エッセルンガ中心にミラノの食品小売業総ざらい
ミラノの小売業。
ドイツほどではないけれど、
上位寡占が進んできた。
まず、エッセルンガ。
イーペルがハイパーマーケットだから、
イタリア随一のスーパーマーケット。
最新の都市ゾーンに出店。
ポルタ・ヌオーヴァ。
大きな噴水が中央にある。
その1階に800坪の店がある。
エッセルンガ。
入り口にハンドスキャナー。
ご覧の美しい青果部門。
これだけで国際級。
ヨーロッパはクレート陳列が当たり前。
だがエッセルンガはバラ陳列をする。
その技術がある。
果物はクレート陳列。
ワンウェイコントロールでお客を誘導する。
そして奥主通路は対面売場の連続。
デリカテッセンと精肉の対面コーナー。
作業スペースの奥に、
生ハムの枝がつるされる。
グロサリー売場が面白い。
上段に非食品のフック陳列がある。
そして店舗左翼のベーカリー。
黄緑色の独特の配色。
プライベートブランドのパッケージも、
商品もこの色が基調となる。
木造りのケースも黄緑。
それに茶色のパンやクッキーが、
実によく似合う。
世界中どこに行っても、
ベーカリーは茶色か焦げ茶色だ。
この色彩感覚は、
エッセルンガだけだ。
クォリティブランドも素晴らしい。
コの字型主通路の店舗の最後はレジ。
そのレジのわきに、
ハンディースキャナー用レジ。
男性客がよく使うが、
都心部の店だから全体に活用率は高い。
世界のトレンドに遅れてはいない。
続いてミラノ中央駅。
その地下1階に、
コナード。
465㎡、約140坪。
9つのグループ企業が参加した、
コーペラティブチェーン。
8パターンのバナーを持つ。
2017年年商は130億ユーロ。
1兆6900億円で4.9%の伸び。
入り口を入ると高級PB がずらりと並ぶ。
青果部門は広場のようだ。
そこにかご盛りのきれいな陳列。
中央駅の店だけに、
一段ときれいに維持されている。
奥に精肉やデリカテッセンの対面売場。
コナードも水準を超えた企業だ。
そして最新の市長舎。
その一角に、
カルフール・エクスプレス。
ほんの50坪ほどの店だ。
入り口に対面の惣菜売場と、
イートインコーナー。
青果は狭いけれどかご盛り。
グロサリーの陳列線は高い。
狭い店にできるだけ並べようとした。
だから狭い通路と高いゴンドラ。
精肉はリーチインケース。
実に上手にこなしていて、
カルフールの面目躍如。
ミラノの郊外に出て、
新しいショッピングセンターを訪問。
全面入り口に、
コープのロッカーがある。
ネットで注文してここで受け取る。
COOPのマークが輝く。
そのコープの未来型店舗。
ミラノ博で展示した最新システム。
それを丁寧に説明してくれる。
入り口の青果平台の上部に、
液晶パネルがある。
大きなパネルが売場を覆う。
商品あるいはケースに触れば、
その商品の情報が映し出される。
グロサリー売場にも、
同じようなパネルがあって、
情報提供に努めている。
店内はコの字型のワンウェイで、
天井は黒いスケルトン。
こんな商品を見つけた。
パッケージに点字が印字された商品。
生協らしい。
イタリアの生協は大きい組織だ。
7つの協同組合で組織され、
店舗数は約1200店。
会員数も850万人を超える。
あとの2店はイオンがらみとなった。
まずピカール。
ご存知、フランスの冷凍食品専門店。
イオンと業務提携しているが、
イタリアにも進出して、
都市部で大人気。
生鮮3品から惣菜、菓子、パンに至るまで、
フルラインの冷凍食品を品ぞろえ。
フランス同様、イタリアでも安い。
日本はちょっと高すぎる。
輸入したり、物流したりで、
どうしても高価格になる。
それが払しょくできれば、
日本でも大チェーンになる。
間違いない。
もう一つが、
ビオ・セボン。
オーガニックスーパーマーケット。
こちらではBIOスーパーマーケット。
スロープを下って、
売場に入る。
すっきりとした小型店だ。
コンコースはV字型の変形。
青果は箱詰め。
鮮度もあるし、
品ぞろえもフランス並み。
日本より豊富だ。
加工肉はこんな売り方。
バルクコーナーは必須だ。
環境に適応した販売方法だからだ。
グロサリーもBIOの品ぞろえが豊富で、
入り組んだ形のレイアウト。
豊富とはいっても、
通常のスーパーマーケットよりも、
少ないアソートメント。
だから入り組んだレイアウトになる。
いろいろと買い物し、話も聞いた。
フランチェスコさんは、
バンドル販売の工夫を語った。
オーガニックの定義ならば9割くらいだが、
BIOはほとんど100%の品ぞろえだという。
ミラノ市内に現在、18店舗。
イオンが取り組むピカールとビオ・セボン。
イタリアではうまくいっている。
イーペルは、
強烈なハイパーマーケット。
エッセルンガは、
オーソドックスなスーパーマーケット。
コナードとコープは、
ボランタリーチェーン、
あるいはコーペラティブチェーン。
そこに外資の侵入。
フランスのカルフール、ドイツのリドル、
さらにフランスのオーシャン。
ピカールとビオ・セボン。
フランスの影響は大きいが、
イーペルとエッセルンガの、
レギュラーチェーンが、
世界レベルのイノベーションを生み出す。
やはり寄せ集めでも、
規模が大きくなればいい、
というものではない。
近代化するイタリア小売業の中で、
つくづくそう思った。
(つづきます)
〈結城義晴〉