でんでんむしのせなかのからとからっぽの心には……
名古屋で気温40度。
観測史上初のこと。
ああ、どこまで行くのか。
この暑さ。
朝日新聞「折々のことば」
6月6日の第1131回。
わたしの せなかの
からの なかには
かなしみが いっぱい
つまって いるのです
〈新美南吉の童話「でんでんむしの かなしみ」から〉
編著者の鷲田清一さん。
「でんでんむしはある日、
“たいへんなこと”に気づく。
このままではもう生きていけないと
友だちに告げると、誰もが
“あなたばかりじゃありません”と言う」
「みなそれぞれの悲しみを抱えるからこそ、
いたわりあうこともできる」
でんでんむしは心に決める。
「わたしは わたしの かなしみを
こらえて いかなきゃ ならない」
そう、あなたばかりじゃありません。
わたしばかりじゃありません。
わたしはわたしの、
あなたはあなたの、
かなしみをこらえて、
いきていかなきゃいけません。
名古屋だけでなく横浜も、暑い日。
1日中、商人舎オフィスで、
月刊商人舎8月号の入稿仕事。
しかし夕方、
急遽、新横浜へ。
㈱日本リテイル研究所。
同じオフィスにあるのが、
日本チェーンドラッグストア協会事務所。
故宗像守さんが本拠にしていた。
私もよく訪れた。
今日は新代表取締役の椎名敏也さんに、
お願い事があって訪問した。
快く引き受けてくださって、
問題は一気に解決。
ありがとうございました。
しかし宗像さんがいないのは、
ほんとうに寂しい。
そこで大学時代の仲間の詩人・鈴木順子の作品。
からっぽの心には
からっぽの心には
何をつめたら
よいかしら……
くうきぽんぷで
ふくまして
ぽんと
いっきに
わりましょか
からっぽの心には
何をつめたら
よいかしら……
八分目まで
水 いれて
赤い
金魚を
浮かせよか
からっぽの心には
何をつめたら
よいかしら……
小さな鈴を
投げいれて
チリリ
鳴るおと
ききましょか
それともこのまま
からっぽを
風に
吹かせて
おきましょか
からっぽの心には
何をつめたら
よいかしら……
私も、多分、椎名さんも、
そんな気分の夏の夕方だった。
〈結城義晴〉