「amazon go」を再び訪れて中内功さんの先見性を思う
故中内功さん。
ダイエー創業者で、
間違いなく日本流通業の革新者。
「私にとって、
キャッシュレジスターの響きは、
この世で最高の音楽である」
amazon goには、
このレジスターの音がない。
「あの世から中内さんを呼び戻して、
感想を聞きたい」
朝のセミナーで私はそう言った。
今回は3泊5日の短期研修。
万代の取引先の勉強会。
中内さんの言葉を引用して、
まずはamazon goの意味を、
私なりに語った。
最新の店舗、最新のシステム、
最新の考え方。
聴く側も真剣だ。
もちろんキャッシュレス化と、
レジレス化の考え方も、
きれいに整理して語った。
もちろんアメリカ流通業を、
鳥の目、魚の目で語る。
多分、私にしかできない講義だ。
そしてシアトル3日目の夕方。
再びamazon goを訪れた。
こんな歴史的な店を、
一度見ただけで、
日本に帰るのはもったいない。
もしそんなツアーがあったなら、
物見遊山に違いない。
何度も訪れる。
そして新しい発見がある。
ウィークエンドにもオープンしている。
アプリを起動して入店する。
No Lines. No Checkout.
店舗の前に、
ガラス越しに調理場が見える。
ここでサンドイッチや調理品など、
フレッシュな商品をつくっている。
スマホをかざして入場。
入り口ゲートの前の長四角。
その向こうに奥の長四角の売場が続く。
ベジーバーガーなどの商品は品切れ。
これです。
テスコやウェグマンズが開発している。
別に珍しい商品ではない。
ビスケットも買った。
リーチインケースは商品が満載。
店員が盛んに議論している。
今回はアマゾンのバッグを使わず、
ポケットに入れることにしていた。
「万引き気分」を味わうため。
それでも、きちんと、
清算されていた。
万引きはできない。
かつてローソンが5000店に達したとき、
5000店目の横浜の岡沢町店の記念イベントに、
中内さんがやってきた。
当時はダイエーが親会社だった。
そのダイエーの社長が中内さんだった。
そしてコンビニエンスストアの特長を、
一言で語った。
「商品を手に取って、
5歩か10歩でレジに行ける。
これがコンビニの優越性だ」
私はさすがだと感心した。
しかしこのamazon goは、
ゲートから入って、
5歩でサンドイッチの売場に着く。
そして5歩でゲートを出て、
その購入が完了する。
私は歩測した。
コンビニのようにレジで、
清算をする必要はない。
中内さんが見抜いた、
究極のファステストストア。
Fastest Store。
それがamazon goなのだ。
Fastest Storeは、
ファストフードよりも、
ファストだ。
もちろんコンビニエンスストアよりも、
はるかにファストだ。
それがamazon goなのだ。
(つづきます)
〈結城義晴〉