San FranciscoのOutstanding Supermarket全集
San Franciscoに来たら、
この人に会わねば。
浅野秀二先生。
アメリカ流通視察ツアーの草分け。
㈱DIC最高経営責任者。
8年ほど前になるだろうか。
あるコンサルタントが、
研修を主催しながら、
自分の子どもを連れてきた。
浅野先生、一喝。
「俺のバスにガキは乗せない!!」
真剣な研修や勉強の場に、
子どもはふさわしくない。
家族旅行は自分でしなさい。
浅野秀二の面目躍如。
アメリカの日本男児。
さて、平和堂米国研修第16団。
San Franciscoのとんがり店舗全集。
まず、トレーダー・ジョー。
ダラスでも同社を訪れたが、
このベイエリアのアラメダ店は、
いつもいつも刷新されている。
ここでインタビュー。
ブライアンさん。
通訳は浅野組の若頭、
藤森正博さん。
藤森&ブライアン、波長がぴったり。
語りまくってくれた。
最後にはブライアンさん、
ワークスケジューリング表を出してきて、
懇切丁寧に説明してくれた。
トレーダー・ジョーのオペレーション、
そしてフレンドリーの源となるものが、
明らかになった。
トレーダー・ジョーの良さ、強さは、
商品にあるだけではない。
マーチャンダイジングだけではない。
質問する平和堂の主任たちも、
高い問題意識を持っていて、
私、うれしくなった。
最後に全員写真。
隣のセーフウェイ。
花売場はいつも絶品。
青果部門の鮮度と品ぞろえも見事。
プライベートブランド、
「Oオーガニック」の島陳列。
サンドイッチショップは、
ボアーズヘッド。
クローガー、スプラウツ、
そしてセーフウェイ。
名だたるチェーンに入っている。
ギルマンのホールフーズ。
入り口右手の青果部門。
狭いけれど素晴らしい。
ホールフーズの理性が表れている。
その奥にチーズコーナー。
左手のバリスタコーヒーショップ。
光が差し込んで、素晴らしい空間。
Urban Remedyのショップが、
新たに導入された。
オーガニックの専門店。
ホールフーズも唯我独尊ではなくなった。
それはいいことだ。
そのホールフーズ小型店。
サンフランシスコダウンタウン。
入り口にイチゴのプロモーション。
凄く狭いけれど、青果部門は充実。
この店から始まったのが、
バナナの吊るし売り。
壁面多段ケースには、
少品目の青果がきちんと並べられている。
バルク売場もホールフーズに欠かせない。
小型店だがこれもコンパクトにまとめた。
対面のサンドイッチショップ。
小型店だけに即食アイテムは必須だ。
チーズから精肉、シーフードの対面売場。
バックヤードはつながっていて、
少人数で対応できる。
その対面売場の向かい側に、
リーチインのビール、ドリンクコーナー。
そして奥壁面もずっとリーチイン。
狭い店にはこれがいい。
乳製品のリーチインケースは、
可視率の高い新型。
これもこの店から始まった。
必要は発明の母。
冷凍食品などもリーチインケース。
これも小型店の特徴。
小型繁盛店だけにレジに行列。
2列に並んでもらう。
そして銀行方式。
お客のストレスは最小限に抑えられる。
ホールフーズ、いつも素晴らしい。
アマゾン傘下に入ったけれど、
その理知性は少しも衰えない。
私の大好きな、
トレーダー・ジョーと、
ホールフーズ。
前者はアルディの資本下、
後者はアマゾン傘下。
それでも自分の道を行く。
それがいい。
そしてずっと自分の道を歩く。
バークレーボウル。
日本人のグレン・ヤスダさんが経営する。
たった2店舗だが、世界一の青果部門。
今の時期は毎年、
巨大なパンプキン。
バークレーボウルの象徴。
オーガニック青果部門だけで、
普通のスーパーマーケットの、
それと同じくらい。
凄い。
レギュラーの青果部門。
トマトとアボカド。
こちらもトマトとアボカド。
多段ケースのマッシュルーム。
見たこともないアイテムがそろう。
私は毎年、何度も見ているが。
ナスビなども珍しい品種がそろう。
葉物売場はダイナミック。
カートの島陳列上段には、
スイートコーンがきれいに並ぶ。
玉ねぎのエンドは投げ込み陳列。
イモ類もこれでもかと品種がそろう。
