イオンリテール岡崎双一の分社化構想とイオン岡田元也の真意
ちょっと涼しくなった8月29日。
曇り空から、雨でも落ちてきそうだ。
朝から東京・御成門。
芝大神宮。
そして(株)True Data。
月に一度の役員会。
業績が順調ならば、
会議時間は快くて短い。
ランチタイムは楽しくて長い。
左から、中津武さん(取締役CSO)
米倉裕之さん(代表取締役社長)
常盤勝美さん(流通気象コンサルタント)
竹久健さん(産業革新機構マネージングディレクター)
右手前から、
田窪伸郎さん(㈱コーポレイトディレクション パートナー)
玉生弘昌さん(㈱プラネット 代表取締役会長)
伊藤久美さん(4U Lifecare㈱代表取締役社長CEO)
米倉さんと中津さんが常勤取締役、
竹久さん、田窪さん、伊藤さんと、
私が非常勤取締役。
玉生さんは相談役。
常盤さんは6月から、
True Dataに入社して、
流通気象コンサルタント。
月刊商人舎web版に連載を書き続ける。
「常盤勝美の2週間ウェザーMD予報」
True Dataの膨大な情報が、
常盤さんの知見に加わって、
化学反応を起こすことを期待している。
頑張ってください。
横浜商人舎オフィスに戻ると、
イオンリテール(株)のみなさんが来社。
10月のヨーロッパ視察研修の打ち合わせ。
右から東昌世さん(人事部教育担当部長)
私の隣は吉田元さん(人材育成グループマネージャー)
間はイオンコンパス㈱の、
三好智さんと細川みゆきさん。
今年の秋はドイツとイタリアを訪れて、
中身の濃い研修をします。
さて、今日の日経新聞企業欄に、
そのイオンリテールの記事。
「2020年に子ども用品や美容関連など、
4分野の専門店を分社化する」
事業規模は各社1500億~2000億円程度。
商品開発やマーケティングの機能を強化、
専門性を高める。
事業環境が厳しいGMSの収益改善を図り、
他の専門店の分社化も視野に入れる。
一昨日の日経MJに、
岡崎双一イオンリテール社長が登場。
この構想を語った記事の内容が、
日経本誌に掲載された。
分社化の対象となる専門店は現在、
子ども用品の「キッズリパブリック」
美容関連の「グラムビューティーク」
家具・雑貨の「ホームコーディ」
下着専門の「インナーカジュアル」
「商品開発や出退店、販売促進などの
戦略や採算管理に責任を持たせる」
「準備段階として、各専門店に、
担当の事業部門を立ち上げ、
こうした機能を委譲した」
「外部人材の採用も増やしている」
「イオンリテールには、
今回対象の4専門店を含め、
大小約20の商品分野がある」
「ユニット」と呼んでいるが、
この考え方に関して、
思い出すことがある。
1990年段階のことだが、
それまでのディスカウントストアの王者は
あのハリー・カニンガムのKマートだった。
それをサム・ウォルトンのウォルマートが、
キャッチアップし、抜き去る。
この瞬間の両者の店舗管理のことだ。
Kマートは5つの大部門管理となっていた。
カニンガムは退任して、
組織は官僚化していた。
対してウォルマートは、
30くらいだったと思うが、
細分化してカテゴリー管理をしていた。
イオンリテールの「ユニット」に似ている。
ウォルトンも現役経営者で、
商品部も店舗運営部も、
カテゴリーごとの経営をしていた。
イオンリテールの総合スーパーの改革は、
人材の面から見るとわかりやすいだろう。
従来はカテゴリー別のバイヤーだった。
それを専門店チェーンの経営者に変える。
だから2020年以降、
「状況を見て順次分社化する」
「イオンリテールは引き続き、
それら専門店の親会社として
全体を統括する」
「分社化によって、
各分野の状況に応じた
柔軟な経営判断がしやすくなる」
月刊商人舎の今年1月号。
「岡田元也の真意」第2部。
総合スーパー改革後の姿を描く。
想定する競合相手は、
ユニクロやニトリ、良品計画など、
SPAで成長する各分野の有力企業。
SPAは「製造小売業」を意味する。
日経の記事の岡崎社長。
「我々も専門店は完全に
SPAにならなければいけない」
イオンはすでに専門店を分社化している。
酒販店は「イオンリカー」、
自転車店は「イオンバイク」。
「特色ある商品や店舗を展開しなければ、
SPAやネット通販に勝てないとの
危機感がより強まっている」
このイオンリカーやイオンバイクの事例を
増やしていく。
日経記事の結論。
「イオンリテールは、
イオングループの中核会社として、
2018年2月期の営業収益は、
2兆1978億円を誇る。
一方で営業利益率は0.5%にとどまり、
利益率改善は最大の課題。
分社化を契機に2~3年内に
3%まで改善する計画だ」
サラリーマンではなく、
経営者。
ミドルマネジメントではなく、
トップマネジメント。
それがイオンリテールの改革の本質だ。
そしてそれは他社にとっても、
リージョナルチェーンや、
ローカルチェーンにとっても、
同じことだと思う。
「店長は社長の代理人」
よく言われることだ。
しかし、言葉だけでなく、
本気でそんな意志を持った店長がいたら、
その店は強くなるに違いない。
〈結城義晴〉