「秋霖」の季節の中で「サミット スタディ」を振り返る。
「秋霖」。
「しゅうりん」と読む。
秋の長雨。
9月の中旬頃から10月の上旬あたり。
日本列島に停滞前線が居座る。
梅雨は南から北上する。
しかし、秋霖は北から南下する。
台風の接近が重なると大雨になる。
関東地方や東海地方では年度によって、
梅雨時期より降水量が多くなる。
しかしこの秋霖の季節が過ぎると、
秋晴れの日が多くなる。
1964年の東京オリンピックは、
開会式が10月10日に設定されたが、
この秋霖の後の時期を狙ったものだった。
さて今日は朝から、
東京・西永福。
サミット㈱本社。
広報室マネジャーの中村聖さんと、
2時間も話し込んだ。
ずいぶん長い間、広報をやっていて、
流通報道記者会の流通企業では、
一番長いのだと思っていた。
しかし中村さんは2011年から、
広報マネジャー。
「一番長いのはライフの並木さんです」
並木利昭さんは、
㈱ライフコーポレーション専務取締役。
ずっと広報や秘書の仕事を担いながら、
開発本部長や管理本部長を務めた。
清水信次会長が参議院選挙に出馬したら、
選対本部長までやった。
しかしその並木さんの次に、
中村さんは流通業界の広報の「顔」だ。
その中村さんが出してきてくれたのが、
「サミット スタディ」
“The Summit Store Study”
1993年、㈱商業界刊。
月刊食品商業4月号別冊。
416ページ。
懐かしい。
サブタイトルは、
「スーパーマーケティング・カンパニーの全貌」
1992年の1年間、
毎月、連載特集を組んで、
それを総括的にまとめた一冊。
徹底的に取材した。
サミットもそれを受けてくれた。
もちろん編集長は結城義晴。
担当編集部員は、
商業界の山本恭広現取締役。
「ヤフオク」では今、7800円で、
オークションされている。
絶版希少本。
そのオークションの宣伝文句。
「日本のスーパーマーケット業界において
評価を確実にしている
サミット㈱の全貌を明らかにする。
サミットが有する、
スーパーマーケット経営に必要な
売場づくりやサービス、人材育成まで
あらゆる仕組みやシステムを、
丹念に取材して体系的にまとめた、
スーパーマーケット経営の
教科書・バイブル的な存在となる一冊。
スーパーマーケットという形態が
最も完成された時期に発行された、
内容充実の貴重な資料本」
その通り。
改めて見直すと凄い。
目次のタイトルを抜粋。
[プロローグ]
意思決定&コミュニケーションシステム
[ドキュメント]
サミット営業戦略会議傍聴禄
デモクラティック経営システムはこうして構築された!
―赤字脱却と増収増益の基盤づくり
[レポート]
会話と会議に基づくマネジメントシステムの全体像
[データ]サミット㈱の会社概要と業績推移
「梅本照夫のサミット高等学校論」
[第1章]
店舗開発システム
黒字店づくりのノウハウ公開
赤字店ゼロの出店・店づくりの戦略と仕組み
①出店の経営戦略
②店舗開発の技術とプロセス
サミットストア瑞江店のすべて
売場づくり――豊富な品ぞろえと単品量販の舞台
バックヤード構造――高機能・高生産性の拠点
[第2章]
マーチャンダイジング・システム
商品部の「作」多角研究
SM機能と商品政策の新パラダイム
荒井伸也、「原論」から「応用編」までを語り尽くす
商品部の″作″活動インサイドレポート
全部門バイヤー徹底インタビュー
生鮮三部門編
グロサリー部門編
用途別分類とコーナー化技術の全貌
サミット流トータルアソートメントテクニクス
[ビジュアル構成]