バナナはアメリカ最大の売場。
パイナップルは、
選別値入れで多品目化を図る。
青果部門の基本中の基本。
シーフードは対面売場だが、
刺身にできる鮮度の商品ばかり。
精肉とデリカテッセンは対面売場。
デリカテッセンは、
ここでもボアーズヘッド・ブランド。
テイクアウト惣菜はうまい。
チーズ売場も多品種。
そしてキャッシャーたちは、
青果アイテムの価格を全部、
覚えている。
バークレーボウルは、
2店舗で1億2000万ドル。
凄い会社の日本人経営者。
誇らしい気持ちになる。
一晩寝てから、
サンフランシスコ北西のバカビルへ。
ナゲットマーケット。
ケネスさんのインタビュー。
フロントエンドマネジャー。
ファンタスティックな店を、
全員が必死になって維持する。
だからナゲットマーケットは素晴らしい。
満足の全員写真。
廣政久美子団長と写真。
しかし目をつぶっている。
残念。
そのナゲットマーケットの、
ファンタスティック売場。
何と言っても青果部門がすごい。
芸術作品を見るような、この美しさ。
カラーコントロールの極致。
1品1品の顔がことごとく、
顧客の方を向いている。
これこそ陳列の基本中の基本。
シーフード売場も絵のようだ。
ダンジネスクラブは、
San Francisco名物。
精肉部門の対面ケース。
全体の雰囲気がとてもシックだ。
ワインショップには、
これもすごいアイテムが並ぶ。
ただのリカー売場ではない。
古い酒蔵にいるような気分になる。
店舗の奥主通路も美しい。
エンド陳列も芸術のようだ。
POPは3カ所にある。
一番上のPOPは天井から吊るしてある。
一番奥に小洒落たアパレル売場。
日用雑貨は絞り込まれているが、
売場は輝くほどに美しい。
石鹸とその関連商品は、
バスタブにプレゼンテーションされる。
バルク売場は店舗中央にあるが、
これもグラデーションが完璧。
そしてレジは実にフレンドリー。
二人三脚のサッカーサービス。
並んで行うのは米国では珍しい。
ナゲットも数年前は危機を迎えた。
競争が厳しかったからだ。
それを乗り越えて、さらに一段と、
素晴らしさが増した。
マーケットニッチャーの在り方と、
ポジショニング戦略の何たるかを、
見事に体現してくれる。
そして最後の最後は、
ウィンコフーズ。
An Employee Owned Company。
従業員が所有する会社。
入り口のウォール・オブ・バリューには、
競合店価格比較が示される。
地元ローカルチェーンのレイリーズの、
4分の1の価格を出している。
青果部門の価格も安い。
バナナは1ポンド52セント。
454グラム52円。
その青果は安くて新鮮。
オーガニック商品も導入。
青果の次はバルク売場。
800種類のアイテムがそろう。
そしてデリカテッセンと、
ミート、シーフード。
平ケースのニューヨークステーキは、
1ポンド7.78ドル。
454グラム778円だから、
100グラム172円。
乳製品売場はリーチインケース。
ウォークインクーラーだ。
牛乳は1%ミルクで1ガロン2.68ドル。
ガロンは3.8リットルだから、
1リットル71円。
長いながい冷凍食品の平ケースと、
リーチインケース。
そして広大なインストアベーカリー。
製造小売業でありながら低価格。
この店はこの3カ月で大きな変化を見せた。
きわめて営業的になったのだ。
つまり売りと利益を追求し始めた。
レジエンドに商品がずらりと並んだ。
セルフレジにお客が増えた。
客層が広がった証拠だ。
レジではサッカーサービスをしない。
アメリカではほとんどの企業が、
袋詰めサービスをする。
それをしないことも、
ウィンコフーズのポジショニングである。
ただしウィンコは、サッカーをしない分、
必ず安く売る。
San Franciscoのとんがり店舗。
それはポジショニング競争であり、
コンテスト型競争である。
ただ、美しい。
ただ、安い。
ただ、ユニーク。
それを学んでも意味がない。
自分の強みから発生したポジショニング。
だから模倣困難性をもつ。
トレーダー・ジョーも、
ホールフーズも、
バークレーボウルも、
ナゲットマーケットも、
そしてウィンコフーズも。
(つづきます)
〈結城義晴〉