商人舎ミドルマネジメント研修会の「文明人であることの拒否」
大阪北部地震への支援が始まった。
商人舎流通SuperNews。
イオンnews|
大阪北部地震の被災地に支援物資配送
カインズnews|
大阪北部地震に緊急支援物資ブルーシート1000枚供出
どんどん支援しよう。
ありがたいことだ。
日経新聞巻頭コラム「春秋」
「文明が進むほど
天災による損害の程度も
累進する傾向がある……」
地球物理学者の寺田寅彦の一節を引用。
1934年の随想「天災と国防」
今回、死者が出たのは、
倒れたブロック塀、本棚の下敷き。
通勤電車や新幹線も長い時間、
運転を見合わせた。
水道やガス、電気などにも影響が及んだ。
寺田寅彦の忠告。
「いやが上にも
災害を大きくするように
努力しているものは
たれあろう文明人そのもの……」
皮肉な指摘だ。
天声人語も嘆く。
「さらに難題なのは、
天災の被害を忘れ去りがちなのも
人間ということだ」
そして再び寺田寅彦の「津浪と人間」
「地震や津浪(つなみ)は
新思想の流行などには委細かまわず、
頑固に、保守的に執念深く
やって来るのである」
「列島に宿命づけられた災害と向き合い、
恐れず油断せず、減災に知恵を集めて、
実践へと移したいものだ」
小売流通業やチェーンストアは、
頑固に保守的に執念深く、
ライフラインの役目を果たしたい。
さて今日の19日から21日まで、
商人舎ミドルマネジメント研修会。
朝、新横浜から新幹線。
丹沢がことのほか美しい。
小田原で富士の頂が、
ちょっとだけ見えた。
そして新装なった熱海駅。
シンボルの小型機関車。
駅前の仲見世通り商店街。
今日も元気にGo! Go!ポーズ。
そびえ立つ土肥実平夫妻の銅像。
平安末期から鎌倉初期にかけての武将。
相模土肥氏の祖で、
小早川氏の祖とされる。
13時から研修会がスタート。
毎回のことだが
初めの2講座は結城義晴。
第1講座では、
商業の現代化と基幹産業化のミッション。
倉本長治の「商売十訓」と、
ドラッカーが最重視した3つのコンセプト。
さらに小売業のイノベーションの歴史。
福岡伸一さんの言葉。
「科学を学ぶ代わりに、
科学史を勉強すればいい」
大賛成。
小売業の革新史こそが、
イノベーションの本質を教えてくれる。
今回は大阪北部地震の影響で、
直前に参加できなくなった人も出た。
近畿圏からの参加者も多く、
大変な状況を乗り越えて参集してくれた。
感謝したい。
第2講義の冒頭に、
amazon goのブログを掲示して、
その店づくりやシステムの先進性を紹介。
それから顧客満足と従業員満足、
「働きがいのある企業ランキング」、
さらに知識商人の在り方。
あっという間に2時間が終わってしまった。
鈴木哲男講師が合流してくれた。
52週MDの誤解を正しつつ、
マーチャンダイジングの本質と、
プロモーションのあり方を、
鈴木節で講義。
実践的ですぐに役立つ豊富な資料と、
論理的に整理された解説は秀逸だ。
大事なことは、
わかりやすい言葉で、
3回続けて語る。
そして理解を深める。
それが鈴木流の講義だ。
3時間半に及ぶ講義には、
いつも感謝している。
今日の最終講座が終わったのが8時。
明日の講師の白部和孝先生が合流して、
3人で写真。
この宿の夕食は素晴らしい。
温泉も素晴らしい。
しかし研修生たちは、
明日の朝の「理解度テスト」のために、
今日の講義の復習に余念がない。
大阪北部地震もものともせず、
FIFAワールドカップ日本代表の、
コロンビア戦も何のその。
勉強に勤しむ。
それにしても寺田寅彦。
災害を大きくするように
努力しているものは
たれあろう文明人そのもの。
ならばわれわれ商業は、
文明人であることを拒否しよう。
ミドルマネジメント研修が、
本当に志向するのは、
志高き知識商人である。
〈結城義晴〉