつ。
肉が厚くて、ジューシー。
さらにロースかつ。
コロモはカリっと仕上がる。
もちろん豚汁。
キャベツとご飯はお替り自由。
初夏のヤグルマソウもいいけれど、
初夏には無性にトンカツを食べたくなる。
花より団子は、
「風流より実利」の意味。
ヤグルマソウよりトンカツは、
見るより、食う。
英語では、
“Pudding before praise.”
「褒める前にプリン」。
日本では団子、
英米はプリン。
日本は「花鳥風月」。
英米は「称賛・賛美」。
季節によって、
変わるところがおもしろい。
初夏はなぜか、
トンカツやpuddingです。
(『猫の目博物誌』〈未刊〉より by yuuki)