Basicから超Hotまでのニューヨークのポジショニング競争
ニュージャージー州は、
ニューヨーク州の隣。
アメリカ合衆国50州の中で、
人口密度は一番高い。
北東にニューヨーク市、
南西にフィラデルフィア市。
アメリカ合衆国の歴史の中で、
最も重要な2つの都市に隣接する。
フィラデルフィアで、
独立宣言を起草したのが、
ジョージ・ワシントン。
そのニュージャージー州ニューアーク。
朝からセミナー。
まずイオン行動規範の唱和。
そして結城義晴の講義。
ここまで訪れた企業の総括をしつつ、
今日はポジショニング戦略論。
私の持論を展開しつつ、
イオンにとってそれが、
どんな意味を持つのかを講義する。
セミナーが終わると、
すぐに視察研修。
今日はニュージャージーから、
ブルックリン、マンハッタンを巡る。
まずウォルマートスーパーセンターへ。
入口にはもう、
Back to Schoolの派手なパネル。
Go Back BIG。
これも入口上部にパネル。
オンライン注文した商品を、
今日、すぐに、ピックアップできる。
そのために設けられたのがこれ。
2基の「ピックアップタワー」
ウォルマート・コムのオンライン商品を、
自動ピックアップするタワー。
今年中に500店に導入される。
詳細な紹介と分析は、
クローガーの「Scan, Bag, Go」とともに、
帰国してから。
月刊商人舎で切り込むか、
Webで解析するか。
タワーは辛口になる。
スーパーセンターそのものは、
極めていい出来栄え。
Back to Schoolへの入れ替えも急ピッチ。
主通路では盛大に商品展開。
アパレルも軽衣料を中心に充実している。
「Great Low Price」を謳っているが、
この地では1ガロン2.89ドル。
そのスーパーセンターの隣に、
サムズクラブ。
ウォルマートのメンバーシップホールセールクラブ。
広大な4000坪のラック売場に、
絞り込まれた大容量の商品が並ぶ。
一番奥が生鮮食品部門。
スイカ畑は、
これまで見てきた店の中で最大。
コストコと直接競合を避けつつ、
スーパーセンターと隣接して出店する。
総合スーパーとの棲み分けが可能だ。
車を飛ばして15分。
ホームセンター第2位のロウズ。
隣接するショッピングセンターに、
アルディが出ている。
しかしちょうどリモデリング中。
売場が少し前に出ている。
リモデルしながら営業する。
牛乳は2.89ドル。
ウォルマートが価格合わせしている。
しかし、テキサス州と比べると高い。
卵は1ダース98セント。
これは安い。
壁面に黒いビニールシートをかけて、
改装中。
天井も大改造。
しかし顧客が入っていて、
スピーディなレジは変わらない。
ニュージャージーから、
リンカーントンネルを抜けて、
マンハッタンへ。
ワンワールドトレードセンター。
あの9・11のグランドゼロの跡地は、
現在、メモリアルパーク。
そこに建てられた超高層ビル。
2014年11月3日開業で、
1776フィート(約541m)。
アメリカの独立の年が1776年だった。
旧貿易センタービルの跡には、
2つの慰霊プールがある。
その隣のオキュラス。
記念碑としての建物だが、
地下鉄の駅を含むショッピングセンター。
ここで厳粛な気持ちで全員写真。
ブルックフィールドプレース。
ワンワールドトレードセンターの隣の、
ショッピングセンター。
この1階に、
ル・ディストリクト。
フランス版イータリー。
2階はフードコート。
「ハドソン・イ―スト」。
ル・ディストリクトは、
フランス食品のスーパーマーケット。
同時にフランス料理を食べさせる、
レストランでもある。
外に面したレストラン。
燦燦と降り注ぐ陽光の下で、
ランチタイムは満席。
そしてウェストフィールドワールドトレードセンター。
3階にイータリー。
ニューヨーク2号店。
入口にワインバー。
右手はイタリアの青果市場。
レストランと売場が隣接する。
チーズショップ。
隣がミートショップ。
さらにシーフードショップ。
生パスタショップ。
店の外側には窓があって、
そこにはレストランが、
ぐるりと配置されている。
ピザショップには窯が必須の設備だ。
そこから焼き立てのピザを取り出して提供する。
レストランはランチタイムに限らず満席。
コーヒーショップも大人気。
そして最後にレジがある。
イータリー化現象を広げつつ、
イータリーそのものも繁盛している。
それから歩いて、
ウォールストリートへ。
ニューヨーク証券取引所。
向かいにフェデラルホール。
アメリカ合衆国最初の議事堂。
ワシントン像の前で全員写真。
そしてこの通りのトランプタワー。
2階にデュアンリードがある。
マンハッタンのローカルドラッグストア。
現在はウォルグリーンの傘下にある。
コンビニエンスストアの機能が、
アップ・マーケット。
調剤部門はウォルグリーン。
証券業界の人々にターゲティングした。
化粧品売場には最高級の商品が並ぶ。
隣にディーン&デルーカが出店する。
ニューヨークデリの有名ショップ。
バスを移動させてソーホー地区へ。
ミッドタウンの超ホットなエリア。
スタートは、
ディーン&デルーカ本店。
デリショップだが、
スーパーマーケットの商品構成。
細長い店の一番奥に寿司売場。
少し歩くと、
ユニクロ。
ニューヨーク第1号店。
この店もどんどん変わって、
今や超人気ショップ。
1階入り口のデモンストレーション。
ユニクロの斜め前に、
H&MとZARAが並ぶ。
5番街とともに大激戦区。
H&Mはすっきりしたデザイン。
しかしZARAに、
一日の長がある。
「SALE」の演出が秀逸だ。
バーゲンを大展開しているのに、
極めてセンスのある売場演出である。
これは大いに見習うべきだ。
こんな状態で飛ぶように売れる。
そして発見しました。
ブランディ・メルビル。
1993年、イタリアから始まったブランド。
レディース専門で、
カジュアルで、いいものが安い。
当然ながらすべてイタリア製。
細長い店の両サイドに、
ズラリと商品が陳列される。
右サイドも圧巻の商品陳列。
カジュアルでシンプルで、
温かみがあって、安い。
レジはいつも行列。
ワンサイズの商品ばかり。
ルルレモンも超ホットな店だ。
カナダのバンクーバー発。
ヨガウェアファッションブランド。
マンハッタンのソーホー地区は、
世界のファッションをリードする。
その端にキャナルストリートマーケット。
小さな無名のブティックを、
テナントとして入居させる。
フードホールが併設されている。
「食と衣の融合」――。
イータリー化現象と考えられなくもない。
そしてソーホーのもう一つの食品店。
グルメガレージ。
しかしこの店はまあ普通。
それでもシックなインディペンデントだ。
セミナーから始まった長いながい一日。
しかしイオンリテールの弾丸ツアー。
最後はニューアークのホテルに戻って、
グループワーク。
毎日2時間ずつ、徹底して、
グループディスカッションをする。
たくさんの店を訪れ、
五感で感じて、自分の頭で考え、
互いに議論して、煮詰める。
Basicなウォルマートやアルディから、
超Hotなイータリーやルルレモンまで。
どう感じ、どう考えるか。
成果は明日の中間発表会にて。
すべての人気店、繁盛店にあるのは、
それぞれのポジショニングである。
(つづきます)
〈結城義晴〉