第3期万代知識商人大学5回目講義の「利益の最大化と判断基準」
大阪天神祭。
日本三大祭の一つとして、
大阪を挙げて行われる。
ほかの二つは京都祇園祭と東京神田祭。
6月下旬吉日から7月25日まで、
様々な行事が行われるが、
昨日の24日が「宵宮」、
今日、25日は「本宮」と言われる本番。
夕方から、大川(旧淀川)に、
多くの船が出される。
「船渡御」(ふなとぎょ)と言われる。
さらに5000発の奉納花火が上げられる。
この大阪天神祭は、
天暦5年(951年)6月1日から始まった。
さて、昨夜の宵宮に大阪に着いて、
今日は東大阪市渋川の万代本社へ。
本社棟の向かいにある会議棟。
この2階の奥の部屋で、
第3期万代知識商人大学。
今年5回目の講義が行われる。
今日の講義は午前中が前回の続き、
サプライチェーンマネジメント。
午後はフィナンシャルマネジメント。
このフィナンシャルマネジメントは、
来月にも引き継がれる。
つまり重要な講座である。
今年は講義の連続性を重視して、
カリキュラムをちょっと変更してみた。
第1講義は私の担当。
サプライチェーンマネジメントと、
その後行程(あとこうてい)、
もしくは仕上げに当たるのが、
レイバースケジューリング。
万代はかつて村上忍さんの指導を得て、
レイバースケジューリングに取り組んだ。
私はその村上さんの著書を、
食品商業編集長として担当した。
最初は「レイバースケジューリング原理」、
次が「チェーンオペレーションバイブル」、
そして最後が「レイバースケジューリング」。
最初は1989年刊、次が1993年刊、
最後は2004年刊。
最初の「原理」という言葉は、
「日本スーパーマーケット原論」に、
対抗させるべく、
自分で温めていた「原理」という言葉を使った。
「原論」も「原理」も、私の命名だ。
最後の2004年刊のときには、
㈱商業界社長として奥付の「発行者」に、
名前を連ねている。
そのレイバースケジューリング概論。
その前のサプライチェーンの原理原則。
2つのことを強調した。
一つは「後工程はお客様」であること。
もう一つは、「自働化」。
「自動化」ではなく、
要所要所に人が入る「自働化」。
何か起こった時に、
人が入って問題解決する。
システムはそんなふうに、
設計されていなければならない。
大野耐一さんがつくったのが、
「トヨタかんばん方式」だが、
この後工程と自働化こそが、
その神髄と言えるものだ。
さらにトヨタのかんばん方式では、
なぜを5回繰り返す。
5回繰り返していると
問題解決の中身が、
どんどん鮮明になってくる。
第2講義は、万代の物流戦略。
万代の最新の彩都要冷センター、
この彩都センターに併設されている
畜産プロセスセンター。
そして、常温の堺物流センター。
それらの概要を動画で紹介しながら、
それぞれが果たす機能と実際の運用を解説。
2時間に及ぶ講義のあとは、
受講生たちからの矢継ぎ早の質問に、
一つ一つ丁寧に答えてくれた。
店長やチーフたちは、日々、
センターから届けられる商品を扱う。
だから疑問や要望も多い。
重要な提案や要請がでて、
リアリティのあるやり取りだった。
午前の講義が終わって、
愉しい昼食。
私たちは隣の万代渋川店で、
昼食の買物。
といっても店全体を見てしまう。
入口の農産部門は「計量フェア開催中!!」
パイナップル1本298円。
水産部門は「昆布塩サバ切り身399円」
鰻は、大阪では尾頭付き。
国産超特大が1680円。
そして天神祭にはハモ。
徳島産切りハモが498円。
惣菜部門。
塩焼き鯖弁当398円。
「丁寧に骨抜き処理を致しました」がいい。
大盛牛焼肉弁当598円。
これはうまそうだ。
惣菜売場の隣の冷凍食品売場。
「千鳥のおすすめ!」
ビデオが流れている。
漫才の千鳥が万代のユニフォームを着て、
漫才。
今、テレビCMで大人気の千鳥。
ギョーザをつくって見せる。
ランチの時間だが、
思わず全編を見てしまった。
さて午後の講義は、
フィナンシャルマネジメント。
最初にカリキュラムの体系。
そのうえで私が強調したのが、
ウィークリーフィナンシャルマネジメント。
さらに貸借対照表と損益計算書、
ドラッカーの「利益」の考え方などを講義。
そして第2講義は、
田縁(たぶち)仁平取締役が担当。
財務経理・秘書・品質管理部門担当。
万代の昨年度の財務数値を全部出して、
万代の財務方針を解説。
さらに決算書におけるPL/ BSの見方、
関西圏の各社の財務比較など、
実に実践的な講義を展開してくれた。
3期生に質問をしながら、解説していく。
ときに脱線しながら、
面白い話題を盛り込んで、
わかりやすい内容だった。
田縁さんには昨年度も講義してもらった。
昨年もよかったが、今年はさらに良かった。
講師は万代の取締役と結城義晴。
それが万代知識商人大学の基本方針だ。
まとめの講義は学長の結城義晴。
朝9時から夕方5時まで、
今日学んだことを整理する。
フィナンシャルマネジメントに関しては、
最後に三つの重要な数値のとらえ方。
忘れないように。
1日学んだことをどれだけ理解したのか。
すぐに、自分の言葉でまとめる。
もちろん、このレポートとは別に、
講義ごとにレポートの宿題も課される。
天神祭の大渋滞で、
タクシーで新大阪まで、
1時間近くかかった。
それから新幹線に乗って、
ビールを一本。
暑い暑い大阪の一日、
夕焼けがきれいだった。
4月、5月と日本中の小売業が、
深刻な客数減に悩んだ。
6月にはちょっと持ち直した。
西日本集中豪雨などもあったが、
この酷暑がいろいろな小売業に、
売上げの恩恵をもたらした。
今日の講義のまとめ。
ピーター・ドラッカーの言葉。
「利益の最大化を
唯一の目標にすることは
間違いである」
しかし、
「利益は事業活動の
究極の判断基準である」
美しい夕焼けを見ながら、
つくづくと思った。
こんな見事な言い切りは、
なかなかできない。
〈結城義晴〉