誰も書かなかったシアトル地区の「ニッチャーの条件」
米国ワシントン州のシアトル。
面積は5950平方マイル、
人口 376万9718人で149万2151世帯。
平均世帯所得は9万8690ドル、
1人当たり所得は 3万9346ドル。
内食支出の割合は4.75%。
アメリカの中でも、
小売業の競争が進化したマーケット。
だからコトラー先生が分析した構図が、
見事に現れている。
マーケットリーダーは、
フレッドマイヤーとQFCのクローガー。
マーケットチァレンジャーは、
このシアトルに本社を置くコストコ。
セーフウェイとアルバートソンは、
マーケットシェアではコストコを上回る。
しかし完全なるマーケットフォロワー。
そして様々なマーケットニッチャー。
それがインディペンデント企業だ。
ファミリービジネスの非上場企業。
まずセントラルマーケット。
日系人が創業した4店舗の企業。
企業規模は小さいけれど、
店は大きいのが特徴。
素晴らしい青果部門。
インディペンデントだろうが、
マーケットニッチャーだろうが、
スーパーマーケットは青果が第一。
鮮魚売場は氷が敷き詰められている。
それが鮮度感を増幅させる。
氷はトロッコで運んで積み込む。
バルクシーフードもコーナーも
面白い。
ミートマーケットはショップ形式。
ワインショップもユニ―クな品揃えだ。
デリ・ベーカリーは広大な売場だ。
サンドイッチとサイドディッシュ。
グロサリーのエンド。
ただし、そう安くはできない。
だから上手にハイ&ロー展開。
インディペンデントの特徴⑴
企業規模は小さくとも、
店舗は大きい。
PCCコミュニティ・マーケットは、
共同購入からスタートした生協だ。
12店舗のローカルチェーンだが、
インディペンデントと言っていい。
シンプルな青果部門。
顧客は会費を払って会員になる。
だから店に対するロイヤルティは高い。
もちろん環境、健康などのコンセプトは、
最優先される。
店舗はPCCも1000坪ほどで、
狭くはない。
レイアウトは迷路型で、凝っている。
美しい売場。
PCCだけの売場だ。
HBCも充実させている。
プラスチック製のレジ袋を廃止している。
インディペンデントの特徴⑵
会員制の生協で顧客を囲い込む。
三番目は、
メトロポリタンマーケット。
7店舗の都市型スーパーマーケット。
だからネーミングがメトロポリタン。
都市型だから24時間営業。
そして店舗入り口に惣菜売場が、
広くとられている。
しかもおいしいし、
この店の味になっている。
青果部門はファンタスティック。
しかし店舗の奥にレイアウトされている。
青果からミートなどに続くが、
これら内食需要は買い回り型レイアウト。
レジ付近にはデリとファストフード。
インディペンデントの特徴⑶
都市型スーパーマーケットに徹する。
そしてニューシーズンズマーケット。
2018年現在、オレゴン州17店、
ワシントン州3店、
カリフォルニア州1店。
この地ではよそ者。
しかし青果部門は見事。
品揃えは普通だが、
クレンリネスやカラーコントロールは、
見事に磨かれている。
そしてニューシーズンズの特徴は、
「ローカル」(地産地消)である。
もちろんサステナビリティや、
オーガニックなどのコンセプトを強調する。
しかしその根底にあるのがローカルだ。
パルメジャーノレッジャーノ。
チーズの王様。
上手なプレゼンテーションだ。
もちろんミートは一級の売場だ。
そしてセルフデリとサービスデリ。
グロサラントというほどではないが、
イートインコーナーを設けて、
サービスに徹している。
ニューシーズンズマーケットは、
税引き後利益の10%を地元のNPO団体に、
ドネーションしている。
ターゲットが5%だが、
こちらは10%。
もちろんターゲットは7兆円の規模だし、
上場企業だから10%も寄付しては、
株主から文句が出る。
それでも5%のドネーションを、
ターゲットの株主たちは誇りにしている。
この会社のセールが特徴的だ。
Military Tuesdayは毎週火曜日に、
軍関係や退役軍人を対象に10%引きする。
Senior Wednesdayは毎週水曜日。
65歳以上の人を対象に10%引き。
これはとてもいい。
インディペンデントの特徴⑷
地元主義とローカルに徹する。
インディペンデントは、
マーケットニッチャーだ。
その生き残り方は、
それぞれに独特である。
これらの良さを全部、
取り入れようとすると、
必ず論理矛盾してくる。
それをシアトルの非上場企業たちが、
くっきりと教えてくれる。
シアトルの競争を理解したら、
ちょっとだけ観光。
スパースニードル。
1962年の万国博覧会の時に建造。
高さ184メートル、
幅は最も広いところで42メートル。
登ります。
そして下ります。
万代ドライデイリー会の前田仁事務局長。
私も加藤徹さんとポーズ。
万代油脂工業(株)社長で、
(株)万代前会長。
私は腰が引けています。
加藤さんもよく付き合ってくれます。
ありがとうございます。
それからパイクプレースマーケットへ。
大型の魚を投げるパフォーマンスが、
この魚屋の特徴。
もちろん鮮度もいいし、
品揃えも豊富だ。
レストラン街には巨大なイカの模型。
このドーナツ屋、
いつも行列。
豚の銅像。
お金を呼んでくる。
花屋もすごい品揃え。
客数が多い観光地では、
思い切った品揃えができる。
こちらの魚屋も氷を使って鮮度を強調。
八百屋もスーパーマーケットを超えている。
パイクプレースマーケットの外装。
観覧車が見える。
ずっと向こうにセーフコフィールド。
シアトルマリナースの本拠地。
加藤さんとスナップ。
パイクプレースに雨が降る。
そしてスターバックスの発祥の店。
昔はすぐに入ることができたのに、
今は行列ができていて、
待たねばならない。
2日目のディナーは、
チャイナハーバー。
乾杯。
最後のディナーは、
ステーキハウス。
万代の中筋浩二取締役が挨拶。
ドライデイリー担当。
最後の最後の締めは、
ケイ低温フーズ㈱社長の岡﨑忠勝さん。
お疲れさまでした。
amazon goが話題をさらうシアトル。
しかしポジショニング競争の構図は、
見事なくらいくっきりしている。
その中にamazon goが登場したのだ。
「amazon goへGo!」の巻。
これにて終了。
ご愛読感謝。
〈結城義晴〉