小国綾子の「迷ったら」と青春時代と白秋時代の「迷い」
朝一番で東京羽田空港へ。
国際線の横の駐車場。
オリンピックに向けてだろうか、
大規模な工事中。
チェックインして、
Wi-Fiルーターを借り、
保険に入ってから、
円をドルに両替する。
この手順を素早く済ませて、
113番ゲートへ。
外は雨。
ニューヨーク便に乗り込む。
空港ターミナルも煙っている。
飛び上がると関東平野は、
雲に覆われている。
低層雲の上に上がると、
青い空が見える。
翼よ頑張れ。
雲は美しい。
太平洋は千切れ雲。
それが途切れると、
遠くに青い海。
そして空と海が溶け合っていく。
ニューヨークから、
サンフランシスコ、
そしてホノルルまで。
今回の旅は、
アメリカ合衆国の横断。
13日間。
さて、朝日新聞の一面連載。
「折々のことば」
今日で第1282回。
1年365日の毎日連載だから、
3年半続いている。
毎日毎日、このクォリティ。
編著者の鷲田清一さんに脱帽。
迷うのは、自分で
選ぼうとしている証拠。
自分の頭で
考えている人だけが
得られる「勲章」
みたいなものだ。
(毎日新聞記者の小国綾子さん)
自分の頭で考える。
そして自分で選ぶ。
自分で動く、行う。
そのために迷う。
「それでも迷いが吹っ切れない時は
“やったことのない方を選ぶ”」
凄い。
亡くなった岡本太郎さんは、
迷ったら、難しい道を選んだ。
余談だが、私の大学時代の後輩は、
ペンネームが「いばらみちお」だった。
いいネーミングだ。
晩成でもいいから、
大成してほしい詩人だ。
話は戻って、
小国綾子さんは、
やったことのない方を選ぶ。
「嫌な仕事も
やってみたら発見があったり、
”できないこと”ばかり数えて
凹(へこ)んでいた子育て期に
旅に出たら、
赤ん坊がいたからこそ
できた経験があったり」
「人生に思いもよらない線が
いっぱい引けた」
迷ったら、
やったことのない方を、
難しそうに見えることを、
自分の頭で考えて、選ぶ。
『?(疑問符)が!(感嘆符)に変わるとき』から。
小国綾子さんは、
1966年生まれの大阪人。
1990年に毎日新聞社に入社し、
その後、2007年秋に退社。
家族で渡米したが、
2011年に帰国して、
毎日新聞社に復帰。
いい会社だ、毎日新聞は。
アメリカに滞在中に、
ライター活動をして、
その作品群が認められた。
一方、東京新聞「筆洗」
中国の五行説をテーマにする。
五行説は「四季に四色を配する」
「青春、朱夏、白秋、
そして黒い冬、玄冬だ」
「青春時代があるのなら、
他の三つの時代が人生にあってもいい」
宗教評論家のひろさちやさん。
つまり青春時代、
朱夏時代、
白秋時代、
玄冬時代。
この中で白秋時代は、
暗い冬を控えながら、
「世俗を離れて、ゆったりと生きる時期」と、
ひろさんは『こころの歳時記』に記す。
白秋時代とは、
働き盛りを過ぎたころからか、
あるいは定年後あたりからか。
「身辺の整理に手を付けながら、
心穏やかに過ごす日々」
コラムは語る。
「現実の白秋時代は
別の方向に向かっている。
政府は継続雇用の
年齢引き上げの議論を本格化させた。
高齢者の雇用拡大も目指している」
「財政にも、人手不足にもいいそうだ」
「生涯現役社会」であるし、
私も生涯現役を標榜している。
コラム。
「元気で意欲がある人には、
望ましい社会だろう。
一方で、人はいつまで現役なのか。
どこまで働いて、いつ余生に入るのか」
東京新聞らしく政府への注文。
「秋から冬にかけての人生観が、
これから始まるという
社会保障制度の改革のなかで、
みえなくなっていないか」
阿久悠作詞、森田公一作曲。
大ヒットした「青春時代」
阿久は歌詞にした。
「青春時代の真ん中は
道にまよっているばかり」
コラムの最後の言葉。
「白秋に迷いは似合わない。
穏やかな季節に
しなければならないだろう」
小国綾子さんや岡本太郎さんは、
どう反応するだろう。
人それぞれだとは思うが、
自分で考え、自分で選ぶ。
それは白秋時代にもあると思う。
〈結城義晴〉