宮谷小学校同窓会と「雨の日に物を考える」
「梅雨」は三分される。
第1は、梅雨入り後の序盤、
第2は、梅雨の中盤、
第3は、梅雨明けの前の終盤。
関東ならば6月8日ごろから、
7月20日ごろまで。
だから今は梅雨の中盤。
第1の序盤はしとしととした長雨。
第2の中盤は「梅雨の中休み」でもあって、
ときには晴れ間が出る。
第3の終盤には集中豪雨や雷雨が発生する。
しかし中盤の今日は、
朝からずっと雨模様。
銀杏の緑が深い。
花壇の花も雨に濡れて、
生き生きとしている。
朝日新聞「折々のことば」
鷲田清一さん編著。
今日は第1147回。
雨の日は、
しんみり物を考えるには
もってこい。
人間には
そんな日が必要なのだ。
(アルムおんじ〈ハイジのおじいさん〉)
「1歳で父母を亡くし
叔母に育てられたハイジは、
故あって祖父に預けられる」
「村人に煙たがられる彼も、ハイジには、
摘んだ花が萎(しお)れる理由や
鷹(たか)の叫びの意味、
風との対話や夕焼けの美しさについて、
いつも易しく、深く語る」
「足りないものを補いあう
人と自然の交わりを
ハイジは彼の下で学んでゆく」
(「アルプスの少女ハイジ」から)
雨の日にしんみり物を考える。
人間にそれが必要だとすると、
梅雨はもってこいの考える時だから、
人間に梅雨は必要だ。
今日の雨の土曜日は、
横浜市立宮谷(みやがや)小学校同窓会。
その総会と懇親会。
110年の歴史を持つ小学校で、
横浜では名門の誉れが高い。
総会が終わると記念撮影。
110年の歴史を背景に、
集まった卒業生たち。
この中で最高齢は、
昭和16年卒業の金子五久雄さん。
私は得意のGo! Go! ポーズ。
も一度! 若い!!
そして同級生と同じテーブルで懇親。
右が藤代喜美子さん。
旧姓は仲谷喜美子さん、
54年前はマドンナだった。
左が若松寛さん。
中が4年先輩の舩橋光子さん。
私たちが子どものころも、
人と自然の交わりがあった。
それが足りないものを補い合っていた。
雨の日の同窓会。
物を考えながら、
そんなことも話し合った。
最後に全員で校歌斉唱。
卒業生の高木東六作曲、高田敏子作詞。
壇上には第24代校長の中川智子さん。
昭和15年にできた旧校歌も歌った。
物を思いだしながら、
考えながら、
歌った。
朝日新聞DIGITALの連載は、
「福岡伸一の動的平衡」
一昨日の掲載は、
「夜生まれ、朝消えるもの」
「昨夜、寝る前に思いついた
すばらしいアイデア。
一晩明けて、朝、
もう一度考えてみると、
それはつまらない、
取るに足らない思いつきに過ぎなかった。
そんなことがよくある」
あるある。
「まるでお祭りの夜店に
ならんでいたお面や駄菓子、
あるいは光るリングが
あれほど魅惑的に見えたのに、
次の日になるとその輝きは
すっかりくすんでいるのと似ている」
福岡さんは「光るリング」のメカニズムを、
科学者らしく解明する。
「プラスチックチューブの中にもう一層、
薄いガラス製のアンプルが封入されている。
アンプルの中に溶液A、
アンプルとプラスチックチューブの間に、
溶液Bが入っている。
チューブを曲げると、ガラスが割れ、
溶液A(励起剤)とB(色素剤)がまざり、
蛍光反応が起きるという仕掛けだ」
だから光るリングは時間とともに、
実際に化学反応が減衰してしまう。
「そういえば最近は記憶力自体が減衰し、
寝る前にすばらしいアイデアを
思いついたことまでは覚えているのに、
朝になるとそれがなんだったか
思い出せないことがある。情けない」
同感だ。
福岡さんが言うのだが、
政治家の座右の銘にあるそうだ。
「朝は希望に起き、
昼は勤勉に働き、
夜は感謝に眠る」
調べてみたら麻生太郎副総理だった。
私が使う言葉と同じだ。
「朝に希望・昼に努力・夕に感謝」
福岡さんは一言。
「健全すぎる」
う~む。
麻生太郎さんが使うのなら、
それもあるかも。
私は商人の日々の生き方として、
とてもいいと思っているのだが。
最後に福岡さんの好みの謎かけ。
「夜ごとに生まれ、朝死ぬものは?」
「その答えもまた希望である」
雨もまた、私たちに、
希望を与えてくれる。
〈結城義晴〉