お買得品/なべ&春野菜/サラダ/有機野菜/薬味/万能野菜/土物/お手軽野菜/柑橘類/フルーツデザート/花き/刺し身/生魚/塩干/鮭鱒/切り身/なべ物/冷凍魚/冷凍エビ/魚卵/ウナギ/貝・海藻/お弁当材料/オードブル・珍味/練り製品/焼き肉/カレー材料/黒豚/挽き肉/内臓肉/串物/簡便商材/サラダ/サンドイッチ/冷凍食品/アイスクリーム/卵/パン/飲料・水/牛乳/ヨーグルト/プリン・ゼリー/フレッシュデザート/バター・酪農品/チーズ/洋惣菜/和惣菜/中華惣菜/水物/豆腐/納豆/めん類/漬物/米飯・すし/揚げ物/マヨネーズ・ドレッシング/しょうゆ・みりん/メニュー調味料/スパイス/みそ/乾物/食用油/缶詰/コーヒー・紅茶・日本茶/米/飲料/ヘビーフード/ポケット菓子/スナック菓子/生活良好ブランド/焼菓子ほか
サミット流商品改廃の実態
[90年/93年比較]
和泉店にみる主要6カテゴリーの変化
柳瀬川駅前店にみる
主力2コーナーの棚割メンテナンス
ロジスティックシステム
非生鮮全品をトランスファーする
「所沢物流センター」の役割
[第3章]
マーケティング・システム
市場を動かすSuper Marketing
キッチンサービスコーナーを解剖する
惣菜マーケティングと中食マーケティング
モニター連絡会速記録
(主婦11人との問答集)
サミット新商品人気コンクール
部門別入賞アイテム13年間の全リスト
[第4章]
プロモーション・システム
計画購買を促す特売計画づくり
⑴特売企画づくりのプロセス
⑵インストア・プロモーションの実態
⑶カラーチラシの一年
[第5章]
レイバースケジューリング・システム
グロサリー部門におけるLSP導入9ステップ
生鮮三部門におけるLSP核の作業改善
[第6章]
オペレーション・システム
サミットの”演”のすべて
巣鴨店生鮮三部門の1日
柳瀬川駅前SM店店長の1日
日商1000万円の店舗運営
①「朝一」オペレーション
②開店後のオペレーション
③店舗ミーティング・マネジメント
④サミットSM店長の役割
⑤ピーク前のオペレーション
⑥ピークタイムオペレーション
⑦店長連絡会/チーフ連絡会
[第7章]
店舗活性化システム
赤字店ゼロのための予防と改修
⑴改修・店舗リニューアルの技法
喜多見店の大改修
江原町店の大改修
⑵店舗メンテナンス体制
⑶ソフトウェア・ヒューマンウェアの活性化
サミットミステリーツアー随伴録
「(自社)店舗クリニック」のすべて
[第8章]
人事・教育システム
能力開発こそエクセレントカンパニーヘの道
新入社員教育プ囗グラム
出店拡大に対応する効率的人材育成の手順
パート社員育成カリキュラム
新店開設および日常業務における即戦力づくり
人事職能資格制度
「資格」と「役職」の分離でチェーンシステムを深耕する
問題解決的能力開発体系
言語化コミュニケーションで
スタンダードレベルを維持向上させる仕組み
最後の奥付の2ページは、
映画のエンドロールのようにした。
今、見直しても、
スーパーマーケットやチェーンストアの、
経営体系を描いていて、
自分で言うのも恥ずかしいが秀逸。
私の最高傑作の一つ。
本当に懐かしい。
この「サミット スタディ」の前に、
「関西スーパースタディ」があり、
「ニッショー スタディ」があった。
その後、「ライフコーポレーションスタディ」、
「アークススタディ」が発刊された。
㈱商人舎となって2015年に、
「YAOKO-Innovations」
2016年に、
「一・十・百・千万代スタディ」をつくった。
商人舎版はデジタル化されていて、
いつまでも読むことができる。
便利になった。
そのサミットスタディをもって、
中村さんと写真。
インタビューの内容も、
素晴らしかった。
ありがとうございました。
帰り際に竹野浩樹社長にばったり。
竹野さんもランチは、
本社のそばの西永福店で、
自分で購入する。
素晴らしい。
その西永福店。
サミット本部を訪れると、
必ず寄っていく。
ランチタイムだが、
地下1階の生鮮食品売場は、
ぬかりなくできている。
地上1階の惣菜売場も上出来。
あのサミットスタディがあって、
このサミット西永福店がある。
社長の竹野さんをはじめ、
専務の田村詔さん、服部哲也さんらが、
「サミット スタディ」を発展、進化させて、
今のサミット株式会社がある。
それを思った。
ありがとう。
〈結城義晴〉